消費税:課税売上割合の留意点

税金
税金

課税売上割合は、以下の計算式で算出される割合です。

課税売上割合
課税売上割合

仕入税額控除の

  • 全額控除可否判定(95%)
  • 個別対応方式の共通対応分の計算
  • 一括比例配分方式の計算

に使われます。

くま税理士
くま税理士

仕入税額控除の金額を決める、重要な割合です。

課税売上割合の

  • 計算上の留意点
  • 非課税売上高の取扱い
  • 課税売上割合に準ずる割合

について解説します。

計算上の留意点

課税売上割合の計算には、以下のような留意点があります。

計算単位

課税売上割合は、事業者単位で計算します。

事業所や事業部単位等で計算することはできません。

課税売上高

課税売上割合の計算に、消費税は含めません。

課税売上高は、税抜金額にする必要があります。

国外取引・国外移送等

国外取引は、課税売上割合の計算には含めません。

国外移送については、FOB価額を含めます。

対価の返還・貸倒れ

売上に係る対価の返還等を行った場合は、各売上高からその税抜金額を控除します。

貸倒れとなった金額については、課税売上割合の計算には関係させません。

回収があった場合も同様です。

非課税売上高の取扱い

分母の非課税売上高に計上する金額について、特殊な取扱いとなる項目があります。

非課税取引については、以下をご参照ください。

譲渡対価の5%を計上するもの

課税売上割合の計算上、分母の非課税売上高に計上する金額を

  • 譲渡対価の5%

とする項目があります。

対象となるのは

  • 有価証券等の譲渡

です。

有価証券や金銭債権の売却は、売却益を得ることが目的のひとつで、本来であれば、売却益のみを非課税売上高とすべきです。

けれど、消費税の計算においては、売却収入が売上高となります。

そこで、概算にはなりますが、課税売上割合の計算上は、有価証券等の譲渡については、その譲渡対価の5%を、非課税売上高へ計上することになっています。

有価証券として

  • 国債証券、地方債証券、社債券、株券、新株予約権証券
  • 投資信託、貸付信託の受益証券
  • CP、抵当証券、海外CD

などと、有価証券に類するもののうち

  • 証券の発行がない国債、地方債、社債、株式等
  • 貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(他から購入したもの)

も含まれます。

金銭債権については、再ファクタリング等が対象です。

※金銭債権のうち、資産の譲渡等の対価として取得したものについては、次節:計上しないものをご確認ください。

たとえば、投資信託を

  • 売却価額:20,000,000円
  • 帳簿価額:18,400,000円

で売却し、1,600,000円の売却益があった場合、課税売上割合の計算上、非課税売上高に計上するのは

  • 20,000,000 × 5% = 1,000,000円

になります。

なお、有価証券に類するもののうち

  • 合同会社等の社員の持分、協同組合等の組合員や会員の持分等

は、頻繁に売買するものではないため、原則どおり

  • 譲渡対価の全額

を計上します。

計上しないもの

非課税売上に該当するものの、課税売上割合の計算上、分母の非課税売上高には

  • 計上しない

項目があります。

対象となるのは

  • 支払手段の譲渡
  • 暗号資産の譲渡
  • 金銭債権の譲渡(対価として取得したもの)
  • 売現先

です。

対価として取得した金銭債権や支払手段等の譲渡は、前段の取引において、既に売上が計上されているものです。

それを、現金化等を目的として他者へ譲渡するという取引であり、これを売上計上すると重複することになります。

また、売現先の実質は、単なる資金調達です。

したがって、これらの取引については、課税売上割合の計算上は、計上しない(計算に含めない)ことになっています。

たとえば、商品を販売した際の売掛金1,100,000円を、900,000円で譲渡し、現金を受け取ったとします。

  • 売掛金:1,100,000円
  • → 現金:900,000円

この場合、900,000円の売却収入は、金銭債権の譲渡として非課税売上に該当しますが、課税売上割合の計算上は、分母の非課税売上高には含めません。

差額を計上するもの

課税売上割合の計算上、分母の非課税売上高に

  • 取引差額

を計上する項目があります。

対象となるのは

  • 金銭債権の譲受けに係る差益
  • 国債等の償還差損益
  • 買現先

です。

これらは、その取引差額が、手形の割引料や利息と同等の性質であると考えられるため、課税売上割合の計算上は、その取引差額を非課税売上高へ計上することになっています。

たとえば

  • 額面金額:1,000,000円
  • 取得価額:950,000円

の割引債の償還を受けた場合、課税売上割合の計算上、非課税売上高に計上するのは

  • 1,000,000 - 950,000 = 50,000円(償還差益)

になります。

課税売上割合に準ずる割合

仕入税額控除の計算を

  • 個別対応方式

により行う場合、その計算式は

個別対応方式

課税売上対応分 + 共通対応分 × 課税売上割合

となります。

共通対応分については、原則として

  • 課税売上割合相当額

が仕入税額控除の対象となりますが

  • 課税売上割合に準ずる割合

として、他の合理的な割合を使用することもできます。

たとえば

  • 従業員割合
  • 事業部門ごとの割合
  • 床面積割合
  • 取引件数割合

などです。

共通対応分は、業種や事業形態に応じて、その性質はさまざまです。

その実態は、必ずしも課税売上割合によって、適切に反映されるとは限りません。

したがって、課税売上割合よりも合理的な割合であると認められれば、その割合を用いて計算することができることになっています。

適用範囲は、本来の課税売上割合とは異なり、事業者単位で同一の割合を採用する必要はありません。

たとえば

  • 事業の種類ごと
  • 販管費の種類ごと
  • 事業場ごと

などで、異なる「課税売上割合に準ずる割合」を適用することができます。

ただし、適用には、申請を行い税務署長の承認を受けることが必要です。

また、「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けた場合は、本来の課税売上割合を用いた方が有利だったとしても、不適用の届出書を提出しない限り、「課税売上割合に準ずる割合」を適用しなければなりません。

なお、「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けていても、全額控除の可否(95%以上)の判定は、本来の課税売上割合によって行います。

おわりに

課税売上割合の

  • 計算上の留意点
  • 非課税売上高の取扱い
  • 課税売上割合に準ずる割合

について解説しました。

課税売上割合は、仕入税額控除の金額を決定づける重要な割合です。

細かい取扱いが多数ありますので、自社の関連項目については、漏れなく確認しておきたいですね。

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