
商品売買をしています。決算では何をしますか?

まずは棚卸ですね。
商品売買を行っている場合の
について解説します。
製造業については、別の記事をご参照ください。
売上原価の計算
売上原価
売上原価とは、売上に対する原価のことです。

仕入じゃないんですか?

仕入れても売れていない分は、売上原価には入りません。
売上原価は
という計算式で算出します。
青色申告決算書の1枚目にある
の左上に記載欄があります。

期首商品棚卸高
期首商品棚卸高とは、1月1日の在庫です。
前年の年末に売れ残っていた商品で、今年仕入れた商品ではありませんが
のように仕訳をして、仕入に加算することで、一旦売上原価に含みます。
期首商品棚卸高は、前年の青色申告決算書の
で確認することができます。


なお、今年事業を開始した場合(今年が1年目の場合)は、期首商品棚卸高はゼロです。
仕入
仕入については、支払方法ごとに仕訳を確認しておきましょう。
(仕入)××(現金)××
(仕入)××(普通預金)××
掛仕入やクレジットカードを使った場合は、取引が2段階になりますね。
(仕入)××(買掛金)××
(買掛金)××(普通預金)××
プライベートの現金や預金口座については、すべて事業主勘定を使います。
(仕入)××(事業主借)××
(仕入)××(事業主借)××
事業主勘定については、以下もご参照ください。
期末商品棚卸高
期末商品棚卸高とは、12月31日の在庫です。
年末に売れ残っている商品で、既に仕入れた商品ですが、売上原価には含まれません。
のように仕訳をして、仕入から減算することで、売上原価から除外します。
期末商品棚卸高は
を作成して計算します。
たとえば
という3つの商品がある場合、それぞれの個数を数えて、以下のような表を作成します。
単価 | 個数 | 金額 | |
---|---|---|---|
商品A | 880 | 300 | 264,000 |
商品B | 1,650 | 120 | 198,000 |
商品C | 3,300 | 70 | 231,000 |
合計 | 693,000 |
上記の場合、期末商品棚卸高は693,000円です。

同じ商品で単価が異なる場合はどうしたらいいですか?

届出をしていない場合は「最終仕入原価法」で計算します。
棚卸資産の評価方法
棚卸資産の評価方法には
といった方法があります。
個別法は、個々の仕入金額で計算する方法です。
先入先出法は、先に仕入れたものから売れたと考えて、残っている商品の仕入金額で計算する方法です。
総平均法は、その名の通り、1年間のすべての平均金額で計算しますが、移動平均法は、仕入のつど、平均金額を計算しなおす方法です。
最終仕入原価法は、最後に仕入れた商品の仕入金額を採用する方法です。
売価還元法は、売価に原価率を乗じて計算する方法です。
そして、これらの評価方法については、届出書を提出することで、好きな方法を選択することができます。
ただし、届出をしていない場合は
で計算することになっています。

最終仕入原価法は簡単そうですね。

そうですね。直近の単価を確認するだけで計算できます。
最終仕入原価法以外の方法は、個々の単価を確認したり、商品の出入りを記録した別の帳簿が必要だったりします。
事業規模や形態等によっては、最終仕入原価法以外の方法が最適であることもありますが、はじめから無理に届出をする必要はないですね。
ちなみに、別の評価方法を採用したい場合は
を提出します。

ただし、一度提出すると、特別な事情がない限り、3年間は同じ方法を継続しなければなりません。
また、変更したい場合は
を提出し、適正な計算ができるかどうかの審査を受けた上で、承認を得なければなりません。
期末商品棚卸高は、売上原価に直接影響を与える重要な金額ですので、その評価方法を安易に何度も変更することはできません。
おわりに
商品売買を行っている場合の
について解説しました。
棚卸と売上原価の計算は、決算処理の第一歩です。
在庫は収支に大きく影響しますので、前もって予測をして試算し、仕入も計画的に行いたいですね。