棚卸と売上原価の計算:青色申告の決算処理

税金
税金

商品売買をしています。決算では何をしますか?

くま税理士
くま税理士

まずは棚卸ですね。

商品売買を行っている場合の

  • 売上原価の計算
  • 棚卸資産の評価方法

について解説します。

製造業については、別の記事をご参照ください。

売上原価の計算

売上原価

売上原価とは、売上に対する原価のことです。

仕入じゃないんですか?

くま税理士
くま税理士

仕入れても売れていない分は、売上原価には入りません。

売上原価は

  • 期首商品棚卸高 + 仕入 - 期末商品棚卸高

という計算式で算出します。

青色申告決算書の1枚目にある

  • 損益計算書

の左上に記載欄があります。

損益計算書
青色申告決算書(1枚目):損益計算書

期首商品棚卸高

期首商品棚卸高とは、1月1日の在庫です。

前年の年末に売れ残っていた商品で、今年仕入れた商品ではありませんが

  • (仕入)×× (期首商品棚卸高)××

のように仕訳をして、仕入に加算することで、一旦売上原価に含みます。

期首商品棚卸高は、前年の青色申告決算書の

  • (1枚目)損益計算書:期末商品棚卸高
  • (4枚目)貸借対照表:棚卸資産

で確認することができます。

なお、今年事業を開始した場合(今年が1年目の場合)は、期首商品棚卸高はゼロです。

仕入

仕入については、支払方法ごとに仕訳を確認しておきましょう。

商品を仕入れて事業用の現金で支払った

(仕入)××(現金)××

商品を仕入れて事業用の普通預金口座から支払った

(仕入)××(普通預金)××

掛仕入やクレジットカードを使った場合は、取引が2段階になりますね。

(1)商品を仕入れた

(仕入)××(買掛金)××

(2)仕入代金を事業用の普通預金口座から支払った

(買掛金)××(普通預金)××

プライベートの現金や預金口座については、すべて事業主勘定を使います。

商品を仕入れてプライベートの現金で支払った

(仕入)××(事業主借)××

商品を仕入れてプライベートの銀行口座から支払った

(仕入)××(事業主借)××

事業主勘定については、以下もご参照ください。

期末商品棚卸高

期末商品棚卸高とは、12月31日の在庫です。

年末に売れ残っている商品で、既に仕入れた商品ですが、売上原価には含まれません。

  • (期末商品棚卸高)×× (仕入)××

のように仕訳をして、仕入から減算することで、売上原価から除外します。

期末商品棚卸高は

  • 棚卸表

を作成して計算します。

たとえば

  • 商品A(単価:880円)
  • 商品B(単価:1,650円)
  • 商品C(単価:3,300円)

という3つの商品がある場合、それぞれの個数を数えて、以下のような表を作成します。

単価個数金額
商品A880300264,000
商品B1,650120198,000
商品C3,30070231,000
合計693,000

上記の場合、期末商品棚卸高は693,000円です。

同じ商品で単価が異なる場合はどうしたらいいですか?

くま税理士
くま税理士

届出をしていない場合は「最終仕入原価法」で計算します。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産の評価方法には

  • 個別法
  • 先入先出法
  • 総平均法
  • 移動平均法
  • 最終仕入原価法
  • 売価還元法

といった方法があります。

個別法は、個々の仕入金額で計算する方法です。

先入先出法は、先に仕入れたものから売れたと考えて、残っている商品の仕入金額で計算する方法です。

総平均法は、その名の通り、1年間のすべての平均金額で計算しますが、移動平均法は、仕入のつど、平均金額を計算しなおす方法です。

最終仕入原価法は、最後に仕入れた商品の仕入金額を採用する方法です。

売価還元法は、売価に原価率を乗じて計算する方法です。

そして、これらの評価方法については、届出書を提出することで、好きな方法を選択することができます。

ただし、届出をしていない場合は

  • 最終仕入原価法

で計算することになっています。

最終仕入原価法は簡単そうですね。

くま税理士
くま税理士

そうですね。直近の単価を確認するだけで計算できます。

最終仕入原価法以外の方法は、個々の単価を確認したり、商品の出入りを記録した別の帳簿が必要だったりします。

事業規模や形態等によっては、最終仕入原価法以外の方法が最適であることもありますが、はじめから無理に届出をする必要はないですね。

ちなみに、別の評価方法を採用したい場合は

  • 棚卸資産の評価方法の届出書

を提出します。

棚卸資産の評価方法の届出書

ただし、一度提出すると、特別な事情がない限り、3年間は同じ方法を継続しなければなりません。

また、変更したい場合は

  • 棚卸資産の評価方法の変更承認申請書

を提出し、適正な計算ができるかどうかの審査を受けた上で、承認を得なければなりません。

期末商品棚卸高は、売上原価に直接影響を与える重要な金額ですので、その評価方法を安易に何度も変更することはできません。

おわりに

商品売買を行っている場合の

  • 売上原価の計算
  • 棚卸資産の評価方法

について解説しました。

棚卸と売上原価の計算は、決算処理の第一歩です。

在庫は収支に大きく影響しますので、前もって予測をして試算し、仕入も計画的に行いたいですね。

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