![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2020/06/ojiisan_question.png)
わしが死んだら、妻が保険金を受け取る予定じゃ。
これで納税資金の心配はなかろう?
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
受取人は、お子様に変更された方が良いかもしれません。
生命保険契約は、相続税の納税資金対策として有効です。
ただし、受取人には注意が必要です。
具体例とともに、解説します。
相続税を払うのは誰?
具体例で確認してみましょう。
![家系図](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/10/il_2310_ins_01-800x680.png)
父、母、子2人の4人家族で、父が亡くなり、遺産は1億円、死亡保険金が1,500万円だったとします。
仮に法定相続分で相続したとした場合、相続税額は以下のようになります。
![早見表](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/10/il2310_ins02-800x372.png)
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/06/businesswoman3_question.png)
1億円で3人(配偶者+子2人)だから315万円ですね。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
はい。では、この315万円を払うのは誰でしょうか?
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/businessman_question.png)
3人で払うんじゃないんですか?
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
いえ。この場合、払うのは子だけです。
相続税の納税義務者は
ですので
に、申告納付をします。
ではありません。
同じ被相続人の申告を、複数の相続人が、それぞれ別の税理士に依頼することだってあります。
したがって、相続税は相続人ごとに納める義務があります。
それを別の相続人などが肩代わりしたりすると、贈与税がかかる可能性がありますので、注意が必要です。
そして、相続税には
という規定があります。
配偶者は、亡くなった方の財産形成に貢献してきました。
それが「遺産」という名前に変わって「相続」したことになってしまっただけです。
また、生活保障の面からも、配偶者については、なるべく相続税を納めなくてよいように、この規定が設けられています。
配偶者であるということだけで必ず適用される規定で
の
までは、相続税がかからないことになっています。
したがって、法定相続分で遺産分割をした場合は
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/10/obaasan03_smile.png)
母(妻)
相続財産:5,000万円、相続税額:0円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/business03_smile.png)
子
相続財産:2,500万円、相続税額:157.5万円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/10/businesswoman1_smile.png)
子
相続財産:2,500万円、相続税額:157.5万円
となります。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/businessman_question.png)
じゃあ、母がすべて相続した方が良いのではないですか?
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
そうとも限りません。
片方の親が亡くなり、相続人に配偶者がいる場合の相続を「一次相続」、その後、その配偶者が亡くなり、相続人が子だけの相続を「二次相続」と言います。
一次相続の際には、この二次相続のときのことまで考えておくことが望ましいです。
二次相続では、配偶者がいませんので、配偶者の税額軽減の規定は使えません。
法定相続人の人数も減りますので、基礎控除も少なくなります。
そして、相続税の計算は、超過累進税率といって、財産が多いほど税率が高くなります。
再度早見表を確認して頂くと、一目瞭然ですが
![早見表](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/10/il2310_ins02-800x372.png)
1億円の財産を、全額配偶者が相続しそのまま亡くなった場合、二次相続(子2人)の税額は770万円です。(配偶者の元々の財産は無かったものとします。)
一次相続で
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/10/obaasan03_smile.png)
母(妻)
相続財産:1億円、相続税額:0円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/business03_smile.png)
子
相続財産:0円、相続税額:0円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/10/businesswoman1_smile.png)
子
相続財産:0円、相続税額:0円
とすると、そのときは相続税額は0円ですが、二次相続のときも遺産は1億円のままですので
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/business03_smile.png)
子
相続財産:5,000万円、相続税額:385万円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/10/businesswoman1_smile.png)
子
相続財産:5,000万円、相続税額:385万円
となります。
一方、一次相続で
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2023/10/obaasan03_smile.png)
母(妻)
相続財産:5,000万円、相続税額:0円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/business03_smile.png)
子
相続財産:2,500万円、相続税額:157.5万円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/10/businesswoman1_smile.png)
子
相続財産:2,500万円、相続税額:157.5万円
とした場合は、二次相続のときの遺産は5,000万円ですから
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/business03_smile.png)
子
相続財産:2,500万円、相続税額:40万円
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/10/businesswoman1_smile.png)
子
相続財産:2,500万円、相続税額:40万円
となります。
合計で比較すると
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/06/businesswoman2_idea.png)
倍近く違いますね。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
そうですね。
配偶者の税額軽減は、相続税額に大きな影響を及ぼす規定のひとつです。
配偶者のいない二次相続のこともしっかりと考えて、一次相続を乗り越えたいですね。
以上のように、配偶者は相続税がかからないケースが多いです。
したがって
のために、生命保険に加入するのであれば、受取人は
ではなく
にすると良いですね。
換金性と納税資金
相続税は、原則として
しなければなりません。
そのため、納税資金の確保も、しっかりと検討しておく必要があります。
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2021/10/businessman_question.png)
遺産をもらうんだから、そこから払えばいいんじゃないですか?
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
それが可能かどうかは、相続財産の種類によります。
相続財産には
などがあります。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
相続した財産が、すべて不動産だったらどうしますか?
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/06/businesswoman3_question.png)
売らないと払えませんね…。
![くま税理士](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/03/animal_kuma.png)
そうですね。
「換金性」に着目です。
相続した財産が、現金や預貯金ばかりなら、そこから払うことができます。
有価証券も、上場株式であれば、比較的早くお金に換えることができます。
けれど、相続した財産のほとんどが不動産(土地や建物)といった場合は、申告期限までに売れず
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2020/01/business04_cry.png)
払えないよ…。
となることも。
先祖代々守ってきた土地などで
![](https://taxcptaf.com/wp-content/uploads/2019/06/businesswoman2_think.png)
売りたくないです。
ということもありますよね。
そこで、生命保険の登場です。
相続税がかかる財産には、上述の
など
だけでなく
などの
も含まれます。
ただし、課税対象にはなりますが、受取人が相続人である場合には
があり
までは、相続税はかかりません。
上述の具体例のように、法定相続人が3人であれば
までは、非課税です。
ちなみに、子の配偶者や孫など、相続人以外の人が受取人の場合は、非課税の適用がありませんので要注意です。
そしてなにより、みなし相続財産は、受取人の固有の財産であり
となることが、納税資金対策に有効と言われる大きな理由です。
死亡保険金は、受取人がすぐに自由に使うことができる
です。
納税資金だけでなく、被相続人の未払金や葬儀の費用等、すぐに必要な支払いにも充てることができます。
そして、相続税を払う必要がある相続人にとっては、自分で
になります。
死亡保険金の受取人は、相続税を払う予定の相続人(子)にするといいですね。
また、遺産分割は、それぞれの財産をそのまま分ける方法(現物分割)もありますが、代償分割といって、1人の相続人が相続し、その代わりに、他の相続人に代金等を贈与する方法もあります。
死亡保険金は、代償分割にも活用することができますね。
おわりに
相続税の納税資金対策として
を取り上げるとともに
についても解説しました。
死亡保険金は非課税枠があり、単に課税財産を減らす対策としても有効ですが、その効力を最も発揮するのは
です。
をご家族でよく検討して、受取人を決めたいですね。