欠損金の繰戻し還付は
去年儲かってたくさん税金を払ったんだけど、今年赤字になったので少し返してもらったりできませんか?
という請求ができる制度です。
概要とともに処理手順をみていきましょう。
概要
欠損金の繰戻し還付は、
つまり、赤字の年が終了した時点で適用を検討する制度ですね。
- 前期還付所得事業年度(黒字)
法人税納付
- 当期欠損事業年度(赤字)
申告書の提出と同時に還付請求
- 翌期
還付
といい、還付金額がいくらになるかは
で決まります。
そしてこの制度は、青色申告の中小法人だけが適用できる優遇税制です。
中小法人や大法人の詳細については、こちらの記事をご確認ください。
例
それでは例を挙げて各年の処理をみていきましょう。
欠損事業年度の処理
還付請求書
欠損事業年度の主な作業は、この還付請求書の提出です。
上記の例を実際に記入すると
還付金額は
還付所得事業年度の法人税額 × 欠損事業年度の欠損金額 / 還付所得事業年度の所得金額
です。
これを申告書の提出と同時に提出します。
申告書
繰戻し還付の請求をするとき(欠損事業年度)は、欠損金を使いますので別表七が必要です。
別表七
また、別表一の以下の欄も確認してください。
別表一
還付請求書を作成すると自動で表示される申告ソフトが多いと思いますが、関連箇所の記入漏れがないか確認しておきましょう。
会計処理:なし
欠損事業年度は、請求をしただけで還付されるかどうかは確定していませんので、会計処理はありません。
税務調整:なし
会計処理がありませんので、税務調整もありません。
還付があった事業年度の処理
会計処理
雑収入で処理します。
(現金預金)8,201,579 | /(雑収入)8,201,579 |
税務調整
別表四で益金不算入の調整をします。
欠損金の繰戻しによる還付金額(減算・課税外収入※)8,201,579
おわりに
欠損金の繰戻し還付について、概要と処理手順を紹介しました。
青色欠損金といえば繰越控除ですよね。10年間欠損金が使える制度です。
一方、繰戻し還付は1年だけの特別な制度です。
資金繰りが苦しかったり、翌年以降も損失が続く見通しであれば、還付を選択すればよいですが、あくまで選択適用です。
翌年以降のことも考えて慎重に選択しましょう。