先週末、世界陸上が閉幕しました。

北口榛花選手、金メダルおめでとうございます!
6投目で大逆転だなんて、本当に感動しましたね!
さて私には、今大会楽しみにしていた解説者の方がいます。
楽しみにするようになった経緯と、今大会のご活躍を紹介します。
私のお気に入り解説
今回私が楽しみにしていたのは、中長距離の解説者の
です。
国内のマラソンや駅伝でも、よくお見かけするので、ご存知の方も多いかもしれません。
当然、元陸上選手で

箱根駅伝も出ていたらしいよ!
だそうなのですが、私は現役時代はよく存じ上げておらず
として、馴染みがありました。
そんな
のひとりだった金さんの、印象が一変したのが、2021年の東京オリンピックです。
ある競技の解説をきっかけに、突如として、私の
の解説者に躍り出ることになります。
その競技とは、我らが兵庫県の宝、田中希実選手が8位に入賞した
です。

女子のレースなのに増田さんじゃないんだね。
長距離の女子選手の解説と言えば、長年
が務められていました。
ここ最近は、別の方が解説することも増えましたが、この頃はまだ
と
はセットでした。

もはやBGMだね。
ですので、競技が1500m(中距離)だからなのか、オリンピックだからなのか、増田さんの都合が悪かったのか、事情はわかりませんが
のトラック種目を
で観戦することは、当時の私にとっては珍しいことでした。
金さんは、女子マラソンのレポーターなどもされますし、元々、男女問わず、中距離の解説は金さんだったのかもしれません。
というか、そもそも、オリンピックで日本人の女子選手が、1500mに出場すること自体初めてのことだったそうです。
田中選手だけでなく、卜部蘭選手も快挙だったのですね。

出るだけですごいことだったんだね。
そんなこんなで
ではなく
の解説で、田中選手の1500mを観ることになりました。
レースは
の3本で、田中選手は
という、ものすごい結果を残しました。
そしてこのときの
を見て(聞いて)、大好きになってしまいました。
準決勝では、終盤が近づくと

これは、3分台出ますよー!!
と興奮を隠せない様子です。
金さんの声は、それなりに聞き慣れていたつもりでしたが

こんなにテンション高かったっけ…???
と、少し戸惑いました。
さらに、田中選手のゴール間際には、アナウンサーが

1着○○!2着○○!
と先着のランナーを発表しているのをよそに

3分○秒!あと○m!!
と、少し後方に居て画面に映っていない田中選手と、時計しか見ていない様子です。
そしてゴールした瞬間には、大きな声をあげて喜ばれていたように記憶しています。
放送席は映りませんので、どんな場所だったかはわかりませんが、前のめりで乗り出して、スタンドから落ちそうになっていたんじゃないかと想像し、ちょっと笑ってしまいました。
決勝では、選手紹介の際に、田中選手が意外にも、満面の笑みで腕を大きく振り、ジャンプまでするというパフォーマンスをしました。
それを見て、金さんも一気にスイッチが入ったのか、準決勝に負けない熱い解説をして下さいました。

田中選手って、ほんとにみんなをワクワクさせるよね。
○○って言っちゃいました
そして迎えた今回の世界陸上。
くだんの田中選手の1500mの解説は、高橋尚子さんでした。

がーん…

違う違う!天下のQちゃんです!
女子マラソンのレジェンド、金メダリストの高橋尚子さん、通称Qちゃんです。
今回、スペシャルキャスターを務めていた高橋さんは、長距離女子の解説もしていました。
5000mで
という快挙を成し遂げた田中選手。
オリンピック後に苦しい時期があり、先に行われた1500mでも決勝に残れなかったので、今大会は終始険しい表情でした。
この5000mが終わった後のインタビューでさえ、固い表情が続いていました。
けれど、アナウンサーに続いて、解説席から高橋さんに声をかけられた瞬間、表情が緩み、最後は笑顔と涙の感動のインタビューとなりました。
同じアスリート、しかも金メダリストからの言葉は、やっぱりとても特別なんだなと思いました。
そして、そんな高橋さんも、5000mの解説で、田中選手がゴールする瞬間には

