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減価償却資産の処理方法:価格別の選択肢と必要経費

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減価償却資産は、取得価額によって様々な処理方法が選択できます。

そしてその選択は、購入した年はもちろん、翌年以降の必要経費の金額にも影響します。

パソコンを例に、価格別のシミュレーションをしましたのでみていきましょう。

処理方法の概要

個人事業者の減価償却資産については

  • 減価償却(定額法)
  • 減価償却(定率法)
  • 少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入
  • 一括償却資産の必要経費算入
  • 中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入

といった処理方法があります。

減価償却(定額法・定率法)

減価償却資産は、その資産の種類ごとに耐用年数が定められています。

その耐用年数に渡って、分割して経費に計上する方法が減価償却です。

パソコンは「器具備品」に該当し、新品の耐用年数は4年です。

償却方法の主なものとして、定額法と定率法があります。

定額法は、毎年同じ金額を償却する方法です。

耐用年数が4年の場合は、4年間の減価償却費は同じ金額です。

定率法は、まだ償却されていない残高に、毎年同じ割合を乗じて計算した金額で償却する方法です。

早期に多額の減価償却費を計上することができ、4年間の減価償却費は段々減っていきます。

ただし、ずっと同じ割合だと終わらないので、最低保証の金額が定められていて、これを下回ると償却額を計算する割合が改定されます。

いずれの償却方法も、業務の用に供した年は、その使用月数によって月数按分(月割計算)した金額になり、最後は備忘価額として1円を残します。

個人事業者の場合は、定額法が法定償却方法です。

定率法を選択したい場合は、届出の提出が必要です。

償却率は、耐用年数と償却方法によって決まっています。

耐用年数が4年の場合の償却率は以下です。

  • 定額法:0.250
  • 定率法:0.500(保証率 0.12499 / 改定償却率 1.000)

少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入

個人事業者の、取得価額が10万円未満の減価償却資産については、その取得価額の全額を、業務の用に供した年の必要経費に算入します。

使用可能期間が1年未満であるものも同様です。

一括償却資産の必要経費算入

個人事業者の、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、3分の1ずつ3年間で償却する方法を選択することができます。

一括償却資産として複数の資産をまとめて管理し、3年間均等に同額を償却します。

使用期間が12か月未満の年があっても、月数按分(月割計算)を行わないことが特徴です。

中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入

青色申告者の場合は、取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産について、その取得価額の全額を、業務の用に供した年の必要経費に算入することができるという特例を選択することができます。

合計額に限度があり、1年間で300万円までです。

開業年や廃業年の限度額は、年換算した金額になります。

価格別シミュレーション

75,000円のパソコンを11月に買った場合

取得価額が10万円未満ですので、少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入の規定により、全額を取得した年の必要経費に算入します。

11/xx(消耗品費)75,000(〇〇)75,000
  • 1年目:75,000円
  • 2年目以降:0円

150,000円のパソコンを11月に買った場合

選択肢

取得価額が150,000円ですので、選択できる処理方法は以下の4つです。

  • 減価償却(定額法)
  • 減価償却(定率法)
  • 一括償却資産の必要経費算入
  • 中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入

一括償却資産の必要経費算入を選択した場合

11/xx(一括償却資産)150,000(〇〇)150,000
12/31(減価償却費)50,000(一括償却資産)50,000
  • 1年目:50,000円
  • 2年目:50,000円
  • 3年目:50,000円

中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入を選択した場合

11/xx(器具備品)150,000(〇〇)150,000
12/31(減価償却費)150,000(器具備品)150,000
  • 1年目:150,000円
  • 2年目以降:0円

減価償却(定額法)を選択した場合

11/xx(器具備品)150,000(〇〇)150,000
12/31(減価償却費)6,250(器具備品)6,250
  • 1年目:6,250円(150,000×0.25×2/12=6,250)
  • 2年目~4年目:37,500円(150,000×0.25=37,500)
  • 5年目:31,249円(150,000ー(6,250+37,500×3+1)=31,249)

