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帳簿書類の確認:仕訳帳・総勘定元帳・残高試算表(貸借対照表・損益計算書)

税金
税金

会計ソフトの入力方法には

  • ソフト独自の手入力
  • 仕訳の形での手入力
  • データの取り込み
  • データ連携

などがありますが、どの方法で入力しても、出来上がる帳簿書類は同じです。

帳簿書類のうち

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 残高試算表(貸借対照表、損益計算書)

を、適宜確認しながら、記帳を進めていきたいですね。

2か月分の具体例を用意しましたので、各帳簿書類を確認してみましょう。

主な勘定科目

売上の入力に使用する主な勘定科目は

  • 売上(売上高)
  • 売掛金
  • 前受金
  • 普通預金
  • 事業主貸
  • 支払手数料

などです。

経費の勘定科目は、その内容によって多岐に渡りますが、最終的に作成したいのは

  • 青色申告決算書(または収支内訳書)

です。

印字済の科目に合わせて設定するといいですね。

青色申告決算書(一般用)
損益計算書(1枚目)

そして、それらと合わせて

  • 未払金
  • 普通預金
  • 事業主借

などが主に使われます。

事業主勘定の詳細は、下記をご確認下さい。

会計ソフトによっては

  • 現金(個人用)
  • 普通預金(個人用)
  • クレジットカード(個人用)

といった科目が用意されている場合がありますが、これらはすべて

  • 事業主貸
    または
  • 事業主借

として処理されます。

また、事業用のクレジットカードのために

  • クレジットカード

という科目が用意されていることもありますが、こちらも通常は

  • 未払金

として処理されます。

勘定科目は、自分で自由に決めて構いません。

ただし、一度決めた科目は、継続して同じものを使用する必要があります。

帳簿書類

売上や経費の入力後に、確認したい帳簿書類は

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 残高試算表(貸借対照表、損益計算書)

です。

仕訳帳は、すべての取引を一覧で確認することができる帳簿です。

総勘定元帳は、勘定科目ごとに、取引と残高を確認できる帳簿です。

残高試算表(貸借対照表、損益計算書)は、すべての勘定科目について、指定した期間の増減と、指定した時点の残高を確認できる書類です。

どの会計ソフトにも必ずありますので、探してみて下さいね。

それでは、2か月分の具体例とともに、各帳簿書類を見ていきましょう。

具体例(9月)

※8月31日までは何も取引がなく、8月31日時点のすべての残高は0(ゼロ)であったとします。

取引

9月5日

小売業:16,500円の商品を出荷した。(支払は1か月後の予定)
サービス業:16,500円のサービスを提供した。(支払は1か月後の予定)

売上の取引日(売上日)は、入金日ではありません。

商品売買の場合は

  • 引渡日

サービスの場合は

  • 役務(サービス)提供の完了日

です。

詳しくは、下記をご確認下さい。

また、代金はまだ受け取っていませんので

  • 後で代金を受け取る権利(資産)

である

  • 売掛金

に記録しておきます。

仕訳帳は、以下のようになります。

9月5日(売掛金)16,500(売上)16,500
仕訳帳
9月10日

消耗品3,300円を購入して、プライベートの財布から現金で支払った。

事業用に区分した現金ではなく、プライベートの財布(ポケットマネー)から支払った場合は

  • 事業主借

を使用します。

仕訳帳は、以下のようになります。

9月10日(消耗品費)3,300(事業主借)3,300
仕訳帳
9月15日

小売業:1か月後に出荷予定の商品33,000円の代金が、銀行口座に振り込まれた。
サービス業:1か月後に提供予定のサービス33,000円の代金が、銀行口座に振り込まれた。

売上日より前に、代金を先に受け取った場合は

  • 後で商品を引き渡す義務(負債)
  • 後でサービスを提供する義務(負債)

である

  • 前受金

に記録しておきます。

事業用の銀行口座に振り込まれた場合は

9月15日(普通預金)33,000(前受金)33,000
仕訳帳

振込口座がプライベートの銀行口座の場合は

9月15日(事業主貸)33,000(前受金)33,000
仕訳帳

となります。

9月20日

小売業:22,000円の商品を出荷した。(支払は1か月後の予定)
サービス業:22,000円のサービスを提供した。(支払は1か月後の予定)