6位!6位!8位!!
と、田中選手しか見ていないようでした。(ゴール直前で2人抜かれました。)
普段は、比較的落ち着いた、低めの声で解説する高橋さんですが、高い声で順位を叫んで

キャッ、キャッってなってたね。
大の大人をもれなく「はしゃがせて」しまう田中選手。
これからも本当に楽しみです。
ということで、前置きが長くなりましたが、今回は、私が大好きな
は見られない(聞けない)のかなーと思っていたら

もっといいのがありました!
三浦龍司選手の3000m障害です。
三浦選手も田中選手と同じく、東京オリンピックで注目されましたよね。
の快挙でした。
箱根駅伝にも出場していて、陸上界では元々有名な選手です。
そしてもう一人、青木涼真選手も決勝に残りました。

予選の最後の追い上げすごかったよね。
この2人の日本人選手を含む、総勢16名で3000m障害の決勝がスタートしました。
先頭集団は、もちろんアフリカ勢です。
その中に三浦選手が混じったまま、レースは終盤を迎えます。
陸上競技で応援している選手がいる場合
に入ることを願います。
それ以外にも
を応援することもあります。
ラスト1周が近づき、6番目を走る三浦選手。
先頭の選手がゴール前を通過し、鐘が鳴ります。
その直後、3番目を走っていたケニアの選手が、障害を越えたときに転びました。
アナウンサーの

あー!1人転んだ!転倒!転倒!
の声。
そしてそのすぐあとに、金さんの

ヨシ!ヨシ!ヨシ!
という、興奮した声が聞こえました。
全国放送(インターネット配信もあるので全世界配信?)で、よその国の選手が転んで「ヨシ」を連呼しちゃった金さん。
きっと日本中で、たくさんの人が心の中で「ヨシ」と思ったと思います。
三浦選手の大学などで、パブリックビューイングで応援していたりしたら、みんなで「ヨシ」と叫んで、手を握り合っていたかもしれません。
アナウンサーだって、心の中では「ヨシ」と思ったかもしれません。
喜びたい気持ちを押し殺して、公平に正確に状況説明だけをするという職務に徹しただけなのかもしれません。(叫びすぎて、最後はめちゃくちゃ声が枯れていましたけど。笑)
それなのに、そのすぐ隣で、お構いなしに「ヨシ」を連呼し

まだわかりませんよ!まだ転倒があるかもしれません!
と、転ぶのを期待する発言までしちゃった金さん。
3000m障害は、その名の通り「障害物」があるので、ほかの走るだけの競技とは少し違います。
ですので、転倒に言及することは普通なのかもしれませんが
が強すぎて、ちょっと笑ってしまいました。
これだけ我を忘れて応援してくれたら、嬉しいですよね。
そして、多分本物のアスリートにとっては「ヨシ」が正しいのだろうなとも思いました。
私は転んだ人がいたら

かわいそう…。

転んだ人を抜かして勝っても、嬉しくないんじゃないかな…。
と思ってしまいます。
でもこんな根性では、世界では戦っていけないのでしょうね。
似たようなところで言うと、自分の組で、自分以外の選手が、フライングで失格になったときも、「ヨシ」なんだと思います。
競技の多くは、予選、準決勝、決勝とステージがあって、組ごとの着順で次に進めるかが決まります。(タイムでも数名追加されます。)
自分の組の人数が減ったら、それだけで次に進める可能性が上がります。
よその組よりも有利になります。
競っている相手が、転倒しようが、フライングで失格になろうが、組み合わせやレーンの運が良かろうが悪かろうが、そういうことも全部含めて、結果が最優先なのだなと思いました。
そんなアスリートの、本気の「ヨシ」が聞けて、大変充実した観戦の時間となりました。
新しい解説者と取り組み
金さんと高橋さん以外にも、今回は、新しい解説者の登場や、新たな取り組み(解説パターン)があり、大変楽しく観戦することができました。
サブトラックには、長年おなじみだった小谷実可子さんに代わって、木村文子さん(元短距離選手)がいらっしゃいました。
解説もされていて、笑顔がとってもチャーミングです。
跳躍競技では、澤野大地さん(棒高跳の日本記録保持者)の解説がとてもわかりやすくて、聞き入ってしまいました。
さすがに、ご自身の専門である棒高跳では、少し興奮気味でした。
そして、女子短距離のレジェンド、福島千里さんも解説に来られていました。
福島さんは、100mと200mの日本記録保持者です。
腹筋バキバキで、走るのめっちゃ速い(当たり前ですが。)のに

