うさぎ(ネザーランドドワーフ)と暮らしています。
うさぎさんといえば、とても身近な愛玩動物。
幼稚園や小学校にもいますし、動物園のふれあい広場などでも、小動物といえばうさぎさんではないでしょうか。
そんな子どもの頃から見慣れているはずのうさぎさん。
それなりに知っているつもりでしたが、実際に一緒に暮らしてみると、知らなかったことばかりでした。
うさ飼い初心者が直面した、うさぎさんの驚きの生態をご紹介します。
難易度MAX:抱っこは達人技
うさ飼い初心者の永遠のテーマ。それが抱っこです。
うさぎさんは、小さくておとなしくて簡単に抱っこできそうですよね。
本や雑誌、ブログやSNSなどでは、抱っこされているうさぎさんをよく見かけるかもしれません。
しかし、あの方々は達人、レジェンド、いえもはや神です。
警戒心が強く臆病
ペットや愛玩動物というと、自分から寄ってきて足元に絡みつき抱っこをせがむもの、というイメージをお持ちではないでしょうか。
人懐っこいワンちゃんなんかは、人間を見つけると自分から寄ってきて飛びついてきますよね。
でももしうさぎさんに同じことを期待していると、相当凹みます。
うさぎさんは、野生下では食物連鎖の下位に位置する完全なる弱者。
いわゆる捕食される側の動物ですので、本来は警戒心が強くとても臆病な動物です。
野生下では、捕まえられる=食べられるということ。恐怖しかありません。
背中の皮をはいででも、逃げ切らなければなりません。
ということで、うさぎさんは基本的には、捕まえられたり持ち上げられたりするのが苦手な動物なんです。
骨が弱々
もうひとつ、うさぎさんをむりやり捕まえることを躊躇してしまう理由が、骨の弱さにあります。
捕食者から逃げるために身軽である必要があり、骨格がとても軽くできています。
体重に対する骨の比率が、ほかの動物に比べてとても低くなっているそうです。
ですので、飼育本などでは
という注意事項をよく目にします。
獣医さんによると、足元に居ることに気づかずに、蹴とばしたり踏んでしまったりして骨折するという事故が多いそうです。
また、赤ちゃんのうちは足も小さいので、ケージのすのこに挟まってしまったりすることも注意しなければなりません。
そんなことをいろいろ聞くと、もう怖くて、絶対強く掴んだりできませんよね。
ちょっとさわるだけでも、力加減を気にしてしまいます。こっちも恐々です。
赤ちゃんの頃は、抱っこなんてとんでもないことだと思ってしまいました。
抱っこ難易度分析
ではなぜ抱っこできるうさぎさんが、あんなにたくさんいるのでしょうか。
それは
元も子もありませんが、いろいろ調べたり専門家に尋ねてみたりしても、この回答が定番です。
おそらく複数の理由が複雑に影響するということでしょうね。
たとえば
といったこと。
ということで、愛兎を例に、抱っこの難易度を分析してみたいと思います。
品種
愛兎のネザーランドドワーフは、野生の血が多く残る品種だそうで、小柄なこともあり、ほかの品種のうさぎさんよりも臆病だそうです。
動物全般にいえることですが、大きい種類の方が、穏やかで落ち着いている場合が多いですよね。
また、愛玩用に改良されたりして、野生の血が薄くなるほど警戒心が低くなるようです。
うさぎ専門店やペットショップなどで、ネザーランドドワーフと比較して
とオススメしている店員さんもいました。
愛兎のネザーランドドワーフは、品種としては抱っこしにくい部類に入るようです。
性格
愛兎の性格はというと
どうやら比較的(相当?)捕まえにくい性格のようです。
ただ生後半年頃に、一時期「抱っこOK」の時期が数週間あり、おとなしく抱っこさせてくれていたことがありました。
また、おとなになってからも、ごくまれに「OKのとき」があり、何回か抱っこできています。
現在1歳半ですが、飼い主による抱っこ成功回数は、20回前後というところでしょうか。
ほかのうさぎさんでも
という話をききます。
性格も変わっていくようですね。
ちなみに
とうさぎ専門店の方が思うほど、抱っこが好きなうさぎさんも、ごくまれにいるそうです。
人間側の熟練度
抱っこだけでなく、必要なときにうさぎさんをコントロールできるかどうか。
これについては、やはり人間側の熟練度が最も重要だと感じています。
獣医さん・動物看護師さん
まず動物を扱うプロとして一番に思い浮かぶのが、動物病院の獣医さんや動物看護師さん。
まさに専門家。誰でも簡単に抱っこできるものだと思っていました。
ところが意外や意外。
うさぎに関しては、得手不得手がかなりあるようです。
まずは
まーどんなに暴れようと離しません。