減価償却(定率法)を選択した場合

11/xx(器具備品)150,000(〇〇)150,000
12/31(減価償却費)12,500(器具備品)12,500
  • 1年目:12,500円(150,000×0.5×2/12=12,500)
  • 2年目:68,750円((150,000-12,500)×0.5=68,750)
  • 3年目:34,375円((150,000-(12,500+68,750))×0.5=34,375)
  • 4年目:34,374円(150,000ー(12,500+68,750+34,375+1)=34,374)

必要経費(減価償却費)まとめ

一括償却少額(30万)減価償却(定額法)減価償却(定率法)
1年目50,000150,0006,25012,500
2年目50,000037,50068,750
3年目50,000037,50034,375
4年目0037,50034,374
5年目0031,2490

240,000円のパソコンを11月に買った場合

選択肢

取得価額が240,000円ですので、選択できる処理方法は以下の3つです。

  • 減価償却(定額法)
  • 減価償却(定率法)
  • 中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入

少額減価償却資産を選択した場合

11/xx(器具備品)240,000(〇〇)240,000
12/31(減価償却費)240,000(器具備品)240,000
  • 1年目:240,000円
  • 2年目:0円

減価償却(定額法)を選択した場合

11/xx(器具備品)240,000(〇〇)240,000
12/31(減価償却費)10,000(器具備品)10,000
  • 1年目:10,000円(240,000×0.25×2/12=10,000)
  • 2年目~4年目:60,000円(240,000×0.25=60,000)
  • 5年目:49,999円(240,000ー(10,000+60,000×3+1)=49,999)

減価償却(定率法)を選択した場合

11/xx(器具備品)240,000(〇〇)240,000
12/31(減価償却費)20,000(器具備品)20,000
  • 1年目:20,000円(240,000×0.5×2/12=20,000)
  • 2年目:110,000円((240,000-20,000)×0.5=110,000)
  • 3年目:55,000円((240,000-(20,000+110,000))×0.5=55,000)
  • 4年目:54,999円(240,000ー(20,000+110,000+55,000+1)=54,999)

必要経費(減価償却費)まとめ

少額(30万)減価償却(定額法)減価償却(定率法)
1年目240,00010,00020,000
2年目060,000110,000
3年目060,00055,000
4年目060,00054,999
5年目049,9990

330,000円のパソコンを11月に買った場合

選択肢

取得価額が330,000円ですので、選択できる処理方法は減価償却のみです。

  • 減価償却(定額法)
  • 減価償却(定率法)

減価償却(定額法)を選択した場合

11/xx(器具備品)330,000(〇〇)330,000
12/31(減価償却費)13,750(器具備品)13,750
  • 1年目:13,750円(330,000×0.25×2/12=13,750)
  • 2年目~4年目:82,500円(330,000×0.25=82,500)
  • 5年目:68,749円(330,000ー(13,750+82,500×3+1)=68,749)

減価償却(定率法)を選択した場合

11/xx(器具備品)330,000(〇〇)330,000
12/31(減価償却費)27,500(器具備品)27,500
  • 1年目:27,500円(330,000×0.5×2/12=27,500)
  • 2年目:151,250円((330,000-27,500)×0.5=151,250)
  • 3年目:75,625円((330,000-(27,500+151,250))×0.5=75,625)
  • 4年目:75,624円(330,000ー(27,500+151,250+75,625+1)=75,624)

必要経費(減価償却費)まとめ

減価償却(定額法)減価償却(定率法)
1年目13,75027,500
2年目82,500151,250
3年目82,50075,625
4年目82,50075,624
5年目68,7490

おわりに

減価償却資産の処理方法について、パソコンを購入した場合を例に、価格別の選択肢と複数年にわたる必要経費の額を検討しました。

年末近くになって高価なものを購入しても、数か月分しか経費にならない場合があります。

また、開業当初で収入が少ないにもかかわらず備品の購入などが必要だった場合は、翌年以降の減価償却費に充てることも検討したいですね。

事業の現況に合わせて最適な選択をしましょう。

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