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オンラインサービスの消費税:内外判定と電気通信利用役務の提供

税金
税金

オンラインで語学教室をしています。

外国にも受講生がいるのですが、消費税はどうなりますか?

くま税理士
くま税理士

オンラインの語学教室は「電気通信利用役務の提供」に該当します。
受講生が外国に住んでいる場合は、消費税の課税対象外(不課税)になります。

ここ数年、オンラインでサービスを提供する事業者が増えました。

国内の事業者が行う

  • 役務の提供の内外判定
  • 電気通信利用役務の提供

について解説します。

役務の提供の内外判定

判定の基準

消費税の課税対象は

  • 国内において行うもの
  • 事業者が事業として行うもの
  • 対価を得て行うもの
  • 資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供であること

の4つを満たす取引です。

これらのうち、役務の提供が

  • 国内において行うもの

かどうかの判定(内外判定)は、原則として

  • 役務の提供が行われた場所

で行います。

ただし、情報提供や、設計、調査・企画・立案をはじめ、役務の提供が行われた場所が明らかでない場合は

  • 役務の提供を行う者の所在地

で判定します。

役務の提供
国内事業者が行う役務の提供の内外判定

従って、役務の提供が行われた場所が明らかでない場合で、役務の提供を行う者の所在地が国内の場合は、すべて国内取引(課税取引)になります。

※国内取引(課税取引)のうち、非居住者(外国人や外国の会社など)に対して行う役務の提供で、一定の要件を満たすものは、輸出免税取引になります。

ところが2015年の改正で、国境を越えた役務の提供について、課税の見直しが行われました。

デジタルコンテンツの配信等において、提供する側の所在地によって課税関係が異なると、税負担に不公平が生じます。

そこで、インターネット等を介して行う役務の提供を「電気通信利用役務の提供」とし、これに該当する取引の内外判定は

  • 役務の提供を受ける者の所在地

で、行われることになりました。

電気通信利用役務の提供
国内事業者が行う電気通信利用役務の提供の内外判定

その結果、国内事業者が行う電気通信利用役務の提供で、提供を受ける者の所在地が国外の場合は、従来の役務の提供とは真逆の判定(国外取引)となることになりました。

国外取引と判定されたものは、消費税の課税対象となる4つの要件のうち

  • 国内において行うもの

を満たしませんので、消費税の課税対象外(不課税)になります。

なお、提供を受ける者の所在地が国内の場合は、従来通り国内取引(課税)です。

所在地

  • 役務の提供を行う者の所在地
  • 役務の提供を受ける者の所在地

の所在地とは

  • 住所、居所、本店または主たる事務所の所在地

をいいます。

この所在地が国内であるかどうかについては、電気通信利用役務の提供に該当する場合には、役務の提供を行う者が判定することになります。

役務の提供を受ける者が申し出た住所等だけでなく、公的文書やクレジットカードの発行国などと照合し、取引の性質に応じて、客観的かつ合理的な基準に基づいて判定を行う必要があります。

日本と外国を行ったり来たりしている方には注意が必要ですね。

くま税理士
くま税理士

はい。必ず住所や居所を確認しましょう。

電気通信利用役務の提供

電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線(インターネットや電話等)を利用して行われる、著作物や役務の提供をいいます。

具体的には

  • 電子書籍、音楽、映像、ソフト、ゲームなどの配信
  • 広告の配信、掲載
  • クラウドサービス
  • ショッピングサイト、オークションサイト
  • 宿泊予約、飲食店予約サイト
  • オンライン英会話
  • 電話や電子メールによるコンサルティング

などです。

オンライン英会話があります。

くま税理士
くま税理士

そうですね。

インターネットを介して行う語学教室は、電気通信利用役務の提供です。

ただし

  • 通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供
  • 他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供

は除かれます。

具体的には

  • 通信そのもの(電話、 FAX 、電報、データ伝送、インターネット回線など)
  • ソフトウエアの制作
  • 資産の管理や運用(ネットバンキングなど)
  • 情報の収集や分析
  • 法務専門家が行う訴訟遂行

などですが、下の4つはすべて、他の資産の譲渡等に付随して行われるものです。

資産の譲渡等とは、資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供のことです。

つまり、他のサービスなどに付随して行われるものは、電気通信利用役務の提供からは除かれるということです。

ソフトウエアの制作においては、製品の受領や制作中の指示を、電話やインターネットを介して行う場合がありますが、著作物の制作という他の資産の譲渡等に付随して行われているものです。

資産の管理や運用についても、資金移動の指示や状況の報告などをインターネットを介して行う場合がありますが、資産の管理や運用という他の資産の譲渡等に付随して行われているものです。

情報の収集や分析、法務専門家が行う訴訟遂行においても同様です。

指示や報告といった連絡のためだけに、電話や電子メール、ビデオ通話等を利用した場合は、電気通信利用役務の提供には該当しません 。

臨場感がポイントのようですね。

くま税理士
くま税理士

そうですね。

サービスそのものが、電気通信回線を介して行われている場合に、電気通信利用役務の提供に該当します。

言葉を伴うサービスについては、判断が難しい場合があります。

講義やセミナーなどは映像の配信と考えられますが、技術指導や相談業務などの場合は、単なる連絡なのか、オンライン上で対応をするものなのかで判断が分かれます。

Web会議システム等を利用したコンサルティングでは、オンライン上での相談に即時回答するようなものが、電気通信利用役務の提供に該当するとされています。

情報の収集や分析などと同様に、調査結果の報告をするためだけにWeb会議システム等を利用した場合は、電気通信利用役務の提供には該当しません。

語学教室はオンラインレッスン自体がサービスなので、電気通信利用役務の提供ですね。

くま税理士
くま税理士

そうですね。

従って、受講生の所在地が、国内の場合は課税、国外の場合は対象外(不課税)になります。

おわりに

国内の事業者が行う

  • 役務の提供の内外判定
  • 電気通信利用役務の提供

について解説しました。

世界を股にかける企業でなくても、オンラインによって、国境を越えた国際的な取引をすることが多くなりました。

知らないうちに外国との取引をしていた、という方もいらっしゃるかもしれません。

国際取引になると途端に難解に感じられる消費税ですが、自分に関係のあるところから、少しずつ把握していくと良いのではないかと思います。

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