外国でのお仕事のための海外出張。
「海外」という言い方は島国ならではの言い方ですね。
その海外出張の際に、同僚以外の同伴者が居たり、プライベートの予定を合わせて入れたりすることもありますよね。
といった疑問について、事例とともにお話ししていきます。
事例
日本語・英語・フランス語が堪能なトリリンガル(トライリンガル:trilingual)のMさん。
通訳や翻訳のお仕事をちょこちょこしていますが
私は主婦よ!
と言い張ります。
そんなMさんの夫Aさんは、会社役員。
近々外国で仕事の予定がありますが、今回の取引先は英語が苦手だそうで、フランス語での交渉を希望しています。
Aさんはフランス語は話せませんし、会社にもフランス語が堪能な社員や委託者がいません。
そこでAさんは、Mさんに同伴をお願いすることにしました。
せっかくなので、ついでに観光もしてこようと思うんだけど、私の旅費や宿泊費って会社の経費になるの?
仕事に必要なものであれば経費になります。
また、会社としては、仕事に必要のない費用を負担した場合にどんな取り扱いになるのかも気になるところでしょう。
それでは順番にみていきましょう。
特別な同伴者
原則として、家族など仕事に関係のない同伴者の費用を会社が負担した場合は、給与になります。
役員だと、法人税の計算上は一般的には経費になりません。(役員給与の損金不算入)
従業員なら経費にはなりますが、給与計算、源泉徴収、年末調整などに注意が必要です。
ただし、負担した金額を、そのまま会社の経費(旅費交通費)にすることができる特別な同伴者がいます。
1人目は
仕事で出張するご本人が、常に補佐を必要とする場合です。
2人目は
外国では、公や社交の場などでは夫婦同伴が一般的です。
ノーベル賞の授賞式でもご夫婦の様子が報道されたりしますよね。
そして3人目。
事例のMさんはこちらに該当します。
Mさんはただの同伴者ではありません。
仕事にどうしても必要な人です。
ということで、事例のMさんが通訳をするのに必要な費用は、会社の旅費交通費とすることができます。
プライベートの予定がある場合
晴れて特別な同伴者と認められたMさん。
でも、ついでにプライベートの旅行もしたいって言ってましたよね。
おおかたの予想どおり、プライベートの分は会社の旅費交通費にはなりません。
会社が負担してくれたとしても、役員であるAさんの給与になります。
仕事と仕事以外で按分計算ですね。
飛行機代も按分になるの?
ビジネスクラスで行くから結構高額よね。
給与になっちゃった分の所得税って結構かかるのかしら?
Aさんはもともと高給なので、所得税があがるのは気になりますよね。
また、会社も経費にならない金額が多額になるとつらいですね。
でも大丈夫です。飛行機代は按分されません。
今回外国に行くことになったのはお仕事のためですよね?
そのついでに観光もするというもの。
そんな、直接の動機が仕事のためである場合の往復の交通費は、仕事のために必要な費用と認められます。
ですので、事例の場合の往復の航空券代は、全額を旅費交通費として処理できます。
それ以外の滞在費等について、仕事をした日数と観光をした日数で按分して、旅費交通費と給与に振り分けてください。
まちがっても「遊びに行くついでに仕事するのー」なんて言わないでくださいね。
コラム:社員旅行でトリプルパンチ
外国では社員旅行に家族を同伴することが当たり前。
費用ももちろん会社持ちですよね。
日本でもそういう会社は増えていますが、取り扱いには注意が必要です。
普段国際取引のない会社が、創業以来初めての外国への社員旅行。
同伴家族の費用も会社が負担し、全額を「福利厚生費(課税)」なんていう処理をしてしまうと
というトリプルパンチになります。
「経費になるから負担する」「経費にならないから負担しない」ということでは、慰安旅行として本末転倒ですが、普段あまりしない取引をするときは、直後に慌てたり、誤った処理をしてしまったりしないように、事前に経理処理も確認しておきましょう。
おわりに
海外出張時の費用の取り扱いについてお話ししてきました。
がポイントです。
経理の人が正しい処理ができるように、出張をする人が正確な情報をきちんと報告できる環境を整えておくことも大切ですね。