外貨建取引や外貨建資産等の換算には、取引日や期末日(事業年度終了日)の外国為替相場を使用することが原則です。
ただし
や
直近日の為替相場や平均値などを使用することもできます。
における
について解説します。
使用できる外国為替相場
外貨建取引や外貨建資産等の換算は、取引日や期末日(事業年度終了日)の外国為替相場によることが原則です。

取引日に為替相場が無い場合は、どうしたらよいですか?

取引日前の直近日の為替相場を使用することができます。
外貨建取引と外貨建資産等の換算(発生時換算法)
外貨建取引と発生時換算法による外貨建資産等の換算には、取引日の為替相場を使用することが原則ですが、取引日に為替相場がない場合には
の為替相場を使用します。
例えば、取引日が日曜日だった場合は、金曜日の為替相場を使用します。

直近日は月曜日じゃないんですか?

取引日より前の日でなければなりませんので、金曜日です。
なお、取引日に為替相場が2以上ある場合には
を使用します。
また、継続適用を条件として
を使用することもできます。
外貨建取引の頻度が高い場合は、事務負担等を考慮して、月単位や週単位、平均相場などの使用を検討するのもいいですね。
外貨建資産等の換算(期末時換算法)
期末時換算法による外貨建資産等の換算には、期末日(事業年度終了日)の為替相場を使用することが原則です。
ただし、継続適用を条件として
を使用することもできます。
なお、為替相場が異常に高騰したり下落したりして、期末日の為替相場によることが適当でないと認められる場合も、この平均値を使用することができます。
外貨建取引のある企業では、決算近くになると、為替相場と毎日にらめっこすることになる経理の方もいらっしゃいますよね。
平均値を使用すると変動差が緩和されることもありますので、検討してみるといいかもしれませんね。
為替相場の著しい変動があった場合

為替相場が大きく変動して、納税予測がめちゃくちゃです…。

「外国為替の売買相場が著しく変動した場合」に該当すると特例が使えます。
この規定は、為替相場の著しい変動があった場合に、その事業年度の外貨建取引を
に行ったとみなすことができるというものです。
つまり、発生時換算法による換算を採用している外貨建資産等についても、期末時の為替相場で換算することができるということになります。

「著しい」ってどれくらいですか?

割合を算出する計算式があります。
「外国為替の売買相場が著しく変動した場合」とは、下記の算式により計算した割合が、概ね15%以上となるときとされています。
(期末日の為替相場で換算した金額 - 期末日の帳簿価額)/ 期末日の為替相場で換算した金額
例えば、発生時換算法を採用している未収金(長期外貨建債権債務)5,000EURについて
だった場合
となりますので、著しい変動があった場合に該当し、期末日に取引があったものとして換算すると
の税務調整を行うことができます。
ただし、この規定は、通貨の種類が同じ外貨建資産等のすべてについて同様に適用する必要があり、一部だけについて適用することはできません。
また、個々の外貨建資産等ごとに割合の判定を行うことが難しい場合は、通貨の種類および外貨建資産等ごとの合計額を基礎として、割合の計算を行うことができます。
おわりに
における
について解説しました。
外貨建取引や外貨建資産等の換算は、外国為替相場の影響を強く受けます。
使用する為替相場は、慎重に選びたいですね。