9月5日と同様です。

仕訳帳は、以下のようになります。

9月20日(売掛金)22,000(売上)22,000
仕訳帳
9月25日

取引先と会食をして、5,500円をクレジットカードで支払った。

事業用のクレジットカードで支払いをした場合は

  • 後で料金を支払う義務(負債)

である

  • 未払金

に記録しておきます。

仕訳帳は、以下のようになります。

9月25日(接待交際費)5,500(未払金)5,500
仕訳帳

プライベートのクレジットカードで支払った場合は

9月25日(接待交際費)5,500(事業主借)5,500
仕訳帳

となります。

仕訳帳

9月分の仕訳帳は、以下のようになります。

※摘要は省略しています。
日付借方貸方
9月5日(売掛金)16,500(売上)16,500
9月10日(消耗品費)3,300(事業主借)3,300
9月15日(普通預金)33,000
  または
(事業主貸)33,000
(前受金)33,000
9月20日(売掛金)22,000(売上)22,000
9月25日(接待交際費)5,500(未払金)5,500
  または
(事業主借)5,500
仕訳帳

総勘定元帳

9月分の総勘定元帳を、科目ごとに見てみましょう。

※未払金は事業用のクレジットカードがある場合、普通預金・事業主貸・事業主借は省略しています。

売掛金

日付相手科目借方貸方残高
9月5日(売上)16,50016,500
9月20日(売上)22,00038,500
総勘定元帳:売掛金

後払いの売上が2回ありました。

売上があったのに、まだ代金を受け取っていない金額が、合計で38,500円あることがわかります。

売掛金は

  • 資産

ですので

  • 増えたときは、左側(借方)
  • 減ったときは、右側(貸方)

に表示されます。

前受金

日付相手科目借方貸方残高
9月15日(普通預金)または(事業主貸)33,00033,000
総勘定元帳:前受金

先払いで受け取っている金額が、33,000円あることがわかります。

前受金は

  • 負債

ですので

  • 増えたときは、右側(貸方)
  • 減ったときは、左側(借方)

に表示されます。

未払金(事業用のクレジットカードがある場合)

日付相手科目借方貸方残高
9月25日(接待交際費)5,5005,500
総勘定元帳:未払金

まだ支払っていない金額が、5,500円あることがわかります。

未払金は

  • 負債

ですので

  • 増えたときは、右側(貸方)
  • 減ったときは、左側(借方)

に表示されます。

売上

日付相手科目借方貸方残高
9月5日(売掛金)16,50016,500
9月20日(売掛金)22,00038,500
総勘定元帳:売上

9月の売上の合計額は38,500円で、いずれも後払いであることがわかります。

売上は

  • 収入

ですので

  • 右側(貸方)

に表示されます。

値引きやキャンセル、修正仕訳などの際に、左側(借方)を使用することもありますが、ほとんどの場合、増加を示す右側(貸方)だけの表示になります。

消耗品費

日付相手科目借方貸方残高
9月10日(事業主借)3,3003,300
総勘定元帳:消耗品費

9月の消耗品費の合計額は、ポケットマネーから支払った3,300円です。

消耗品費は

  • 必要経費

ですので

  • 左側(借方)

に表示されます。

値引きやキャンセル、修正仕訳などの際に、右側(貸方)を使用することもありますが、ほとんどの場合、増加を示す左側(借方)だけの表示になります。

接待交際費

日付相手科目借方貸方残高
9月25日(未払金)または(事業主借)5,5005,500
総勘定元帳:接待交際費

9月の接待交際費の合計額は、クレジットカード(またはポケットマネー)から支払った5,500円です。

接待交際費は

  • 必要経費

ですので

  • 左側(借方)

に表示されます。

値引きやキャンセル、修正仕訳などの際に、右側(貸方)を使用することもありますが、ほとんどの場合、増加を示す左側(借方)だけの表示になります。

残高試算表

9月1日から9月30日までの、1か月分の残高試算表は、以下のようになります。

※未払金は事業用のクレジットカードがある場合、普通預金・事業主貸・事業主借は省略しています。

貸借対照表

勘定科目繰越借方貸方残高
売掛金038,50038,500
未払金05,5005,500
前受金033,00033,000
残高試算表(貸借対照表)

