会計ソフトの入力方法には
などがありますが、どの方法で入力しても、出来上がる帳簿書類は同じです。
帳簿書類のうち
を、適宜確認しながら、記帳を進めていきたいですね。
2か月分の具体例を用意しましたので、各帳簿書類を確認してみましょう。
主な勘定科目
売上の入力に使用する主な勘定科目は
などです。
経費の勘定科目は、その内容によって多岐に渡りますが、最終的に作成したいのは
です。
印字済の科目に合わせて設定するといいですね。
そして、それらと合わせて
などが主に使われます。
事業主勘定の詳細は、下記をご確認下さい。
会計ソフトによっては
といった科目が用意されている場合がありますが、これらはすべて
として処理されます。
また、事業用のクレジットカードのために
という科目が用意されていることもありますが、こちらも通常は
として処理されます。
勘定科目は、自分で自由に決めて構いません。
ただし、一度決めた科目は、継続して同じものを使用する必要があります。
帳簿書類
売上や経費の入力後に、確認したい帳簿書類は
です。
仕訳帳は、すべての取引を一覧で確認することができる帳簿です。
総勘定元帳は、勘定科目ごとに、取引と残高を確認できる帳簿です。
残高試算表(貸借対照表、損益計算書)は、すべての勘定科目について、指定した期間の増減と、指定した時点の残高を確認できる書類です。
どの会計ソフトにも必ずありますので、探してみて下さいね。
それでは、2か月分の具体例とともに、各帳簿書類を見ていきましょう。
具体例(9月)
取引
小売業:16,500円の商品を出荷した。(支払は1か月後の予定)
サービス業:16,500円のサービスを提供した。(支払は1か月後の予定)
売上の取引日(売上日)は、入金日ではありません。
商品売買の場合は
サービスの場合は
です。
詳しくは、下記をご確認下さい。
また、代金はまだ受け取っていませんので
である
に記録しておきます。
仕訳帳は、以下のようになります。
9月5日 | (売掛金)16,500 | (売上)16,500 |
消耗品3,300円を購入して、プライベートの財布から現金で支払った。
事業用に区分した現金ではなく、プライベートの財布(ポケットマネー)から支払った場合は
を使用します。
仕訳帳は、以下のようになります。
9月10日 | (消耗品費)3,300 | (事業主借)3,300 |
小売業:1か月後に出荷予定の商品33,000円の代金が、銀行口座に振り込まれた。
サービス業:1か月後に提供予定のサービス33,000円の代金が、銀行口座に振り込まれた。
売上日より前に、代金を先に受け取った場合は
である
に記録しておきます。
事業用の銀行口座に振り込まれた場合は
9月15日 | (普通預金)33,000 | (前受金)33,000 |
振込口座がプライベートの銀行口座の場合は
9月15日 | (事業主貸)33,000 | (前受金)33,000 |
となります。
小売業:22,000円の商品を出荷した。(支払は1か月後の予定)
サービス業:22,000円のサービスを提供した。(支払は1か月後の予定)
9月5日と同様です。
仕訳帳は、以下のようになります。
9月20日 | (売掛金)22,000 | (売上)22,000 |
取引先と会食をして、5,500円をクレジットカードで支払った。
事業用のクレジットカードで支払いをした場合は
である
に記録しておきます。
仕訳帳は、以下のようになります。
9月25日 | (接待交際費)5,500 | (未払金)5,500 |
プライベートのクレジットカードで支払った場合は
9月25日 | (接待交際費)5,500 | (事業主借)5,500 |
となります。
仕訳帳
9月分の仕訳帳は、以下のようになります。
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
9月5日 | (売掛金)16,500 | (売上)16,500 |
9月10日 | (消耗品費)3,300 | (事業主借)3,300 |
9月15日 | (普通預金)33,000 または (事業主貸)33,000 | (前受金)33,000 |
9月20日 | (売掛金)22,000 | (売上)22,000 |
9月25日 | (接待交際費)5,500 | (未払金)5,500 または (事業主借)5,500 |
総勘定元帳
9月分の総勘定元帳を、科目ごとに見てみましょう。
売掛金
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月5日 | (売上) | 16,500 | 16,500 | |
9月20日 | (売上) | 22,000 | 38,500 |
後払いの売上が2回ありました。
売上があったのに、まだ代金を受け取っていない金額が、合計で38,500円あることがわかります。
売掛金は
ですので
に表示されます。
前受金
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月15日 | (普通預金)または(事業主貸) | 33,000 | 33,000 |
先払いで受け取っている金額が、33,000円あることがわかります。
前受金は
ですので
に表示されます。
未払金(事業用のクレジットカードがある場合)
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月25日 | (接待交際費) | 5,500 | 5,500 |
まだ支払っていない金額が、5,500円あることがわかります。
未払金は
ですので
に表示されます。
売上
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月5日 | (売掛金) | 16,500 | 16,500 | |
