固定資産税の情報開示制度のひとつとして
があります。
縦覧制度の概要とともに
を解説します。
縦覧制度の概要
固定資産税の納税者は、評価額に不服がある場合には、審査の申出をすることができます。

不服かどうかなんてわからんよ…。

そうですね。評価額が適正かどうかを判断するのは難しいですね。
そこで、納税者が、近隣の他の土地や家屋の評価額と比較することができるように、縦覧制度が設けられています。
なお、縦覧制度の対象は土地と家屋だけです。
償却資産は、申告制度によって評価額を把握していますので、縦覧制度はありません。
縦覧帳簿
縦覧帳簿には
があり、市町村が、毎年3月31日までに作成することになっています。
記載事項は、課税台帳から一定の事項を抜粋したものになります。
縦覧帳簿は、評価額の確認を目的に作成されるものであり、個人情報を保護する必要もあるため、所有者情報等は記載されません。
土地価格等縦覧帳簿の記載事項は
の5つです。
家屋価格等縦覧帳簿の記載事項は
の6つです。
課税台帳の記載事項から、以下のように抜粋して作成されます。
土地課税台帳等 | 土地価格等縦覧帳簿 |
---|---|
所在 | ○ |
地番 | ○ |
地目 | ○ |
地積 | ○ |
納税義務者 | × |
価格 | ○ |
価格×特例率 | × |
課税標準 | × |
比準課税標準額 | × |
法附則17の2 | × |
家屋課税台帳等 | 家屋価格等縦覧帳簿 |
---|---|
所在 | ○ |
家屋番号 | ○ |
種類 | ○ |
構造 | ○ |
床面積 | ○ |
納税義務者 | × |
価格 | ○ |
価格×特例率 | × |
縦覧対象者
縦覧制度の対象者は、納税者だけです。
納税者とは、納税義務者のうち「具体的に租税債権の額が確定した者」つまり
のことです。
納税義務者であっても、免税点未満や非課税資産である場合など、固定資産税が課されない人は、納税者ではありません。
また
しか縦覧することはできません。

自分が土地しか持っておらんかったら、家屋の縦覧帳簿は見れんのじゃな。

そうですね。目的はあくまで自己資産との比較だからですね。
縦覧期間
縦覧期間の開始は、毎年4月1日です。
一方、終了は
とされており、市町村によって異なります。
なお、最初の納期限が4月20日より早い場合は
になります。
また、「以後の日」ですので、市町村の判断で期間を長くすることも可能です。
最低20日は確保した上で、終了日は市町村ごとに条例で定めるということになります。
通常、納税者は、市町村から交付される
によって、固定資産税の詳細を知ります。
この納税通知書の交付を受けてから、最初の納期限までの間に、評価額を確認することができるように、終了日が設定されます。
おわりに
固定資産税の縦覧制度について解説しました。
4月上旬の現在は、どの市町村でも縦覧期間中です。
納税者は、終了日、縦覧場所、必要書類等を確認の上、一度試してみるといいですね。