2019年10月1日から、消費税率が8%から10%に引き上げられ、同時に軽減税率制度が始まります。
その軽減税率の対象となる主なものは…?
そう飲食料品ですね。

じゃあ、食べたり飲んだりできるものは、なんでも8%なの?

いえいえ。残念ながら、食べたり飲んだりできるけど10%になってしまうものもあります。
軽減税率の対象となるキーワードは
普通の食べ物や飲み物と何が違うのでしょうか。
具体例とあわせてみていきましょう。
「人の飲用または食用に供されるもの」とは
軽減税率の対象品目である飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除きます。)をいいます。
食品表示法に規定する食品とは、すべての飲食物(医薬品等を除き、添加物は含みます。)のことをいいます。
そしてこの飲食物とは、人の飲用または食用に供されるもののことをいいます。
軽減税率の対象品目である飲食料品 = 人の飲用または食用に供されるもの

だーかーらー!食べ物のことなんじゃないの?
飲食料品?食品?飲食物?全部同じじゃん!
と思いますよね。怒らないでくださいね。
食べ物は食べ物なんですけど、売り方にポイントがあるんです。
つまり、「人の飲用または食用に供されるもの」というのは、人が食べる(飲む)ためのものとして売っているもののことです。
具体例とともに解説していきます。
具体例解説
国税庁Q&Aの具体例をひとつみてみます。
食用の生きた魚の販売が、軽減税率の対象となるかどうかという質問に対する回答です。
「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供される活魚は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります(改正法附則 34①一、軽減通達2)。
なお、生きた魚であっても人の飲用又は食用に供されるものではない熱帯魚などの観賞用の魚は、「食品」に該当せず、その販売は軽減税率の適用対象となりません。
国税庁 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)(平成30年11月改訂)問3
このように、同じ生きた魚でも、食用に販売している活魚は軽減税率の適用対象となり、観賞用の熱帯魚などは適用対象となりません。
もうひとつ、食品添加物である重曹についての回答もみてみましょう。
「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるものである食品添加物として販売される重曹は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります(改正法附則 34①一、軽減通達2)。
国税庁 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)(平成30年11月改訂)問20
食品衛生法に規定する添加物も飲食物に含まれますが、やはり「人の飲用または食用に供されるもの」かどうかがポイントです。
食用として販売する重曹は軽減税率の対象となりますが、同じ重曹でも、清掃用として販売する場合は軽減税率の対象となりません。
飲食が可能なものでも、飲用または食用以外の用途に使うものとして販売する場合は、軽減税率の対象とならない。

料理用に食用の重曹を買ったけど、余ったから掃除に使った場合は?
差額の2%を払いにいかなきゃいけないの!?

いえいえ。
販売時点で食用として売ったものは、買った人があとから別の用途に使ったとしても、軽減税率の対象となる飲食料品に該当します。
飲食用かどうかは売る人が決めます。
買った人が食べたり飲んだりせず、別のことに使っても関係ありません。
「人の飲用または食用に供されるもの」かどうかは、売る人が売るときに決める
同様の事例を、表にまとめておきます。
飲食料品(軽減税率の対象) | 飲食料品以外 |
牛肉・豚肉・鶏肉 | 生きた家畜 |
活魚 | 熱帯魚 |
- | 家畜の飼料・ペットフード |
コーヒーの生豆 | - |
食用のもみ | 種もみ |
製菓材料用のかぼちゃの種 | 栽培用植物の苗木・種子 |
ミネラルウォーター | 水道水 |
飲料やかき氷用の食用氷 | ドライアイス・保冷用の氷 |
食用の金箔 | - |
食用の重曹 | 清掃用の重曹 |
食用の塩 | 工業用原材料として取引される塩 |
ペットフードには、高級食材を使ったものやオーガニック製品など、人が普通に食べられるものもありますが、あくまでペット用ですので、やはり対象外です。
水やかき氷も、同じものなのに売り方でかわってしまうんですね。
逆に、植物の種や金箔なんかは、一般的には食べ物ではありませんが、食べ物として売っていれば対象になります。
まとめ
軽減税率の主役「飲食料品」について、キーワード「人の飲用または食用に供されるもの」と、具体例の解説をしてきました。