9月20日 | (売掛金) | 22,000 | 38,500 |
9月の売上の合計額は38,500円で、いずれも後払いであることがわかります。
売上は
ですので
に表示されます。
値引きやキャンセル、修正仕訳などの際に、左側(借方)を使用することもありますが、ほとんどの場合、増加を示す右側(貸方)だけの表示になります。
消耗品費
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月10日 | (事業主借) | 3,300 | 3,300 |
9月の消耗品費の合計額は、ポケットマネーから支払った3,300円です。
消耗品費は
ですので
に表示されます。
値引きやキャンセル、修正仕訳などの際に、右側(貸方)を使用することもありますが、ほとんどの場合、増加を示す左側(借方)だけの表示になります。
接待交際費
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月25日 | (未払金)または(事業主借) | 5,500 | 5,500 |
9月の接待交際費の合計額は、クレジットカード(またはポケットマネー)から支払った5,500円です。
接待交際費は
ですので
に表示されます。
値引きやキャンセル、修正仕訳などの際に、右側(貸方)を使用することもありますが、ほとんどの場合、増加を示す左側(借方)だけの表示になります。
残高試算表
9月1日から9月30日までの、1か月分の残高試算表は、以下のようになります。
貸借対照表
勘定科目 | 繰越 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
売掛金 | 0 | 38,500 | 38,500 | |
未払金 | 0 | 5,500 | 5,500 | |
前受金 | 0 | 33,000 | 33,000 |
貸借対照表は、財政状態(資産・負債など)を示す書類です。
繰越の欄は、8月31日の残高です。
9月中に増加した金額が
に表示されます。
残高欄は、9月30日の残高です。
損益計算書
勘定科目 | 繰越 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
売上 | 0 | 38,500 | 38,500 | |
消耗品費 | 0 | 3,300 | 3,300 | |
接待交際費 | 0 | 5,500 | 5,500 | |
差引 | 0 | 29,700 | 29,700 |
損益計算書は、経営成績(収入・必要経費など)を示す書類です。
繰越の欄は、8月31日の残高です。
9月中に増加した金額が
に表示されます。
差引すると利益がわかります
残高欄は、9月30日の残高です。
具体例(10月)
取引
9月5日の売上代金16,500円が、銀行口座に振り込まれた。
9月5日に入力した
である
が振り込まれましたので、これを消す取引を入力することになります。
事業用の銀行口座の場合は
10月5日 | (普通預金)16,500 | (売掛金)16,500 |
振込口座がプライベートの銀行口座の場合は
10月5日 | (事業主貸)16,500 | (売掛金)16,500 |
となります。
消耗品1,100円を購入して、プライベートの財布から現金で支払った。
9月10日と同様です。
10月10日 | (消耗品費)1,100 | (事業主借)1,100 |
小売業:33,000円の商品を出荷した。(代金は9月15日に受取済)
サービス業:33,000円のサービスを提供した。(代金は9月15日に受取済)
売上の入力とともに、9月15日に入力した
である
を消す取引を入力することになります。
仕訳帳は、以下のようになります。
10月15日 | (前受金)33,000 | (売上)33,000 |
9月20日の売上代金22,000円が、手数料660円を差し引いて、銀行口座に振り込まれた。
10月5日と同様に、売掛金を消す取引を入力することになりますが
などを利用した売上の場合、加盟店手数料などが差し引かれて入金されます。
売上の金額は、あくまで元々の代金の額で、入金額ではありません。
支払手数料などの経費の科目を使って、2つに分けて入力します。
事業用の銀行口座に振り込まれた場合は
10月20日 | (普通預金)21,340 | (売掛金)22,000 |
(支払手数料)660 |
振込口座がプライベートの銀行口座の場合は
10月20日 | (事業主貸)21,340 | (売掛金)22,000 |
(支払手数料)660 |
となります。
9月25日にクレジットカードで支払った会食代5,500円が、銀行口座から引き落とされた。
9月25日に事業用のクレジットカードを使用した場合は
である
を支払ったわけですから、これを消す取引を入力します。
引落口座が事業用の銀行口座の場合は
10月25日 | (未払金)5,500 | (普通預金)5,500 |
引落口座がプライベートの銀行口座の場合は
10月25日 | (未払金)5,500 | (事業主借)5,500 |
となります。
仕訳帳
9月、10月分の仕訳帳は、以下のようになります。
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
9月5日 | (売掛金)16,500 | (売上)16,500 |
9月10日 | (消耗品費)3,300 | (事業主借)3,300 |
9月15日 | (普通預金)33,000 または (事業主貸)33,000 | (前受金)33,000 |
9月20日 | (売掛金)22,000 | (売上)22,000 |
9月25日 | (接待交際費)5,500 | (未払金)5,500 または (事業主借)5,500 |
10月5日 | (普通預金)16,500 または (事業主貸)16,500 | (売掛金)16,500 |
