消費税の非課税取引

税金
税金

消費税が非課税となる取引は

  • 課税の対象とすることになじまないもの
  • 社会政策的な配慮に基づくもの

の2つに分類され、合計で13項目あります。

各項目の概要と対象範囲を確認しましょう。

課税の対象とすることになじまないもの

消費税の性格上、課税の対象とすることになじまないものとして

  • 土地の譲渡・貸付け
  • 有価証券・支払手段等の譲渡
  • 利子・保険料等
  • 郵便切手類・物品切手等の譲渡
  • 行政手数料・外国為替業務等

の5項目が非課税とされています。

土地の譲渡・貸付け

土地は消費するものでなく、その譲渡は資本の移転に過ぎないことから

  • 土地の譲渡および貸付け

は、非課税とされています。

土地には、山林の立木など、独立して取引の対象となる定着物は含まれませんが、宅地と合わせて譲渡する

  • 庭木
  • 石垣
  • 庭園

などは含まれます。

土地の上に存する権利として

  • 地上権
  • 賃借権

なども対象範囲に含まれ、借地権に係る

  • 更新料
  • 名義書換料

も非課税です。

一方、土地の売買や賃貸借のための

  • 仲介手数料

整地のための

  • 土地造成費

そのほか

  • 鉱業権
  • 土石採取権
  • 温泉利用権
  • 土地を目的物とした抵当権

などは対象外です。

有価証券・支払手段等の譲渡

有価証券などの譲渡は、単なる資本の移転に過ぎず、消費の対象とならないため

  • 有価証券の譲渡
  • 有価証券に類するものの譲渡
  • 支払手段の譲渡
  • 支払手段に類するものの譲渡

は、非課税とされています。

対象となるものは

有価証券
  • 国債証券、地方債証券、社債券、株券、新株予約権証券
  • 投資信託、貸付信託の受益証券
  • CP、抵当証券、海外CD
有価証券に類するもの
  • 証券の発行がない国債、地方債、社債、株式等
  • 合同会社等の社員の持分、協同組合等の組合員や会員の持分等
  • 貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権
支払手段
  • 銀行券、政府紙幣および硬貨
  • 小切手、為替手形および約束手形
  • 信用状等
支払手段に類するもの
  • 暗号資産
  • 電子決済手段

などです。

上記以外の

  • 船荷証券
  • 倉庫証券
  • 複合運送証券
  • ゴルフ会員権
  • 記念硬貨

などは含まれません。

利子・保険料等

金融取引は消費の対象とならず、国際的にも非課税とされていることから

  • 利子を対価とする金銭の貸付け
  • 保険料を対価とする役務の提供

などは、非課税とされています。

対象となるものは

  • 国債、地方債、社債、預金および貸付金の利子
  • 集団投資信託等の収益として分配される分配金
  • 信用の保証料、保険料、共済掛金、手形の割引料
  • 割賦販売等の手数料
  • ファイナンス・リースのリース料のうち、利子および保険料相当額

などです。

割賦販売やファイナンス・リースについては、契約において金額が明らかにされているものに限ります。

郵便切手類・物品切手等の譲渡

郵便切手類や物品切手などは、使用の際に消費されるものであるため

  • 郵便切手類、印紙および証紙の譲渡
  • 物品切手等の譲渡

は非課税とされています。

郵便切手類、印紙、証紙については

  • 郵便局
  • 印紙売りさばき所
  • 地方公共団体

などの一定の場所における譲渡に限られます。

物品切手等とは

  • 商品券
  • ビール券
  • 図書カード
  • 各種プリペイドカード

などのことです。

行政手数料・外国為替業務等

行政手数料などは、生活を営む上で、その支払いが事実上強制されているものが多く、税金と同様の性格を有していることから

  • 国、地方公共団体等が法令に基づき徴収する手数料等に係る役務の提供
  • 外国為替業務に係る役務の提供

は非課税とされています。

対象となる行政手数料は、その支払いが

  • 法令に基づくもの

で、具体的には

  • 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認、指定
  • 検査、検定、試験、審査、講習
  • 証明
  • 公文書の交付、更新、訂正、閲覧、謄写
  • 裁判その他の紛争の処理
  • 旅券の発給
  • 裁定、裁決、判定、決定
  • 公文書に類するものの交付、更新、訂正、閲覧、謄写
  • 審査請求その他これに類するものの処理

などが挙げられます。

法令にその事務が定められていない手数料等は、対象外です。

外国為替業務については

  • 外国為替取引
  • 対外支払手段の発行
  • 対外支払手段の売買または債権の売買

が対象です。

ただし

  • 円による居住者間の売買

や、居住者による

  • 非居住者からの証券の取得
  • 非居住者への証券の譲渡に係る媒介、取次ぎ、代理

は対象外です。

社会政策的な配慮に基づくもの

社会政策的な配慮に基づき

  • 療養・医療等
  • 介護・社会福祉事業等
  • 助産
  • 埋葬料・火葬料
  • 身体障害者用物品
  • 学校教育
  • 教科用図書の譲渡
  • 住宅の貸付け