この子すごいなー。ちょっとそっち抑えててー。

えっ、むりむり!!
とか言いながら、ひとりで爪切りをしてくれました。その後も

抱っこはねー、こうじゃなくてこう!こうじゃなくてこう!
と、何度も縦にしたり横にしたり。
慣れすぎていてこっちがヒヤヒヤです(笑)
一方、うさぎが診られる動物病院。といっても、主流はやはりワンちゃんやネコちゃん。
獣医さんもたくさんいますので、うさぎが得意な先生とそうではない先生がいるようです。
当初は

爪切りくらいなら誰でも一緒だよね?
だって獣医さんだし。
と思っていたので、特に指名はせず何度か通院しました。
まずは

お願いだから暴れないでー
と、ウラで格闘されていたのでしょうか。
診察後に呼ばれていくと、髪が乱れぐったりお疲れのご様子。
愛兎が入ったキャリーは、決して開けようとしてくれません(笑)
続きまして

ネ、ネザー…。しかもカルテに「やんちゃ」って書いてある…。
最初からがっつり首根っこを掴み、大急ぎで爪切りを始めましたが、途中で大暴れして、部屋中を逃げ回ってしまいました。
キャリーに戻したが最後、やはり二度と出してくれません(笑)
そして
こちらはまさに神業。
さっと抱き上げて、あらゆるところを触りたくり、爪切りも鼻歌交じり。

まだおとなしい方ですよー。
おしゃべりしながら、地べたに座った自分の太ももとおなかで囲み、頭に手を添えているだけなのに、愛兎はまったく動きません。
念???(笑)
うさ飼いとしては、ぜひとも診てほしい先生ですね。
ただ、飼い主は安心してみていられますが、爪切りのついでに丁寧な診察もしてくださるので、全身を触られて、愛兎にとっては天敵かもしれません(笑)
また

やっぱり、うさぎ専門の先生しかダメなのかなー。
と思いきや、こんな先生も。
最初に抱き上げようとした瞬間

ん?なんか暴れる感じ?
と思ったのでしょうか。

ちょっと強くもちますねー。
と言いつつも、優しく首周りの皮膚を集め、しっかり抱き上げてささっと爪切り。
暴れることなくあっという間に終わりました。
その日は、帰り道も落ち着いていて、帰ってからも何事もなかったかのような様子。
たいていは、道中はずっと震えていて飲まず食わず、帰宅後は足ダン(スタンピング)をお見舞いされます。
手際よく短い時間ですませてくれたので、ストレスが少なかったんでしょうね。
うさぎ専門か、得意かどうか、も大切ですし、相性やその日の気分なんかも関係あるのかもしれません。
ただ、うさぎが苦手な先生だと、うさぎも先生もかわいそうですし、飼い主もヒヤヒヤしますので、爪切り程度でも、できればうさぎが得意な先生を選びたいですね。
ちなみに、健康診断終了後のお迎えのときに、看護師さんに

おとなしいですねー!すごくいい子でしたよ。
と言われました。

えっ?別の子と取り違えてないかい?
と思いましたが、間違いなく愛兎でした。
よほど上手だったんでしょうね。
きれいなお姉さんでしたけど。(愛兎はオス)
人によって評価がさまざまな愛兎なのでした(笑)
うさ飼いベテランさん・うさぎ専門店の店員さん
こちらの方々は、間違いなく達人です。
うさぎ専門店の店員さんは、爪切りやグルーミングなど、どんな暴れん坊な子が来てもこなさなければなりません。
どんな魔法を使っているのでしょうか…。
一方、うさ飼いベテランさんの中には、自分の愛兎は抱っこできるけど、ほかの子は…という方もいるかもしれません。
でも、まったく抱っこできない子を病院に連れていったうさ飼い初心者さんが、待合室で出会ったベテランさんに「抱っこしていい?」と話しかけられ、あっさり抱っこされたという逸話も。
また本来は、うさぎにとって抱っこは嫌なこと。ストレスを与えないためにも
という方もいらっしゃいますね。
うさぎファーストですね。「能ある鷹は爪を隠す」ですね。
うさ飼い初心者
さて我らが初心者。初心者でも、上手に抱っこされている方もいますよね。
うさぎさんの抱っこは、単純に
と落ち込みます。
まー多分そうなんでしょうね…。だって別の人ならできてるんですから。
だからといって、無理に練習とかはしたくないなと思っています。
下手な抱っこの練習に付き合うなんて、うさぎさんにとってはただただストレスです。
でも練習しないと上手にならないし…。
上手になっておかないと、本当に必要なときに困るし…。
と、日々ジレンマと戦っております。
特に、災害などで1分1秒をあらそって捕まえないといけない場面を想像すると、不安になります。
愛兎の身の安全を守ってあげるためにも、人間側の熟練度は、ある程度必要ですね。
飼い主との信頼関係
大勢の家族でうさぎさんを飼っているご家庭では
ということが、よくあるようです。
うさぎさんは、実はめちゃくちゃ内弁慶で、ナワバリ(自分の家)の外に出るとおとなしくなるのが一般的だそうです。
動物病院やうさぎ専門店などで簡単に抱っこされるのは、人間側の熟練度だけが要因ではないんですね。
だから、生後3か月で初めて外出し、知らないところで暴れようとした愛兎は、うさぎ専門医に