貸借対照表は、財政状態(資産・負債など)を示す書類です。

繰越の欄は、8月31日の残高です。

9月中に増加した金額が

  • 資産(売掛金)は、左側(借方)
  • 負債(未払金、前受金)は、右側(貸方)

に表示されます。

残高欄は、9月30日の残高です。

損益計算書

勘定科目繰越借方貸方残高
売上038,50038,500
消耗品費03,3003,300
接待交際費05,5005,500
差引029,70029,700
残高試算表(損益計算書)

損益計算書は、経営成績(収入・必要経費など)を示す書類です。

繰越の欄は、8月31日の残高です。

9月中に増加した金額が

  • 収入(売上)は、右側(貸方)
  • 必要経費は、左側(借方)

に表示されます。

差引すると利益がわかります

残高欄は、9月30日の残高です。

具体例(10月)

取引

10月5日

9月5日の売上代金16,500円が、銀行口座に振り込まれた。

9月5日に入力した

  • 後で代金を受け取る権利(資産)

である

  • 売掛金

が振り込まれましたので、これを消す取引を入力することになります。

事業用の銀行口座の場合は

10月5日(普通預金)16,500(売掛金)16,500
仕訳帳

振込口座がプライベートの銀行口座の場合は

10月5日(事業主貸)16,500(売掛金)16,500
仕訳帳

となります。

10月10日

消耗品1,100円を購入して、プライベートの財布から現金で支払った。

9月10日と同様です。

10月10日(消耗品費)1,100(事業主借)1,100
仕訳帳
10月15日

小売業:33,000円の商品を出荷した。(代金は9月15日に受取済)
サービス業:33,000円のサービスを提供した。(代金は9月15日に受取済)

売上の入力とともに、9月15日に入力した

  • 後で商品を引き渡す義務(負債)
  • 後でサービスを提供する義務(負債)

である

  • 前受金

を消す取引を入力することになります。

仕訳帳は、以下のようになります。

10月15日(前受金)33,000(売上)33,000
仕訳帳
10月20日

9月20日の売上代金22,000円が、手数料660円を差し引いて、銀行口座に振り込まれた。

10月5日と同様に、売掛金を消す取引を入力することになりますが

  • クレジットカード
  • ショッピングサイト

などを利用した売上の場合、加盟店手数料などが差し引かれて入金されます。

売上の金額は、あくまで元々の代金の額で、入金額ではありません。

支払手数料などの経費の科目を使って、2つに分けて入力します。

事業用の銀行口座に振り込まれた場合は

10月20日(普通預金)21,340(売掛金)22,000
(支払手数料)660
仕訳帳

振込口座がプライベートの銀行口座の場合は

10月20日(事業主貸)21,340(売掛金)22,000
(支払手数料)660
仕訳帳

となります。

10月25日

9月25日にクレジットカードで支払った会食代5,500円が、銀行口座から引き落とされた。

9月25日に事業用のクレジットカードを使用した場合は

  • 後で料金を支払う義務(負債)

である

  • 未払金

を支払ったわけですから、これを消す取引を入力します。

引落口座が事業用の銀行口座の場合は

10月25日(未払金)5,500(普通預金)5,500
仕訳帳

引落口座がプライベートの銀行口座の場合は

10月25日(未払金)5,500(事業主借)5,500
仕訳帳

となります。

仕訳帳

9月、10月分の仕訳帳は、以下のようになります。

※摘要は省略しています。
日付借方貸方
9月5日(売掛金)16,500(売上)16,500
9月10日(消耗品費)3,300(事業主借)3,300
9月15日(普通預金)33,000
  または
(事業主貸)33,000
(前受金)33,000
9月20日(売掛金)22,000(売上)22,000
9月25日(接待交際費)5,500(未払金)5,500
  または
(事業主借)5,500
10月5日(普通預金)16,500
  または
(事業主貸)16,500
(売掛金)16,500
10月10日(消耗品費)1,100(事業主借)1,100
10月15日(前受金)33,000(売上)33,000
10月20日(普通預金)21,340
  または
(事業主貸)21,340
(売掛金)22,000
(支払手数料)660
10月25日(未払金)5,500(普通預金)5,500
  または
(事業主借)5,500
仕訳帳

