新設法人や新規開業、または、インボイス発行事業者の登録によって

消費税の申告がはじめてです。
という場合に、必ず質問を受けるのが
の選択についてです。

消費税の3大「二択」ですね。
経理方式(税抜 or 税込)と、税額の計算方法(割戻し or 積上げ)については、過去に記事を書きました。
今回は、最後の砦である
について
を詳しく解説するとともに、両方式の計算方法や選択方法をご紹介します。
消費税の

ほんとの仕組みがわかると、両者の違いが見えてきますよ。
少々複雑ですが、順を追って理解を進めていきましょう。
なお、簡易課税の場合は、この選択はありません。
一般課税(※)を前提にご説明します。
仕入税額控除の原則
消費税の納付額は
預かった消費税(売上) - 支払った消費税(仕入) = 納付する消費税
で計算しますが、この
ことを
といいます。
なぜ仕入税額控除ができるかというと
からです。
国税庁:消費税のあらまし(令和6年6月)より
それぞれの取引段階で、税負担は売上先へ移転し、最終的に消費者が負担することになります。
この仕組みを
といいます。
仕入税額控除を行うことで、二重三重の課税による消費税の累積を排除しています。
したがって、仕入税額控除は、あとで売り上げたときに
が発生することを前提に、認められるものです。
では、次のような場合はどうでしょうか。
消費税には、非課税となる取引があります。
限定列挙といって、以下の13項目の取引に限られています。
たとえば、車いすの製造業者は、材料の購入時に消費税を支払いますが、販売時には消費税を預かりません。

このような、非課税売上のための課税仕入れについては、仕入税額控除はできません。
これが、本来の消費税の仕組みです。

うちは非課税売上が少しありますが、支払った消費税の全額を差し引くことができていますよ。

はい。一定の要件を満たす場合は、全額控除できます。
一定の要件とは
です。
課税売上割合は、以下の計算式で算出される割合です。

95%以上というのは
ということですね。
そのような
という事業者であれば、すべての取引について転嫁が行われているものとみなして、簡便的に全額控除を認めようという規定です。
少額不追及の観点もありますが、主な目的は事務負担の軽減ですね。
課税売上高が5億円以下という要件については、売上規模の大きな事業者であれば、僅少な非課税売上であっても無視できないことが、理由のひとつとして挙げられます。
そして、複雑な事務処理も可能であると考えられるため、全額控除は認められません。
なお5億円の判定は、1年分の課税売上高で行いますので、課税期間の短縮をしている場合は、年換算をする必要があります。
1月ごとなら4,200万円弱、3月ごとなら1億2,500万円ですね。
仕入税額控除については、便宜上、全額控除を前提として説明されることが多いですが、実は全額控除は、特定の事業者だけが適用することができる、特例的な計算方法です。
消費税の本来の仕組みに従って、原則的な計算をする場合は、売上区分に応じて、仕入税額控除の可否と金額が決まります。
そして、その原則的な計算をする場合の方式として
の2つがあり、いずれかを選択することになっています。
以上を踏まえて、両者の具体的な計算方法と選択方法を確認しましょう。
具体的な計算方法と選択
個別対応方式
個別対応方式は、課税仕入れを
に区分して計算します。
課税売上対応分は、全額が仕入税額控除の対象です。
非課税売上対応分は、全額が仕入税額控除の対象外です。
共通対応分は、原則として、課税売上割合相当額が仕入税額控除の対象となります。
したがって、仕入税額控除額の計算式は
課税売上対応分 + 共通対応分 × 課税売上割合
となります。
一括比例配分方式
一括比例配分方式では、課税仕入れの税額の合計額のうち、課税売上割合相当額が仕入税額控除の対象となります。
したがって計算式は
課税仕入れの税額の合計額 × 課税売上割合
となります。
選択方法
個別対応方式と一括比例配分方式の選択については、事前の届出は不要です。
確定申告の際に、両方を計算し、有利な方を選択することもできます。
一般的に、個別対応方式の方が控除額が大きくなる(有利となる)ことが多いです。
ただし、個別対応方式を選択するためには、すべての課税仕入れについて区分を明らかにしておく必要があり、事務負担は大きくなります。
区分が明らかにされていない場合は、一括比例配分方式しか選択できません。
また、一括比例配分方式を選択した場合は、2年間継続適用しなければなりませんが、個別対応方式については、継続適用の要件はありません。
おわりに
消費税の
について解説するとともに
の計算方法と選択方法をご紹介しました。
この二択を含め
のご質問が多いのは、会計ソフトの初期設定で選択する必要があるからですね。
それまで、消費税の経理処理や申告をしたことがほとんどなく

さあ、これから始めるぞ。
という段階で選ぶのは、なかなか難しいですよね。
消費税の仕組みは大変複雑ですので、事前にすべてを理解しておくことは不可能です。
まずは、自社(自分)に今すぐ関係のある内容なのかを確認し、申告までに決めればよいことであれば、ひとまず1か月分だけでも構いませんので、処理を進めてみましょう。
処理を続けるうちに、わかってくることがたくさんあります。
そして、当面自社(自分)には関係のないことだと判断した内容については、後学のためにも、徐々に理解を深めていけるといいですね。