この子すごいなー
と言われたのでしょう。
ということは、ナワバリ内では強気モード。
その中で、「お母さんだけOK」「お父さんだけOK」と、人で決めているということは、毎日のお世話やコミュニケーションによって「ほんとは抱っこは怖いけど、この人だったら安心かなー」と思わせた、信頼の証なのだろうと思います。
愛兎も、抱っこはまだまだままなりませんが、徐々に距離が近づいていることを実感しています。
お迎え当初と比べて、変わったことというと
などなど。
そばでこんな感じで寝転んでくれると、信頼されているのかなーと嬉しくなりますね。



でもまだ

呼んでも来ません。無視されます…。
まだまだこれからですね。もっと信頼してもらえるように、日々精進しようと思います。
でもナデナデは好き
さて、うさぎさんとのふれあい方の難しさについてお話ししてきました。

じゃあもしかして、せっかく飼っても全然さわれなかったりするの?
と思ったかもしれません。
どうかご安心ください。
お迎えしたばかりの赤ちゃんうさぎvsうさ飼い超初心者でも、おデコと背中はなでさせてもらえました。
ただ愛兎の場合は、立っているときにいくら息をひそめて慎重に近寄っていっても、逃げられることがしばしば。
ということで、寝転がったときになでるようにしていました。
赤ちゃんの頃に、おしっこトレーニングのために用意した100均の洗いかご。
どうやらこれが気に入ったようで、必ずこの洗いかごの中で寝転がるようになりました。
以来、からだが大きくなってトイレをかえても、ベッドを用意しても、何もないところで寝そべるようになっても
が我が家のルールとなりました。
愛兎が寝そべると






と、どこからか声が…。
家来(「飼い主」ともいう。)は、ほふく前進でねじりよっていき、なでさせてもらうのでした(笑)
ちなみに、さわらせてくれる部位の遍歴は、以下のとおりです。
お迎え当初は、一生おデコと背中しかなでられないと思っていましたが、ほかの部位もだんだん嫌がらなくなり、今ではほぼ全身をさわらせてくれるようになりました。
愛兎が寝転んで、なでてほしいときに限りますが…。
でもくつ下も好き
愛兎はまだ呼んでも来ませんが、寄ってきてもらう方法はいくつかあります。
どうやらくつ下が好きなようです。
くつ下をはいた足と裸足。なにが違うのか意味不明ですが、明らかに態度が違います。
ということで、ついつい手にくつ下をはめて遊んでしまうのですが、興奮しすぎて、遊び終わって寝転ぶと、心臓ドキドキ、呼吸ハフハフで少し心配です。
抱っこはできませんが、なでたり遊んだりしてふれあう方法はたくさんありますね。
衝撃度MAX:無臭!!
うさぎさんと暮らして一番驚いたことが、うさぎさんが無臭だということ。
からだに顔を埋めて、おもいっきり嗅いでもまったく臭くありません。
ともすればなんだかいい匂い。クンクンするととても癒されます。
(注:換毛期にやると、毛を吸い込んで大変なことになります。)
理由のひとつめは、完全草食系であるということ。
肉食や雑食の動物のような匂いはしません。
もうひとつの理由は、毛づくろいにひみつがあります。
うさぎさんは、暇さえあれば体中をなめてキレイにしています。






うさぎさんの唾液には、消臭や殺菌などの効果がある成分が含まれているともいわれていて、毛づくろいをすることで、からだはいつも清潔に保たれています。
すごいですよね。自前のシャンプーです。
ということでお風呂いらず。
逆に濡れることがよくないそうで、シャンプーは原則禁止です。
なぜこんなことができるかというと、これもまた、弱者のDNAのなせる技なんです。
野生下でプンプン獣臭がしていたら、すぐに敵にみつかって食べられてしまいますよね。
匂いを消さないと、安心して暮らせなかったんです。
このように、うさぎさんは匂いにとても敏感です。
食べられる心配のない人間の方が、よっぽど臭いんでしょうね…。
コラム:抱っこの難しさを知らなかった頃
動物好きを自負するわたし。
うさ飼いとなる以前から、全国各地のサファリパークで、うさぎさんとふれあってきました。
うさぎさんが抱っこが苦手だなんて、まったく知らなかったはるか昔。
うさぎさんの方から寄ってきてくれていると思い込んでいたけれど、実は逃げているのを追いかけまわしていただけかもしれない、無知なわたし。
特別なことだとは露知らず、抱っこ体験をさせてくれるサファリパークで


