家屋の固定資産税が急に高くなりました。
どうしてですか?
減額措置の期間が終了したのかもしれませんね。
固定資産税には、新築および増改築をした際の減額措置があります。
適用要件や減額される金額について解説します。
新築住宅の減額措置
概要
一定の要件を満たす新築の住宅は、固定資産税が減額されます。
新築当初の税負担の軽減と、良質な住宅の建設を促進することが目的です。
住宅を購入すると、不動産取得税や登録免許税をはじめ、ローンの頭金や支払い、家財道具の購入などにより、金銭的負担が大きくなります。
また、日本の住宅事情は、諸外国に比べて良好とはいえない状態であるため、むやみに住宅を建築するのではなく、居住水準の高い住宅を増やすことが促進されています。
そのため、良質だと認められる新築住宅については、固定資産税が減額される措置がとられています。
適用要件
減額の対象となる要件は以下です。
減額期間
建築物の種類によって減額期間が異なります。
家屋は
に分類されますが、このうち、中高層耐火建築物に該当する場合は5年間減額されます。
中高層耐火建築物とは、地上の階数が3階以上の耐火建築物(準耐火建築物を含む。)のことです。
中高層耐火建築物以外の新築住宅の減額期間は3年間です。
減額される金額
減額される金額は、居住部分に対応する固定資産税の2分の1相当額です。
居住部分の床面積が120㎡を超える場合は、120㎡対応分を上限とし、その2分の1相当額が減額されます。
認定長期優良住宅の減額措置
概要
認定長期優良住宅に該当する新築の住宅は、固定資産税が減額されます。
長期にわたって優良な状態を保つことができる住宅の普及が目的です。
認定長期優良住宅とは、具体的には以下のような住宅です。
耐久性や耐震性はもちろん、可変性が備えられていることで、生活様式や家族構成などの変化にも対応することができます。
また、修理や交換などが容易に行えることで、むやみに取り壊したり建て替えたりすることなく、長期にわたって居住することが可能となります。
日本は地震大国であるため、耐震性の面でやむを得ない場合もありますが、少しでも古い建物はすぐに取り壊し、新しいものに建て替えようとする傾向があります。
賃貸でも購入でも、新築や築浅の方が人気で値段も高いですよね。
諸外国では、古い建物の方が人気があって高額な場合もあります。
日本でも、長期間快適に暮らせる住宅が増えるといいですね。
適用要件
減額の対象となる要件は以下です。
減額期間
一般の新築住宅の場合と同様に、建築物の種類によって減額期間が異なります。
中高層耐火建築物に該当する場合は7年間、中高層耐火建築物以外の場合は5年間減額されます。
減額される金額
減額される金額は、居住部分に対応する固定資産税の2分の1相当額です。
居住部分の床面積が120㎡を超える場合は、120㎡対応分を上限とし、その2分の1相当額が減額されます。
増改築の減額措置
耐震改修工事の減額措置
令和6年3月31日までに、一定の耐震改修工事を行った住宅は、改修工事が完了した年の翌年度の固定資産税額が減額されます。
工事の完了後3か月以内に、市町村へ申告書等の提出が必要です。
適用要件は以下です。(神戸市の場合)
長期優良住宅の認定を受けて改修された場合は、以下の要件も満たす必要があります。
減額される金額は、居住部分に対応する固定資産税の2分の1相当額です。
居住部分の床面積が120㎡を超える場合は、120㎡対応分を上限とし、その2分の1相当額が減額されます。
長期優良住宅の認定を受けて改修された場合の減額割合は、3分の2になります。
バリアフリー改修工事の減額措置
令和6年3月31日までに、一定のバリアフリー改修工事を実施した住宅については、改修工事の翌年度分の固定資産税が減額されます。
工事の完了後3か月以内に、市町村へ申告書等の提出が必要です。
適用要件は以下です。(神戸市の場合)
以下のすべてを満たす住宅で
以下のいずれかの方が居住し
工事費用が50万円を超える、以下に該当する工事をしていることが要件です。
尚、貸家は対象外です。
減額される金額は、居住部分に対応する固定資産税の3分の1相当額です。
居住部分の床面積が100㎡を超える場合は、100㎡対応分を上限とし、その3分の1相当額が減額されます。
省エネ改修工事の減額措置
令和6年3月31日までに、一定の省エネ改修工事を行った住宅は、改修工事が完了した年の翌年度の固定資産税が減額されます。
工事の完了後3か月以内に、市町村へ申告書等の提出が必要です。
適用要件は以下です。(神戸市の場合)
以下のすべてを満たす住宅で
工事費用が60万円を超える、以下に該当する工事をしていることが要件です。
尚、貸家は対象外です。
減額される金額は、居住部分に対応する固定資産税の3分の1相当額です。
居住部分の床面積が120㎡を超える場合は、120㎡対応分を上限とし、その3分の1相当額が減額されます。
長期優良住宅の認定を受けて改修された場合の減額割合は、3分の2になります。
別荘
別荘は減額措置の対象になりますか?
別荘は住宅ではありませんので、減額措置の対象外です。
別荘は、日常生活の用に供しない家屋のうち、専ら保養の用に供するものをいいます。
具体的には、使用頻度と用途に基づいて判定します。
使用頻度については、毎月1日以上居住しているもの(年間を通じて同程度居住しているものを含みます。)は、日常生活の用に供するものとされています。
用途については、保養専用であるかどうかで区分します。
避暑やレジャーのためのものは保養専用ですが、療養や通勤のためのものは保養専用ではありません。
そして、これらのうち別荘に該当するのは
です。
従って、数か月に1度や、1年に数日間しか利用しない、避暑やレジャー目的の家屋は、別荘に該当します。
一方、遠距離通勤者が平日に寝泊まりするための会社近くのマンションや、毎週末泊まりに行っている田舎のセカンドハウスなどは、住宅の範囲に含まれます。
おわりに
家屋の固定資産税の減額措置についてご紹介しました。
減額期間が終了した際に「固定資産税が上がった!」と勘違いされる方が大勢いらっしゃいます。
減額されていた金額が元に戻っただけですので、よく確認してみて下さいね。