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出向があった場合の給与負担金(法人税・消費税・源泉所得税の取扱い)

税金
税金

親会社から出向者が来る予定です。

給与負担金はどのように処理すればよいですか?

出向があった場合の給与負担金の

  • 法人税の取扱い
  • 消費税の取扱い
  • 源泉所得税の取扱い

について解説します。

法人税の取扱い

概要

関連会社間などで出向があった場合に

  • 出向元が出向者へ給与を支給する
  • 出向先が出向元へ給与負担金を支払う

としている場合、出向先が支払った給与負担金は、給与として取り扱われます。

給与負担金

経営指導料など、別の名称であっても、実質的に給与負担金である場合は同様です。

給与は労働の対価ですので、実際に働いている出向先で負担するのが原則です。

負担しない場合は、出向元から出向先への寄附金として取り扱われます。

出向先で役員となっている場合

出向者が出向先で役員となっている場合に

  • 給与負担金について役員に対する給与として出向先の株主総会等の決議がされている
  • 出向契約等において出向期間と給与負担金の額があらかじめ定められている

ときは、給与負担金は役員給与に該当し、役員給与の損金不算入の規定が適用されます。

したがって

  • 出向元が出向者へ賞与を支給する
  • 出向先が出向元へ賞与相当額の給与負担金を支払う

といった場合に、給与負担金を損金の額に算入したい場合は、出向先で事前確定届出給与の届出が必要です。

給与の較差補填

出向元が出向者に対して、出向先との給与条件の較差を補填するための給与を支給することがあります。

例えば

  • 経営不振等の出向先に代わって出向元が負担する賞与
  • 国外の出向先へ出向する場合の留守宅手当

などは、給与条件の較差を補填するために支給したものとされます。

これらの支給につき、合理的な理由がある場合は、出向元で損金の額に算入することができます。

消費税の取扱い

給与は、雇用関係に基づいて支払われる労働の対価です。

消費税の課税対象となる取引は

  • 国内において行うもの
  • 事業者が事業として行うもの
  • 対価を得て行うもの
  • 資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供であること

の4つをすべて満たすものですが、給与は

  • 事業者が事業として行うもの

という要件を満たしませんので、消費税の課税対象となりません。

出向の場合、出向者は出向元と雇用関係を維持しながら、出向先との間においても雇用関係に基づき勤務します。

  • 出向元が出向者へ給与を支給する
  • 出向先が出向元へ給与負担金を支払う

としている場合

  • 出向元が支給する給与
  • 出向先が支払う給与負担金

は、いずれも課税仕入れとなりませんし

  • 出向元が受け取る給与負担金

も消費税の課税対象になりません。

出向者に対する給与の負担方法は、ほかにも

  • 出向先が出向者へ給与を支給し、出向元が出向先へ給与負担金を支払う
  • 出向元と出向先がそれぞれ出向者へ給与を支給する

といった方法がありますが、いずれの場合であっても、出向者に対して給与を支給したものとして取り扱われます。

源泉所得税の取扱い

源泉徴収の義務は、出向者に対して給与を支払った者にあります。

  • 出向元が出向者へ給与を支給する
  • 出向先が出向元へ給与負担金を支払う

としている場合、源泉徴収をするのは出向元になります。

出向先から出向元へ支払う給与負担金について、源泉徴収をする必要はありません。

おわりに

出向があった場合の給与負担金について解説しました。

親子会社の場合、親会社の従業員(使用人)が、子会社の役員として出向するケースがあります。

出向先では役員給与に該当しますので、取扱いに注意が必要です。

また、実際の給与支給額と給与負担金の金額に過不足がある場合は、合理的な理由がなければ、寄附金として取り扱われます。

較差補填等をする場合は、契約書等を準備し、理由を説明できるようにしておきましょう。

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