10月10日 | (消耗品費)1,100 | (事業主借)1,100 |
10月15日 | (前受金)33,000 | (売上)33,000 |
10月20日 | (普通預金)21,340 または (事業主貸)21,340 | (売掛金)22,000 |
(支払手数料)660 | ||
10月25日 | (未払金)5,500 | (普通預金)5,500 または (事業主借)5,500 |
総勘定元帳
9月、10月分の総勘定元帳を、科目ごとに見てみましょう。
売掛金
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月5日 | (売上) | 16,500 | 16,500 | |
9月20日 | (売上) | 22,000 | 38,500 | |
10月5日 | (普通預金)または(事業主貸) | 16,500 | 22,000 | |
10月20日 | (普通預金)または(事業主貸) | 21,340 | ||
(支払手数料) | 660 | 0 |
9月末に、まだ受け取っていなかった代金38,500円を、10月中にすべて受け取ったことがわかります。
左側(借方)と右側(貸方)の対応を確認しましょう。
残高はゼロになっています。
前受金
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月15日 | (普通預金)または(事業主貸) | 33,000 | 33,000 | |
10月15日 | (売上) | 33,000 | 0 |
9月末の残高が、10月中に消えていることがわかります。
未払金(事業用のクレジットカードがある場合)
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月25日 | (接待交際費) | 5,500 | 5,500 | |
10月25日 | (普通預金)または(事業主借) | 5,500 | 0 |
9月末の残高が、10月中に消えていることがわかります。
売上
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月5日 | (売掛金) | 16,500 | 16,500 | |
9月20日 | (売掛金) | 22,000 | 38,500 | |
10月15日 | (前受金) | 33,000 | 71,500 |
9月、10月の売上合計が、71,500円であることがわかります。
消耗品費
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月10日 | (事業主借) | 3,300 | 3,300 | |
10月10日 | (事業主借) | 1,100 | 4,400 |
消耗品費の9月、10月の合計額は、4,400円です。
接待交際費
日付 | 相手科目 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
9月25日 | (未払金)または(事業主借) | 5,500 | 5,500 |
接待交際費の9月、10月の合計額は、5,500円です。
残高試算表(10月1日~10月31日)
10月1日から10月31日までの、1か月分の残高試算表は、以下のようになります。
貸借対照表(10月1日~10月31日)
勘定科目 | 繰越 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
売掛金 | 38,500 | 38,500 | 0 | |
未払金 | 5,500 | 5,500 | 0 | |
前受金 | 33,000 | 33,000 | 0 |
繰越の欄は、9月30日の残高です。
10月中に減少した金額が
に表示され、いずれも残高がゼロになっています。
残高欄は、10月31日の残高です。
損益計算書(10月1日~10月31日)
勘定科目 | 繰越 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
売上 | 38,500 | 33,000 | 71,500 | |
消耗品費 | 3,300 | 1,100 | 4,400 | |
接待交際費 | 5,500 | 5,500 | ||
差引 | 61,600 |
繰越欄は、9月30日の残高です。
10月中に増加した金額が
に表示され、合計額が残高に表示されています。
差引すると利益がわかります。
残高欄は、10月31日の残高です。
残高試算表(9月1日~10月31日)
残高試算表は、期間を指定して確認することができますので、2か月分の増減を確認することもできます。
9月1日から10月31日までの、2か月分の残高試算表は、以下のようになります。
貸借対照表(9月1日~10月31日)
勘定科目 | 繰越 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
売掛金 | 0 | 38,500 | 38,500 | 0 |
未払金 | 0 | 5,500 | 5,500 | 0 |
前受金 | 0 | 33,000 | 33,000 | 0 |
損益計算書(9月1日~10月31日)
勘定科目 | 繰越 | 借方 | 貸方 | 残高 |
---|---|---|---|---|
売上 | 0 | 71,500 | 71,500 | |
消耗品費 | 0 | 4,400 | 4,400 | |
接待交際費 | 0 | 5,500 | 5,500 | |
差引 | 61,600 |
おわりに
帳簿書類の
を、具体例とともに確認しました。
入力して終わりではなく、適宜帳簿書類を確認し、誤りがあれば早めに修正できるようにしておくといいですね。
お使いの会計ソフトに合わせた、具体的な入力サポートをご希望の場合は、確定申告サポートをご利用下さい。