欠損金の繰戻し還付:還付請求書と申告書。各年の会計処理と税務調整は?

税金

欠損金の繰戻し還付は

去年儲かってたくさん税金を払ったんだけど、今年赤字になったので少し返してもらったりできませんか?

という請求ができる制度です。

概要とともに処理手順をみていきましょう。

繰戻し還付の対象となる欠損金には、解散等や災害損失によるものもありますが、ここでは、一般的な青色欠損金について紹介しています。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置

欠損金の繰戻しによる還付制度は、本来は中小法人向けの優遇制度ですが、資本金1億円超10億円以下の企業の令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金について、特例として適用が可能となる見込みです。

概要

欠損金の繰戻し還付は、

  • 赤字の年の前年が黒字で法人税を納付していることが前提で、
  • 赤字の年の申告書を提出するときに同時に請求します。

つまり、赤字の年が終了した時点で適用を検討する制度ですね。

  • 前期
    還付所得事業年度(黒字)

    法人税納付

  • 当期
    欠損事業年度(赤字)

    申告書の提出と同時に還付請求

  • 翌期

    還付

  • 黒字の事業年度を「還付所得事業年度」
  • 赤字の事業年度を「欠損事業年度」

といい、還付金額がいくらになるかは

  • 還付所得事業年度の所得(利益)
  • 還付所得事業年度の法人税額
  • 欠損事業年度の欠損金額(損失)

で決まります。

そしてこの制度は、青色申告の中小法人だけが適用できる優遇税制です。

繰戻し還付の対象となる欠損金には、解散等や災害損失によるものもありますが、ここでは、一般的な青色欠損金について紹介しています。

解散等や災害損失によるものであれば、白色申告法人や大法人も適用できる場合があります。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置

欠損金の繰戻しによる還付制度は、本来は中小法人向けの優遇制度ですが、資本金1億円超10億円以下の企業の令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金について、特例として適用が可能となる見込みです。

中小法人や大法人の詳細については、こちらの記事をご確認ください。

それでは例を挙げて各年の処理をみていきましょう。

還付所得事業年度
  • 所得金額又は欠損金額 157,000,000
  • 法人税額計 35,768,000
  • 控除税額 600,000
  • 差引所得に対する法人税額 35,168,000
欠損事業年度
  • 所得金額又は欠損金額 △36,000,000

欠損事業年度の処理

還付請求書

欠損事業年度の主な作業は、この還付請求書の提出です。

欠損金の繰戻しによる還付請求書

上記の例を実際に記入すると

還付金額は

還付所得事業年度の法人税額 × 欠損事業年度の欠損金額 / 還付所得事業年度の所得金額

です。

これを申告書の提出と同時に提出します。

申告書

繰戻し還付の請求をするとき(欠損事業年度)は、欠損金を使いますので別表七が必要です。

別表七

欠損金の繰戻し還付は、法人税だけの制度です。

地方税にはこの制度はありませんので、繰戻し還付を行うと、法人税と地方税の欠損金残高が一致しなくなります。

また、別表一の以下の欄も確認してください。

別表一

還付請求書を作成すると自動で表示される申告ソフトが多いと思いますが、関連箇所の記入漏れがないか確認しておきましょう。

会計処理:なし

欠損事業年度は、請求をしただけで還付されるかどうかは確定していませんので、会計処理はありません。

税務調整:なし

会計処理がありませんので、税務調整もありません。

還付があった事業年度の処理

会計処理

雑収入で処理します。

(現金預金)8,201,579/(雑収入)8,201,579

税務調整

別表四で益金不算入の調整をします。

欠損金の繰戻しによる還付金額(減算・課税外収入※)8,201,579

おわりに

欠損金の繰戻し還付について、概要と処理手順を紹介しました。

青色欠損金といえば繰越控除ですよね。10年間欠損金が使える制度です。

一方、繰戻し還付は1年だけの特別な制度です。

資金繰りが苦しかったり、翌年以降も損失が続く見通しであれば、還付を選択すればよいですが、あくまで選択適用です。

翌年以降のことも考えて慎重に選択しましょう。

タイトルとURLをコピーしました