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予納と分割納付:納税資金は準備できていますか?

税金
税金

経営は順調なのですが、納税資金が心配です。

国税を期限までに納付することができない場合

  • 延滞税がかかる
  • 財産の差押えなどの処分を受ける場合がある
  • 「未納の税額がないことの証明」が取得できない

といった不利益があります。

国税の納付に関する

  • 予納制度
  • 分割納付

をご紹介します。

予納制度

税金を期限までに納付するためには、日頃から計画的に納税資金を準備しておくことが必要です。

税金の前払い(仮払い)の制度としては

  • 中間納付(法人税、消費税)
  • 予定納付(所得税)
  • 源泉徴収(所得税)

といったものがありますが、これに加えて

  • 予納制度

の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

かねてより、修正申告の際や申告期限の延長をしている場合等に、延滞税や利子税を回避するための見込納付として使われる予納ですが、通常時の納税資金の積立てとしても使うことができ、特に消費税での活用は有効です。

法人税や所得税は、所得(利益)に対して課税されますので、資金繰りに余程問題がない限り、納付が困難となることはあまりありません。

逆に、源泉徴収で納めすぎていて、還付申告となることもありますよね。

けれど消費税は、所得(利益)に関わらず、原則として、預かった消費税と支払った消費税の差額を納める税金です。

簡易課税制度や2割特例であっても、売上高に応じて、一定の割合を納付することになります。

この、消費税の納付額は売上高に連動していて、売り上げたときに

  • 預かっているだけ

という意識を持っていないと、売上金に含まれる消費税の分まで使ってしまい、納付が困難となることがあります。

そのため、売上金が入金されるたびに、消費税分だけ別の口座へ振り替えているという強者もいらっしゃいます。

預かっているだけで、自分のお金じゃないと聞いたので!

預かった金額すべてを納付するわけではありませんが、大変堅実な方法ですね。

でも

くま税理士
くま税理士

かなり面倒ですし、金額も過大です。

そこで登場するのが

  • 予納ダイレクト

です。

インボイス制度の開始によって、消費税の納税義務者が増加することを見越し、数年前に開始したこの手続きは

  • 納税資金の積立て

を、口座引き落としにより計画的に行うことができるものです。

定期定額でもよいですし、収入の増減に応じて都合の良い時期に積立てることもできます。

税金の一括納付は大きな負担となることがありますし、万が一納付が遅れると延滞税がかかります。

中間納付の義務がない場合でも、資金繰りに余裕があるうちに、税金の前払い(仮払い)をしておけると安心ですね。

分割納付と留意点

税金を期限までに納付するためには、日頃から計画的に納税資金を準備しておくことが必要です。

けれど、やむを得ず納付が困難となることもありますよね。

そんなときは、とにかくすぐに

  • 税務署に相談

してください。

災害等の特別な事情がある場合は、納税の猶予が認められる場合があります。

また、一時的な資金不足である場合は

  • 分割納付

をすることができないか確認しましょう。

資金繰り表を作成して納付計画を検討し、短期間で完納できそうであれば、税務署で納付相談をした上で、分割納付をすることができます。

ただし、納税の猶予が認められるような特別の事情がない限り、延滞税の軽減や免除はありません。

分割納付をしていても、実際の納付期限は過ぎてしまっていますので、税金を滞納している状態であることに変わりはありません。

したがって、納税証明書の

  • 未納の税額がないことの証明

は取得できません。

そしてこの

  • 未納の国税がある

という状況は、他の国税(税目)での取扱いにも影響します。

代表的なのは、他税目で

  • 還付があるとき

ですね。

国税通則法には

  • 未納の国税があるときは還付に代えて充当する

という決まりがあります。

消費税の分割納付中(未納の国税がある状態のとき)に、法人税の還付があるときは、還付金は入金されず、消費税の未納分に充当されるということです。

以前、消費税の分割納付をしたことがある法人で

前期の法人税は還付申告だったはずですが…。

雑収入がないですね…。

ハッ!充当!?

ということがありました。

前期の決算で

  • 法人税は還付申告
  • 消費税は分割納付(3か月)

となっていた法人です。

会計上利益は出ていましたが、欠損金の残額があったため納付額は発生せず、所得税額控除の控除不足額による僅かな還付がある申告でした。

通常、還付金の入金があった場合は

(現金預金)××(雑収入)××

のように会計処理するはずですが、入金がなかったため雑収入の仕訳が漏れていたようでした。

数円や数十円の僅かな還付金であっても、お金が入ってくれば記帳を忘れることは考えにくいですが、こっそり(というわけではないのですが)充当されていると、気づくのが遅れることがあります。

このときの消費税の分割納付が、納付書による現金納付だったのか、口座引き落としだったのかは忘れてしまったのですが、いずれにしても、支払額が印字済の書類(納付書や通知書等)を受け取っています。

当然書類には

  • 本税
  • 延滞税
  • 充当

といった明細の記載もありますが、払う側からすると

支払額しか見てないです。

なんてこともありますよね。

もちろん関連する

  • 未払消費税等
  • 租税公課

の金額もズレてしまいますので、最終的には気づくはずですが、充当された時点(分割納付を行った時点)で、以下のように正しく処理しておきたいですね。

(未払消費税等)××(現金預金)××
(租税公課)××(雑収入)××

各科目の金額は

  • 未払消費税等:分割納付した消費税の本税
  • 租税公課:分割納付した消費税の延滞税
  • 雑収入:未納の消費税に充当された法人税の還付金

です。

ちなみに、延滞税を費用計上した場合は

  • 損金経理をした附帯税等(加算・社外流出)

の税務調整が必要です。

分割納付は、どうしても一括納付できない場合の救いの一手ですが、税金を滞納している状態であり、延滞税もかかります。

先々の納税予定は常に早めに確認し、資金に余裕があるうちに準備をしておきたいですね。

おわりに

国税の納付のための制度として

  • 予納制度(予納ダイレクト)
  • 分割納付

をご紹介しました。

国税を期限までに納付することができない場合

  • 延滞税がかかる
  • 財産の差押えなどの処分を受ける場合がある
  • 「未納の税額がないことの証明」が取得できない

といった不利益があります。

無理なく期限内納付ができるよう、納税資金については、日頃から計画的に準備しておけるといいですね。

ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)を利用した予納と分割納付のご紹介

国税庁動画チャンネル(YouTube)より
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