
外国の親会社から多額の借入をしています。

支払利子の一部が損金不算入となるかもしれません。
外国の親会社から多額の借入がある場合等に検討が必要な
通称
について解説し、計算例を紹介します。
過小資本税制
概要
過小資本税制は、外国からの負債が過大である場合に、その支払利子の損金算入を制限する規定です。
会社は
により資金調達をし
を支払います。
このうち、配当は資本等取引ですので、損益に影響しません。
一方、利子は損金の額に算入されます。
両者には
という違いがあります。
これを利用すると、本来は配当として損金の額に算入されない金額を、利子として損金の額に算入することで、税負担を軽減したり、税率の低い国へ利益を移転したりすることができてしまいます。
この租税回避行為を防止するため、利子の損金算入を制限する規定があります。
そのうちのひとつが
通称
です。
摘要対象
対象となるのは
と呼ばれる外国法人や非居住者に対する負債の利子です。
親会社を始め、兄弟会社も含まれます。
株式の保有割合としては50%以上とされていますが、人事、取引、資金の関係によって実質的に支配している場合も含まれます。
また、これらの国外支配株主等が、第三者を通じて資金を供与したり債務を保証したりした場合の、その第三者である
に対する負債の利子も対象です。
適用要件
損金算入が制限されるのは、以下のいずれにも当てはまる場合です。
そして支払った利子のうち、損金不算入となる金額は、この3倍を超える部分に対応する金額です。
なお、利子の損金算入を制限する規定として、過小資本税制以外に
があります。
過小資本税制と過大支払利子税制とは
をすることとなっていますので、いずれにも該当する場合は
を適用しなければなりません。
また、支払利子について移転価格税制の適用があった場合は、その適用後の金額で、さらに過小資本税制または過大支払税制の適用有無を判定しますので、重複適用となる場合もあります。
計算例
前提条件
判定
国外支配株主等に対する負債

総負債

損金不算入額
超過額
損金不算入額
おわりに
支払利子の損金算入を制限する既定のひとつである
通称
の解説と計算例の紹介をしました。
利子を利用した租税回避行為については、各国で制限が強化されています。
資金調達または資金提供をする場合は、借入だけでなく出資も合わせて検討し、適切な比率を維持したいですね。