
適格請求書発行事業者の被相続人から事業を承継しました。
相続人は自動的に適格請求書発行事業者になりますか?

適格請求書発行事業者の登録の効力は承継されません。
相続人自身の登録申請が必要です。
2023年10月1日から開始する適格請求書等保存方式(インボイス制度)のための
は、既にお済みでしょうか。
相続により、登録済の被相続人から事業を承継した場合の手続きについてご紹介します。
また、被相続人が
などを提出していた場合も、相続人にはその効力が及びませんので、新たに届出が必要です。
相続があった場合の
について、提出期限や特例措置などを詳しくみていきましょう。
適格請求書発行事業者の登録
相続により事業を承継し、被相続人が適格請求書発行事業者の登録をしていた場合、その登録の効力は相続人には承継されません。
相続人が適格請求書を発行するためには、相続人自身が適格請求書発行事業者の登録申請をする必要があります。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始するのは2023年10月1日です。
その開始日から登録を受けようとする場合の提出期限は2023年3月31日です。
ただし、困難な事情があった場合には、2023年9月30日までに提出することで開始日から登録が受けれることになっています。
開始前に相続があった場合は、この困難な事情に該当しますので、2023年9月30日までに登録申請書の提出をしましょう。
また、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の開始後に相続があった場合には、既に被相続人が適格請求書を発行している状態です。
相続があった時点ですぐに登録の効力が失われると取引先も困ってしまいます。
そこで、相続のあった日の翌日から
上記のいずれか早い日までは、相続人を適格請求書発行事業者とみなし、適格請求書を発行できることになっています。
従って、この特例措置の期間は最長4か月で、その間に相続人は登録すればよいということになりますが、登録の手続きや審査には時間がかかる場合があります。
相続により事業を承継し、被相続人が適格請求書発行事業者の登録をしていた場合には、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の開始前後を問わず、相続人は速やかに登録申請書の提出をしましょう。
各種選択届出書
概要
免税事業者に該当するけれど
といった理由で、自ら課税事業者となる場合には、原則として
を提出します。
主な取引が輸出免税取引で、恒常的に還付金が発生する場合は
を提出することで、課税期間を短縮することもあります。
また、基準期間の課税売上高によっては
の提出により、消費税の計算方法の特例である簡易課税制度を選択する場合もあります。
被相続人がこれらの届出をしている場合、事業を承継した相続人にはその効力は及びません。
相続人が同様の選択をしようとする場合は、新たに届出が必要です。
提出時期と適用開始時期を確認しておきましょう。
課税事業者選択届出書と課税期間特例選択・変更届出書
課税事業者選択届出書(または課税期間特例選択・変更届出書。以下同じ。)は、原則として適用を開始する課税期間前にその届出書を提出しなければなりません。
ただし、相続により事業を承継した場合で、以下のいずれかに該当するときには特例があります。
この場合に
に届出書を提出すれば、適用を開始する課税期間を、以下のいずれかの課税期間から選択することができます。
(A)が特例で、(B)は原則通りです。
なお、届出書の提出が、相続があった課税期間後となった場合には、適用を開始する課税期間は原則通り
となります。
相続があった課税期間の翌課税期間に提出した場合は、さらにその翌課税期間からの適用になりますので、注意が必要です。
簡易課税制度選択届出書
簡易課税制度選択届出書は、原則として適用を開始する課税期間前にその届出書を提出しなければなりません。
ただし、相続により事業を承継した場合で、以下のいずれかに該当するときには特例があります。
提出時期と適用開始時期については、課税事業者選択届出書と課税期間特例選択・変更届出書と同様です。
その他の手続き
申告・納付
相続人は、事業を承継していなくても、被相続人の消費税について、申告・納付義務があります。
申告期限は
です。
被相続人が、1月1日~3月31日までの間に亡くなった場合には、前年分の申告書も未提出である可能性があります。
こちらの申告・納付義務も相続人にありますので、前年分の申告状況の確認も必要です。
届出
相続人は、個人の課税事業者が死亡した場合には
適格請求書発行事業者が死亡した場合には
を提出する必要があります。
おわりに
相続があった場合の消費税の取扱いとして
をご紹介しました。
個人事業の場合、登録や選択は事業者個人が行うもので、事業に付随して承継されるものではありません。
相続人が同様の登録や選択をする場合には、新たに手続きをする必要がありますので、提出期限や特例措置について確認しておきましょう。