2021年10月1日から、郵便物として20万円以下のものを輸出した場合の輸出証明書類が変わります。
輸出証明書類は、消費税の輸出免税の適用を受けるために保存しておかなければならない書類です。
具体的な必要書類と改正の経緯についてお話ししていきます。
改正後(2021年10月1日以降)の輸出証明書類
それでは、2021年10月以降の証明書類を確認しましょう。
輸出免税の適用を受けるためには、以下の書類の保存が必要です。
送り状(ラベル)の依頼主控えと受取書が該当します。
記載事項については、ラベルの記入と郵便局への提出を正しく行っていれば記載される内容です。
特に、品名ごとの詳細については、ラベルには、品名、個数、重量、価格をすべて漏れなく記入しなければなりませんし、価格欄に「0円」や「商品価格なし」と書くことはできません。
ですので、ラベルが正確に記入されていれば、要件を満たすことになるかと思います。
なお、ラベルの作成には、以下の「国際郵便マイページサービス」を利用されることをおすすめします。
こちらを利用すると、通関電子データ(差出人や内容品などの情報)が、郵便物の発送前に相手国へ送信される仕組みになっています。
2021年1月1日から通関電子データの送信が義務化され、米国宛の場合は、すでに手書きラベルでの差出しができなくなっています。
また、2021年10月1日以降、EUで通関電子データの要求が強化される予定ですが、こちらもすでに、通関電子データの送信がないこと等を理由に返送された事例が出ているようです。(2021年8月)
返送や遅延を防止するためにも、国際郵便マイページサービスでラベルを作成しましょう。
国際eパケットや小型包装物(Small packet)などはこちらになります。
国際eパケットの場合は、国際郵便物受領証(依頼主控え)が該当します。
小型包装物(Small packet)の場合は、今のところ、書留等のオプションを付与しなければ、輸出免税の適用を受けることができない見込みです。
お仕事で利用される場合には、追跡のために書留としたり保険を付けたりすると思いますので、その際の受領証等を保存してください。
いずれにしても、品名、数量、価額の記載がない場合は、追記が必要です。
なお、こちらも国際郵便マイページサービスでラベルを作成し、通関電子データの送信を行いましょう。
改正の経緯と改正前(2021年9月30日以前)の輸出証明書類
消費税の輸出免税の適用を受けるために、とても重要な輸出証明書類。
とは言え、納税者と帳簿を信頼する国ニッポン。
2021年9月30日までの規定は、以下のようなものでした。
「または」!?
自分で作成した帳簿だけでもよかったということですか?
そうなんです。
記載事項には細かいきまりがありますが、帳簿をきちんと作成していればそれでOKでした。
ところが
やっぱり信用ならん!
ということで、帳簿だけでは認められないことになりました。
きっと、帳簿に嘘を書く人が居たんですね。
輸出免税は、消費税の還付と密接な関係があります。
インターネット通販などで国際取引が容易になり、不当に還付を受けようとする人が増えたのだろうと思います。
消費税が還付となる仕組みについて知りたい方は、こちらをご参照ください。
何も悪いことをしていない方にとってはとんだとばっちりですが、そういう方はおそらく
帳簿だけでいいですよ。
と言われても、元々、帳簿に正しく記載した上で、取引に関係する証拠書類もきちんと保管している場合が多いのではないかと思います。
2021年10月からは
うっかりなくしてしまいました…
ということがないように、念のため書類の保存方法などを再度確認しておきましょう。
おわりに
輸出免税は、国際間の二重課税を調整するために消費税が免除されるものです。
ですので、輸出免税の適用を受けるためには、輸出先の国で消費されること(二重課税となること)が条件です。
そのためには、確実に外国に輸出したことを証明することが必要で、20万円を超える郵便物を輸出した場合には、輸出申告をした際の輸出許可書でこの証明ができます。
ただし、輸出申告が不要な20万円以下の郵便物については、発送したことや郵便局で引き受けがあったこと等の証明までで構わない、とされている次第です。
通関手続きのきまりに合わせて、例外として認められているものなんですね。
10年以上前のことになりますが、以前は金額に関わらず郵便物のすべてが輸出入申告の必要がありませんでした。
国際取引の変化に伴って、今後も関連の法律は改正されていきます。
日頃から情報収集をして、早めに対応できるようにしておきたいですね。
なお、輸出免税について詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご参照ください。