しゃべるのめっちゃ遅いんです。
選手のときから大ファンで、のんびりしたインタビューが好きでした。

ギャップ萌えだねー。
解説もほのぼのしていて、とても楽しく拝聴しました。
また今回は、短距離種目で、朝原宣治さん、高平慎士さん、福島千里さん、木村文子さんの中から、2名が解説席に座る、というパターンもありました。

男女混合リレーもできたしね。
その男女混合リレー、初日から大波乱でしたよね。
「世界記録で金メダル」のゴール目前で転んでしまったオランダのボル選手。
会場中が騒然とする中、福島さんが

大丈夫ですかね…。ボル選手…。
と呟かれていたのが、印象的でした。
リレーを含む、複数種目にエントリーしてきた、同じ選手だったから、真っ先に出た言葉かもしれません。
ボル選手は、400mハードルの金メダル候補です。
リレー種目はこれまで、個人種目のあとに行われることがほとんどでしたが、新しくできた混合リレーは、今大会は初日に行われました。
ケガや体の心配ももちろんですが、あとに控えた個人種目に影響がないか、そのために日々練習してきたのに、直前で出られなくなったりしないか、と心配されたのかもしれません。
今大会は、序盤でオランダ選手の転倒が相次ぎ、しかも勝敗を分けるゴール前の同じような場所だったので

このトラックなにかあるのかな…。
と、少し怖くなりました。
ハッサン選手も、先頭を走っていた10000mで、ゴール直前で転倒しましたよね。
そのあとの、1500mや5000mに、包帯を巻いて出ていたのが痛々しかったです。
ちなみに、5000mで田中選手が驚異的な日本新記録を出したのは、もちろん頑張ったのは田中選手ですが、ハッサン選手が爆速で先頭をひっぱってくれたおかげでもあります。
田中選手のお言葉を借りると「ぶらさがり」というのでしょうか。
ハッサン選手は、つい最近までは、ずっと最後尾(または射程圏内の後ろの方)にいて、ラスト1周で全員ごぼう抜き、というのが定番スタイルでした。
東京オリンピックでは、予選ではありますが、1500mで、転んだのにそこからごぼう抜きして通過したこともありました。
ところが、ケニアのキピエゴン選手という、どうにもこうにも勝てない相手が現れて、今大会では、ロングスパートをしてみたり、先頭をひっぱってみたり、色々試していたそうです。(と、Qちゃんが解説で言っていました。)
その「先頭をひっぱってみた」のが、ちょうど田中選手が同じ組にいた5000mの準決勝だったというわけです。
なので

ハッサン選手ありがとう!!
そして

キピエゴン選手、強すぎてありがとう!
ですね。
もうひとつちなみに、初日に転んだボル選手ですが、400mHでは

ぶっちぎりで余裕の金メダルでした。
そして、最終日の4×400mリレーでは

なんと!な、なんと!
初日に転んだ同じ場所で、2人を抜いて

オランダが初優勝、金メダルでした!!
オランダに始まり、オランダに終わる!?
漫画のようなハッピーエンドでした。
おわりに
私の、世界陸上の、競技以外のところでの楽しみ方をご紹介しました。
ここ数年で、日本人選手が、長距離でラスト1周になっても先頭集団に同じスピードで居たり、中距離種目に出場したり、短距離で決勝に残ったり、一昔前には想像できなかった光景を普通に観ることができています。
外国人選手に負けない体格の選手も増えましたよね。
これからも、陸上界の発展が楽しみです。

結局、増田さんは来てなかったねー。

パラ陸上の準備で忙しかったのかもね。
来年2024年は、パリオリンピックもありますが、我らが神戸市で
が開催されます。

その前に、今年はまだアジア大会があるよ。

冬にはマラソンとか駅伝もあるしね。
まだまだ忙しい日々は続きます。(笑)