の8項目が非課税とされています。

療養・医療等

医療は、生命や健康の維持に直接関わるものであることから

  • 公的な医療保障制度に係る療養、医療、施設療養またはこれらに類する資産の譲渡等

は、非課税とされています。

健康保険法などの法令の規定による

  • 保険診療報酬

などが非課税の対象です。

自由診療報酬となる

  • 健康診断、人間ドック
  • 診断書作成手数料
  • 差額ベッド料

や、製薬会社等による

  • 医薬品
  • 医療器具

の販売などは対象外です。

介護・社会福祉事業等

介護サービスは公的医療に準ずるものであること、また、社会福祉事業については対象者への配慮により

  • 介護保険法の規定に基づく、居宅・施設・地域密着型介護サービス費の支給に係る居宅・施設・地域密着型サービス等
  • 社会福祉法に規定する社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等

は非課税とされています。

代表的なものとしては

  • 訪問介護
  • 養護老人ホーム

が挙げられます。

ただし、社会福祉事業のうち

  • 生産活動

に係るものは対象外です。

助産

助産は生命の誕生に関するものであることから

  • 医師、助産師その他医療に関する施設の開設者による、助産に係る資産の譲渡等

は非課税とされています。

医療給付の有無に関わらず

  • 妊娠判定検査
  • 妊娠後の検診、入院
  • 分娩介助
  • 回復検診
  • 新生児の検診、入院

などが対象です。

産科以外では課税取引となる

  • 差額ベッド料
  • 特別給食費

などについても、産科においては全額非課税となります。

埋葬料・火葬料

埋葬料・火葬料は、生命の終結に関するものであることから

  • 墓地、埋葬等に関する法律に規定する埋葬・火葬に係る埋葬料・火葬料を対価とする役務の提供

は非課税とされています。

非課税となるのは、墓地、埋葬等に関する法律に規定する

  • 埋葬
  • 火葬

にかかる費用で

  • 改装

の際に行われるものも含みます。

これら以外の

  • 葬儀費用
  • 納骨費用

などは対象外です。

身体障害者用物品

身体障害者用物品については、対象者への配慮から、諸外国においても広く非課税措置が講じられており

  • 身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造又は機能を有する物品の譲渡、貸付け等

は非課税とされています。

対象となるのは

  • 厚生労働大臣等が指定

した物品で、2025年3月31日の告示によると

  • 義肢
  • 視覚障害者安全つえ
  • 義眼
  • 点字器
  • 人工喉頭
  • 車椅子

など、38の物品が挙げられています。

同告示には、具体的な製品名も記載されています。

学校教育

学校教育は、国の重要な制度であり、政策的配慮により

  • 学校、専修学校、各種学校等の授業料、入学金、施設設備費等

は非課税とされています。

非課税となる取引は限定されており、学校教育法に規定する学校等の

  • 授業料
  • 入学金
  • 施設設備費
  • 入学検定料
  • 在学証明等の手数料

が対象です。

学校等が行うものであっても

  • 学校給食
  • 調査・研究
  • 公開模擬試験

などは対象外です。

教科用図書の譲渡

教科用図書については、学校教育と同様に、政策的配慮により

  • 教科用図書の譲渡

は非課税とされています。

学校教育法に規定する

  • 検定済教科書

が対象です。

上記以外の

  • 参考書
  • 問題集

などの補助教材は対象外です。

住宅の貸付け

住宅の家賃は、生活に直結し、その占める割合も多いことから

  • 住宅の貸付け

は非課税とされています。

建物のうち

  • 貸付期間が1月以上の住宅

のみが対象で

  • 貸付期間が1月未満のもの
  • 居住用以外のもの(事務所、店舗など)
  • 施設(旅館、ホテルなど)

は含まれません。

輸入取引の非課税

国内取引とのバランスを考慮し、外国貨物のうち

  • 有価証券等
  • 郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等
  • 身体障害者用物品
  • 教科用図書

の引取りについては非課税とされています。

おわりに

消費税の13の非課税取引を確認しました。

課税の対象とすることになじまないもの(5項目)
  • 土地の譲渡・貸付け
  • 有価証券・支払手段等の譲渡
  • 利子・保険料等
  • 郵便切手類・物品切手等の譲渡
  • 行政手数料・外国為替業務等
社会政策的な配慮に基づくもの(8項目)
  • 療養・医療等
  • 介護・社会福祉事業等
  • 助産
  • 埋葬料・火葬料
  • 身体障害者用物品
  • 学校教育
  • 教科用図書の譲渡
  • 住宅の貸付け

非課税措置が講じられるのには、何らかの理由があります。

制度の背景や趣旨も合わせて気に留めておくと、列挙されていない場合にも類推することができます。

自分の事業に関係のある項目だけで構いませんので、まずは

  • なぜ非課税なのか

を考えてみると、理解が深まりますね。

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