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消費税事例:切手の取り扱い。購入時の原則と例外。国際郵便に使ったときは?【非課税と免税】

税金
税金

切手の販売は非課税です。

会社で経理をされていたりする方の中には、えっ!?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

はい。

切手を買ったとき、会計ソフトには課税仕入れと入力しています。

間違っているのですか?

くま税理士
くま税理士

いえいえ。間違いではありません。

切手の購入時の取り扱いには複数の処理方法があります。

また、その購入時の処理方法によっては、その切手を国際郵便に使ったときにさらに処理が必要な場合があります。

詳しくみていきましょう。

非課税

切手の販売は非課税です。

非課税というのは消費税がかからないということです。

なぜかからないかというと

非課税の制度趣旨
以下の取引には消費税を課さない
  • 消費税の性格上、課税の対象とすることになじまない取引
  • 社会政策的配慮が必要な取引

なんですけど、

ひとつめの、課税の対象とすることになじまない取引というのは、たとえば、消費税なのに消費しないじゃーん、とか、元々税金みたいなものじゃない?といった取引のことです。

具体的には、土地の販売や行政手数料なんかがこれにあたります。

ふたつめの、社会政策的配慮が必要な取引というのは、生活に直結する公共サービスなどのことで、健康、教育、出産、福祉などなど、命にかかわることには消費税はかかりません。

具体的には、病院の診療費や学校の授業料などです。

実際には非課税には13項目あり、限定列挙といって、行為が限定されています。

で、切手の販売なんですが、消費しないじゃーん(課税の対象とすることになじまない取引)ということで非課税です。

えっ?消費しますよね。封筒に貼って郵便に使うじゃないですか。

くま税理士
くま税理士

はい。そうですね。使ったときに消費しますね。

使ったとき…?ハッ、まさか!!

くま税理士
くま税理士

はい。お察しのとおりです。買ったときにはまだ消費しません

ということで、切手の販売は非課税です。

買ったときは非課税で、使ったときに郵便料金ということで消費税がかかります。

切手の消費税の取り扱い
  • 買ったとき(購入時):非課税
  • 使ったとき(使用時):課税

購入時と使用時の処理

では実際の処理をみていきましょう。

原則

切手は買ったときは非課税、使ったときに課税でしたね。

購入時と使用時の仕訳は以下のようになります。

購入時:84円切手を10枚購入

(貯蔵品) 840(現金) 840

使用時:84円切手1枚を封筒に貼って投函

(通信費) 77(貯蔵品) 84
(仮払消費税等) 7

使うたびに使った分だけ入力。めちゃくちゃめんどくさくないですか?

買ったときにまとめて入力したいですよね。

ということで、例外処理が認められています。

例外

例外とは名ばかりで、一般的にはこちらの処理をされている場合がほとんどです。

購入時:84円切手を10枚購入

(通信費) 764(現金) 840
(仮払消費税等) 76

使用時:84円切手1枚を封筒に貼って投函

処理なし

さて、原則と見比べると、消費税がズレてしまいましたね。

本来は期末に以下の処理が必要です。

期末時:84円切手が9枚あまっている

(貯蔵品) 756(通信費) 687
(仮払消費税等) 69

これまためちゃくちゃめんどくさいですね。

ということで、同じ処理を続けていくことを条件に、この期末の処理(たなおろし)はやらなくていいことになっています。

継続適用を要件に、買ったとき(購入時)に課税とすることが認められています。

ただし、切手何千枚とか何万枚とか、ありえない金額は認められません。

通常の使用の範囲内で、同じ処理を継続している場合に認められる例外処理です。

原則
  • 購入時:非課税
  • 使用時:課税
例外
  • 購入時:課税
  • 使用時:処理なし

免税

それではいよいよ国際郵便のお話です。

国際郵便は免税です。

免税というのは、消費税が免除されるということです。

非課税は課税ではありませんが、免税は課税です。

意味不明なんですけど…。どっちも消費税がかからないんでしょ?

じゃあ免税も課税ではないんじゃないですか?

