春になり
通称
の実施が正式に決まりました。
様々なケースの対応が徐々に整理されてきましたので
について解説します。
2割特例の選択可不可
概要
2割特例の対象者は
だったけれど
事業者です。
売上が1,000万円前後だといつも使えるわけじゃないね。
そうですね。基準期間の課税売上高に着目です。
年によって売上が1,000万円を超えたり超えなかったりする事業者について、2割特例が選択できるかどうかを確認しましょう。
途中で1,000万円を超える場合
各年の課税売上高が
である事業者が
である場合は
になります。
この事業者の2割特例の選択可不可は
となります。
2024年は
で申告することになります。
一度超えた年があっても、翌年以降には関係ないのですね。
はい。判定は課税期間ごとに行います。
開始年が免税事業者でない場合
各年の課税売上高が
である事業者は
です。
この事業者が
である場合は、2割特例の選択可不可は
となります。
2023年は
で申告することになります。
インボイス制度の開始年に課税事業者でも、翌年以降には関係ないのですね。
はい。判定は課税期間ごとに行います。
開始前に課税事業者選択届出書を提出している場合
各年の課税売上高が
である事業者が
である場合、2割特例の選択可不可は
となります。
2023年だけが使えないのですね。
そうですね。インボイス制度が開始する2023年のみ特殊な取扱いになります。
本則課税と2割特例
概要
簡易課税制度を選択していない事業者が、2割特例の対象となる場合は
のいずれかを、申告書にチェックを入れることで選ぶことができます。
どういうときに本則課税を選ぶと良いのですか?
主に還付申告になるときです。
2割特例は
という制度ですので、決して還付申告にはなりません。
一方、本則課税では原則どおり
の算式で計算しますので、支払った消費税の方が多ければ還付申告になります。
還付申告になる可能性があるのは
の2つです。
申告書と一緒に提出する
には、いずれに当てはまるか、○印を付ける欄があります。
じゃあ急な設備投資があった場合は、申告時に本則課税を選べばいいですね!
そう簡単にはいかないかもしれません。
本則課税は急に選べるか!?(設備投資の場合)
本則課税で申告をする場合は、仕入に対する消費税(支払った消費税)について
の保存が必要です。
帳簿には
を記載しなければなりません。
インボイス制度が開始すると、保存しなければならない請求書等は、一部の例外を除いて
です。
日頃から厳格な事務処理をしていれば問題ありませんが、2割特例で申告するつもりで、請求書等の保存が曖昧だったり、簡易的な記帳をしたりしていた事業者が、申告するときになって急に本則課税を選ぶのは、難しいかもしれません。
2割特例や簡易課税制度が設けられているのは、税額だけでなく、事務負担の軽減も目的のひとつです。
設備投資による還付申告をしたい場合は、計画を立て、事前にしっかりと事務処理をしておく必要があります。
輸出が増えてきた場合
設備投資以外に還付申告となるのは
です。
本則課税での申告をしたことがない事業者で、輸出売上が徐々に増えている場合は、上記の設備投資の場合と同様に、きちんと計画を立てて準備する必要があります。
特に、ゆくゆくは輸出が主になる予定の事業者は、この2割特例の期間は、本則課税を試す大チャンスです。
本則課税で申告するつもりで事務処理を進めておけば、申告の際に有利選択ができます。
万が一事務処理がうまくいかなくても、2割特例で申告できます。
本則課税と簡易課税制度の選択になると、原則として、申告の段階になってから選ぶということはできません。
また、一度選択すると、2年または3年間は継続しなければなりませんので、事前の検討や事務処理の進捗等、難易度は高くなります。
将来的に本則課税で申告する可能性がある事業者は、ぜひこの2割特例の期間に、事務処理と申告書の作成を試してみると良いですね。
輸出が減ってきた場合
一方、これまで本則課税による還付申告を続けてきた事業者で、輸出売上の割合が徐々に減っている場合は、課税売上高にもよりますが、ゆくゆくは
との選択を検討しなければならなくなる可能性があります。
上述と同様に、本則課税と簡易課税制度の選択になると、原則として、申告の段階になってから選ぶということはできませんし、一度選択すると2年または3年間継続しなければなりません。
すでに事務処理に不安はないと思いますので、今後の事業の方向性や意思決定の判断のために、ぜひこの
の2割特例の期間を利用すると良いですね。
また、取引先等を鑑みて、適格請求書発行事業者の登録が不要ということでしたら
になるという選択肢もあります。
この場合は
の事前提出が必要です。
消費税では、一度提出した届出書は、不適用届出書が有効となるまでその効力が続きますので、自らの選択を止めたいときは、忘れずに提出しましょう。
おわりに
インボイス制度の2割特例について
を解説しました。
2割特例を始め、インボイス制度の導入に伴って数々の特例が用意されていますが、消費税では、何らかの選択をしたい場合は、原則として
が必要です。
適切な課税選択をするためには、事業の展望を予測をし、計画を立てたり準備をしたりすることが重要です。
おおよそで構いませんので、試算をしてみるのも良いですね。
消費税に関するご相談は、個別相談で承っております。