貿易関係の日本企業や外国企業など、国際取引のある企業の方は、消費税にとても敏感ですね。
日本進出予定の外国企業の方なんかは、第一声が
…で、日本の Consumption tax のことなんだけど…
だったりします。
キーワードは輸出免税ですね。
そんなグローバル企業の定番、課税期間の短縮のお話です。
輸出免税が還付となる消費税のしくみとともにみていきましょう。
消費税のしくみ
国内売上の場合
まずは国内売上の場合の消費税のしくみをみてみましょう。
A社は中古車を販売している会社です。
T社から中古車を70万円で仕入れて、Bさんに100万円で販売しました。
消費税は間接税です。買った人(消費する人)が直接税金を納めるのではなく、売った人が預かっておいて、代わりにまとめて納付する税金です。
消費税がかかるたびに、本人が納税しなければならなかったら大変ですからね。
たとえば、スーパーで1,080円(税込)の買い物をしたときに、レジで1,000円しか受け取ってくれず「残りの80円は自分で税務署に払ってくださいね。」なんて言われたらびっくりです。
そこで、お店の人がお客さんが払った消費税をいったん預かっておいて、まとめて納付してくれるんです。
事例のA社は、中古車を売ったときに10万円の消費税を預かっています。
一方で、仕入れたときに7万円の消費税を支払っています。
この7万円は仕入先のT社が預かっていて代わりに納付してくれます。
つまり、10万円を預かっていますが、すでに7万円は預けています。
したがって、A社が納付する金額はその差額の3万円ということになります。
輸出売上の場合
では輸出売上の場合はどうでしょうか。
C社は外国へ中古車を輸出販売している会社です。
T社から中古車を70万円で仕入れて、外国のDさんへ100万円で販売しました。
輸出売上の場合は、消費税が免除されますので、預かった消費税が0円になります。
輸出免税について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
そうすると
がマイナスになります。
代わりに納付しなければならない預かっている消費税はまったくなく、支払って預けている消費税ばかりということです。
預けているだけなので、当然戻ってきます。いわゆる還付です。
課税期間の短縮
ではこの預けているだけの消費税、いったいいつ戻ってくるのでしょうか。
一般的にまとめて計算する期間は1年間です。1年間が終わったあと、その2か月後までに申告をしてやっと戻ってきます。
4月1日から3月31日が事業年度の場合には、4月に預けた消費税は1年以上先まで戻ってきません。
いわば1年以上国にお金を貸してあげている状態です。その証拠に、申告時期によっては、還付金額(元本)だけでなく、還付加算金という利子がつく場合があります。
ただ預けるだけのお金。あとで戻ってくるはずのお金。仕入れるたびにどんどん増えていきます。資金繰りを考えると、なるべく早く戻ってきてほしいですよね。
そこで消費税だけの特別な制度、課税期間の短縮という制度が設けられています。
まとめて計算する期間を、1か月ごとや3か月ごとに短縮できるというものです。
手続きは簡単。「消費税課税期間特例選択(変更)届出書」を提出するだけです。
たとえば、4月1日から3月31日が事業年度の会社が、3か月ごとに短縮した場合には、以下のようになります。
1年以上先まで戻ってこなかったお金が、数か月で戻ってくるようになります。
1か月ごとを選択した場合には、毎月還付金収入があることになります。
ただし、もちろんそのたびに消費税をきちんと計算して、申告書を提出しなければなりません。
また、一度短縮を選択した場合には、2年間は継続しなければなりません。
還付金額の多寡、資金繰りの状況、申告の煩雑さを勘案して、短縮の期間を選びたいですね。
まとめ
グローバル企業の定番、課税期間の短縮について、消費税のしくみとともにお話ししてきました。
輸出売上がメインの企業は、恒常的に還付金が発生するので、課税期間の短縮を選択していることが多いです。
お金には時間価値があります。ただ預けているだけ(貸しているだけ)なのなら、早く取り戻したいものですね。
資金繰りと申告の手間(費用)とのにらめっこです。自社にとって最適な選択をしましょう。