くま税理士
くま税理士

いえいえ。

免税は正確にいうと、0%課税取引なんです。

免税は、課税取引なんですが、消費税が免除されて0%になるというものです。

どうでもよさそうなお話なんですが、意外と大切なのでおぼえておいてください。

ちなみに免税は、正式には輸出免税取引といいます。

この輸出免税取引、なぜ消費税が免除されるかというと、理由はひとつ

輸出免税の制度趣旨

国際間の二重課税が生じうる取引につき国境税調整を行うために消費税を免除する。

消費税は消費される場所で課税される税金です。

輸出をして輸出先の国で消費税がかかるものについて、輸出元の国でも消費税をかけてしまうと二重課税となってしまうので、輸出元で消費税を免除することで調整しているんです。

一般的な輸出をはじめ、保税地域でのサービスや国際郵便も輸出免税取引に該当します。

輸出免税取引
  • 消費税を免除される取引のこと = 0%課税取引
  • 輸出免税となる主な取引:モノの輸出、保税地域でのサービス、国際郵便など

国際郵便に使ったとき

では、さきほど購入時に例外処理をした切手を国際郵便に使った場合にはどうなるでしょうか。

なんだかいやな予感がします…。

くま税理士
くま税理士

するどいですね。お察しのとおりです。

ずばり、修正仕訳が必要になります。

使用時:84円切手2枚を国際郵便に使った(購入時に例外処理をしている場合)

(通信費) 15(仮払消費税等) 15

せっかくめんどくさくない例外処理をしているのに、まためんどくさいですね。

ということで、国際郵便には切手は使わず、直接郵便料金を払う方がいいかなと思います。

国際郵便コラム:Small packet

住んだことがあるところ
  • 神戸市
  • Köln(ドイツ)

ということで、外国に住む友人へ、ちょっとしたプレゼントなどを送ることがあります。

そんなときによく利用しているのがSmall packetです。正式には小型包装物というもの。

2kgまでの小さい荷物なら一般的な小包より安くなるようです。SAL便も選べます。

国際郵便は料金も気になるところですが、郵送日数も要チェックです。

安いからと船便を選んだりすると、誕生日プレゼントが2か月後に届いた、なんてことになりかねません。

早いに越したことはありませんが、贈り物などの場合には、余裕をもって準備をして郵送方法を選びたいところです。

たとえばドイツに600gの荷物を送るとき

郵送方法 料金 日数
EMS 2,400円 3日
国際小包(航空便) 3,350円 6日
国際小包(SAL便) 2,700円 1週間
国際小包(船便) 1,800円 2~3か月
Small packet(航空便) 1,140円 6日
Small packet(SAL便) 680円 1週間
Small packet(船便) 770円 2~3か月

日数と料金を勘案すると、Small packetの航空便かSAL便がよさそうですね。

ビジネスではEMSが定番ですが、友人同士の心のこもったやり取りなら、そんなに急いだりお金をかけたりする必要はないのではないかな、というのが持論です。

ちなみに国際eパケットというサービスもあるようです。

また、SAL便については賛否両論あるようなので私見ですが、ドイツに限っていえば激しく遅延する印象はありません。

Köln在住中に日本から送ってもらったことがありますが、たしか1週間程度で届いたと思います。

ドイツやフランスの友人へのプレゼントに利用したこともありますが「全然連絡ないなー」と感じた記憶もありません。

お互いに郵便でやり取りしている場合は、かなり誤差がありますし、飛行機のタイミングや現地の物流事情、都市の規模などにもよると思いますが…。

今はメールなどですぐに連絡がとれる時代ですし、荷物の郵送も手間をかけずに早く送ることができるサービスがたくさんありますが、少しだけ時間を使って郵便でのんびりやり取りするのもいいものです。

ドイツの少額のデザイン切手をたくさん貼りつけて送ってくれたり、かわいいスタンプが押してあったり、手書きの絵や文字はうれしいものです。

外国だけでなく国内でも、遠方からの荷物やハガキ・手紙はとても心が温まります。

みなさんもたまには利用してみてください。

まとめ

消費税の非課税と免税の説明とともに、切手の取り扱いについて原則処理と例外処理を解説しました。

また事例として、その切手を国際郵便に使ったときの処理についてもお話ししました。

会社の経理の方だけでなく、個人事業主の方も切手を取り扱うことは多いのではないでしょうか。

レシートには「非課税」と記載されているので迷われる方もいらっしゃるかと思いますが、名ばかりの例外処理。購入時に課税でOKです。

非課税と免税
  • 非課税とは消費税がかからない取引
  • 輸出免税とは消費税を免除される取引(0%課税取引)
切手の取り扱い
  • [原則処理]購入時:非課税/使用時:課税
  • [例外処理]購入時:課税
  • 例外処理で国際郵便(輸出免税取引)に使用した場合には修正仕訳が必要
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