春になり
通称
の実施が正式に決まりました。
様々なケースの対応が徐々に整理されてきましたので
について解説します。
2割特例の選択可不可
概要
2割特例の対象者は
だったけれど
事業者です。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2020/05/boy_question.png)
売上が1,000万円前後だといつも使えるわけじゃないね。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
そうですね。基準期間の課税売上高に着目です。
年によって売上が1,000万円を超えたり超えなかったりする事業者について、2割特例が選択できるかどうかを確認しましょう。
途中で1,000万円を超える場合
各年の課税売上高が
である事業者が
である場合は
になります。
この事業者の2割特例の選択可不可は
となります。
2024年は
で申告することになります。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/12/blackwoman3_question.png)
一度超えた年があっても、翌年以降には関係ないのですね。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
はい。判定は課税期間ごとに行います。
開始年が免税事業者でない場合
各年の課税売上高が
である事業者は
です。
この事業者が
である場合は、2割特例の選択可不可は
となります。
2023年は
で申告することになります。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2022/06/woman_question.png)
インボイス制度の開始年に課税事業者でも、翌年以降には関係ないのですね。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
はい。判定は課税期間ごとに行います。
開始前に課税事業者選択届出書を提出している場合
各年の課税売上高が
である事業者が
である場合、2割特例の選択可不可は
となります。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2020/05/boy_question.png)
2023年だけが使えないのですね。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
そうですね。インボイス制度が開始する2023年のみ特殊な取扱いになります。
本則課税と2割特例
概要
簡易課税制度を選択していない事業者が、2割特例の対象となる場合は
のいずれかを、申告書にチェックを入れることで選ぶことができます。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2020/05/boy_question.png)
どういうときに本則課税を選ぶと良いのですか?
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
主に還付申告になるときです。
2割特例は
という制度ですので、決して還付申告にはなりません。
一方、本則課税では原則どおり
の算式で計算しますので、支払った消費税の方が多ければ還付申告になります。
還付申告になる可能性があるのは
の2つです。
申告書と一緒に提出する
には、いずれに当てはまるか、○印を付ける欄があります。
![還付申告に関する明細書](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/05/il2305_2wari01.jpg)
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2020/05/boy_idea.png)
じゃあ急な設備投資があった場合は、申告時に本則課税を選べばいいですね!
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
そう簡単にはいかないかもしれません。
本則課税は急に選べるか!?(設備投資の場合)
本則課税で申告をする場合は、仕入に対する消費税(支払った消費税)について
の保存が必要です。
帳簿には
を記載しなければなりません。
インボイス制度が開始すると、保存しなければならない請求書等は、一部の例外を除いて
です。
日頃から厳格な事務処理をしていれば問題ありませんが、2割特例で申告するつもりで、請求書等の保存が曖昧だったり、簡易的な記帳をしたりしていた事業者が、申告するときになって急に本則課税を選ぶのは、難しいかもしれません。
2割特例や簡易課税制度が設けられているのは、税額だけでなく、事務負担の軽減も目的のひとつです。
設備投資による還付申告をしたい場合は、計画を立て、事前にしっかりと事務処理をしておく必要があります。
輸出が増えてきた場合
設備投資以外に還付申告となるのは
です。
本則課税での申告をしたことがない事業者で、輸出売上が徐々に増えている場合は、上記の設備投資の場合と同様に、きちんと計画を立てて準備する必要があります。
特に、ゆくゆくは輸出が主になる予定の事業者は、この2割特例の期間は、本則課税を試す大チャンスです。
本則課税で申告するつもりで事務処理を進めておけば、申告の際に有利選択ができます。
万が一事務処理がうまくいかなくても、2割特例で申告できます。
本則課税と簡易課税制度の選択になると、原則として、申告の段階になってから選ぶということはできません。
また、一度選択すると、2年または3年間は継続しなければなりませんので、事前の検討や事務処理の進捗等、難易度は高くなります。
将来的に本則課税で申告する可能性がある事業者は、ぜひこの2割特例の期間に、事務処理と申告書の作成を試してみると良いですね。
輸出が減ってきた場合
一方、これまで本則課税による還付申告を続けてきた事業者で、輸出売上の割合が徐々に減っている場合は、課税売上高にもよりますが、ゆくゆくは
との選択を検討しなければならなくなる可能性があります。
上述と同様に、本則課税と簡易課税制度の選択になると、原則として、申告の段階になってから選ぶということはできませんし、一度選択すると2年または3年間継続しなければなりません。
すでに事務処理に不安はないと思いますので、今後の事業の方向性や意思決定の判断のために、ぜひこの
の2割特例の期間を利用すると良いですね。
また、取引先等を鑑みて、適格請求書発行事業者の登録が不要ということでしたら
になるという選択肢もあります。
この場合は
の事前提出が必要です。
消費税では、一度提出した届出書は、不適用届出書が有効となるまでその効力が続きますので、自らの選択を止めたいときは、忘れずに提出しましょう。
おわりに
インボイス制度の2割特例について
を解説しました。
2割特例を始め、インボイス制度の導入に伴って数々の特例が用意されていますが、消費税では、何らかの選択をしたい場合は、原則として
が必要です。
適切な課税選択をするためには、事業の展望を予測をし、計画を立てたり準備をしたりすることが重要です。
おおよそで構いませんので、試算をしてみるのも良いですね。
消費税に関するご相談は、個別相談で承っております。