総勘定元帳

9月、10月分の総勘定元帳を、科目ごとに見てみましょう。

※未払金は事業用のクレジットカードがある場合、普通預金・事業主貸・事業主借は省略しています。

売掛金

日付相手科目借方貸方残高
9月5日(売上)16,50016,500
9月20日(売上)22,00038,500
10月5日(普通預金)または(事業主貸)16,50022,000
10月20日(普通預金)または(事業主貸)21,340
(支払手数料)6600
総勘定元帳:売掛金

9月末に、まだ受け取っていなかった代金38,500円を、10月中にすべて受け取ったことがわかります。

左側(借方)と右側(貸方)の対応を確認しましょう。

残高はゼロになっています。

前受金

日付相手科目借方貸方残高
9月15日(普通預金)または(事業主貸)33,00033,000
10月15日(売上)33,0000
総勘定元帳:前受金

9月末の残高が、10月中に消えていることがわかります。

未払金(事業用のクレジットカードがある場合)

日付相手科目借方貸方残高
9月25日(接待交際費)5,5005,500
10月25日(普通預金)または(事業主借)5,5000
総勘定元帳:未払金

9月末の残高が、10月中に消えていることがわかります。

売上

日付相手科目借方貸方残高
9月5日(売掛金)16,50016,500
9月20日(売掛金)22,00038,500
10月15日(前受金)33,00071,500
総勘定元帳:売上

9月、10月の売上合計が、71,500円であることがわかります。

消耗品費

日付相手科目借方貸方残高
9月10日(事業主借)3,3003,300
10月10日(事業主借)1,1004,400
総勘定元帳:消耗品費

消耗品費の9月、10月の合計額は、4,400円です。

接待交際費

日付相手科目借方貸方残高
9月25日(未払金)または(事業主借)5,5005,500
総勘定元帳:接待交際費

接待交際費の9月、10月の合計額は、5,500円です。

残高試算表(10月1日~10月31日)

10月1日から10月31日までの、1か月分の残高試算表は、以下のようになります。

※未払金は事業用のクレジットカードがある場合、普通預金・事業主貸・事業主借は省略しています。

貸借対照表(10月1日~10月31日)

勘定科目繰越借方貸方残高
売掛金38,50038,5000
未払金5,5005,5000
前受金33,00033,0000
残高試算表(貸借対照表)

繰越の欄は、9月30日の残高です。

10月中に減少した金額が

  • 資産(売掛金)は、右側(貸方)
  • 負債(未払金、前受金)は、左側(借方)

に表示され、いずれも残高がゼロになっています。

残高欄は、10月31日の残高です。

損益計算書(10月1日~10月31日)

勘定科目繰越借方貸方残高
売上38,50033,00071,500
消耗品費3,3001,1004,400
接待交際費5,5005,500
差引61,600
残高試算表(損益計算書)

繰越欄は、9月30日の残高です。

10月中に増加した金額が

  • 収入(売上)は、右側(貸方)
  • 必要経費は、左側(借方)

に表示され、合計額が残高に表示されています。

差引すると利益がわかります。

残高欄は、10月31日の残高です。

残高試算表(9月1日~10月31日)

残高試算表は、期間を指定して確認することができますので、2か月分の増減を確認することもできます。

9月1日から10月31日までの、2か月分の残高試算表は、以下のようになります。

※未払金は事業用のクレジットカードがある場合、普通預金・事業主貸・事業主借は省略しています。

貸借対照表(9月1日~10月31日)

勘定科目繰越借方貸方残高
売掛金038,50038,5000
未払金05,5005,5000
前受金033,00033,0000
残高試算表(貸借対照表)

損益計算書(9月1日~10月31日)

勘定科目繰越借方貸方残高
売上071,50071,500
消耗品費04,4004,400
接待交際費05,5005,500
差引61,600
残高試算表(損益計算書)

おわりに

帳簿書類の

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 残高試算表(貸借対照表、損益計算書)

を、具体例とともに確認しました。

入力して終わりではなく、適宜帳簿書類を確認し、誤りがあれば早めに修正できるようにしておくといいですね。

お使いの会計ソフトに合わせた、具体的な入力サポートをご希望の場合は、確定申告サポートをご利用下さい。

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