ごきげんに抱っこしてました。
きっと、抱っこされ慣れたベテランのうさぎさんを、抱っこの達人である係員さんが持ち上げたうえで、「はい、どうぞ。」と、のせてもらっただけだったんでしょうけど…。
ちなみに、うさぎさんの基本の抱っこは、うさぎさんの前側から、片手でおなか、片手でお尻を支えて持ち上げます。
お尻を支えて、不安定にならないようにすることが大切です。
2歳半の今:抱っこができるチャンスはこんなとき【2020年8月追記】
まともな抱っこがほとんどできないまま2歳半になった愛兎。
うさんぽスペース(サークル)をぐんぐん拡張したこともあり、完全に抱っこできなくなってしまいました。
逃げ場所がいくらでもある広々空間では、抱っこの気配を少しでも察すると、さーっと走り去ってしまいます。
とにかくめちゃくちゃ鋭いです(笑)
そんな愛兎ですが、抱っこできるチャンスが2つあります。
病院から帰ってきたとき
うさぎさんは
と言われています。
家の中でも、別の部屋やお風呂場など、知らないところに連れていって、抱っこやその他保定が必要なお世話をする、という工夫をされている方もいますよね。
愛兎は、抱っこ難易度分析の性格や人間側の熟練度でご紹介したとおり、病院でもちょっと暴れん坊ですが、やっぱりみんなと同じく病院は怖いし苦手です。
道中ではずっと震えていて毎回かわいそうになります。
そして、テンションだだ下がりで帰宅し、キャリーから出る瞬間。
ここが千載一遇のチャンスです!
キャリーのドアを開ければ自分から出られるんですが、上から開けて抱っこします。
驚くほどおとなしくすんなり抱っこさせてくれます。

感激!
チャンスはこの一瞬、この一回だけです。
もたもたしているとおウチに帰ってきたことに気づかれてしまいます。
落ち込んでいるときにかわいそうですが、まともな抱っこができるのはこのときだけです。
試したことがない方は、ぜひ一度挑戦してみてください。
そしてそのあとはいっぱいナデナデしてあげてくださいね。


マウンティングに夢中になっているとき
愛兎は、でもくつ下も好きでご紹介したとおり、靴下が大好きです。
2歳頃からは、靴下へのマウンティングが激しくなって、隙あらば抱え込もうとしていました。
こちらも嬉しいので、手に靴下をはめて応戦です。



よっぽど夢中になっているのでしょう。
マウンティングを試みている最中は、簡単に抱っこすることができます。
まともな抱っことは言い難いですが、容易に持ち上げることができました。
また、遠くにいても、靴下を手にはめてアピールすれば、いつでも寄ってきてくれます。
ケージに戻ってもらうのも、キャリーに入ってもらうのもラクラクです。
でもやり過ぎは禁物でした。

マウンティングが激しいんですけど大丈夫ですか?

ん?ちょっと赤くなってますね(♂大事なところ)
少し控えた方がいいかもしれませんね。

ガーン!
ということで、マウンティングはドクターストップとなった愛兎。
その後1週間ぐらい「されそうになったらすーっと避ける」ということを繰り返していたら、靴下への攻撃はほぼなくなりました。

淋しい…。
淋しいですが健康第一。ぐっと我慢です。
ちなみに、愛兎はチモシーも大好きなので、チモシーでおびき寄せてケージに帰ってもらうこともできます。
そして、ほかのうさぎさんほどケージに戻るのを嫌がりません。
扉を開けているのに、自分から帰って行って、中でくつろいで全然出てこないことも…。

これまた淋しい…(笑)
また、マウンティングは、遊び程度なら構わないそうで、絶対ダメというわけではないそうです。
マウンティングに限らず、何かに夢中になっているときは抱っこしやすいのではないかなと思います。
ということで、2歳半になった愛兎は、引き続き「抱っこできないうさぎ」として、ゴキゲンに楽しく暮らしています。


まとめ
うさ飼い初心者が、うさぎと暮らして初めて知った驚きの生態として、抱っこの難しさと無臭のひみつについてお話ししてきました。
うさぎさんは抱っこが苦手ですが、その理由は少し切ないですね。無臭のひみつもしかりです。
安全なおウチに迎え入れたうさぎさんには、品種や性格を問わず、ぜひとも安心して暮らしてほしいものです。
また、治療や爪切りなど、ほかの人に頼むときには、信頼できる専門家を選んであげたいですね。
むりに抱っこしなくても、ふれあう方法はたくさんあります。
少しずつ仲良くなって、信頼関係を深めていきたいですね。