
中古で購入した資産の減価償却はどうなりますか?

はい。耐用年数を特別な計算方法で算出します。
中古資産の減価償却費を計算する場合の、耐用年数について解説します。
法定耐用年数
まず、法定耐用年数(新品で購入した場合の耐用年数)を確認しておきましょう。
法定耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一で確認することができます。
ほかにも、検索して頂くと、「確定申告書等作成コーナー」の「よくある質問」をはじめ、主なものだけを抽出した簡易版もたくさん見つかりますので、ご自身の見やすいもので確認して下さい。

たとえば
の建物を購入した場合、法定耐用年数(新品で購入した場合の耐用年数)は
です。
中古資産の耐用年数
それでは中古資産の耐用年数を確認していきましょう。
原則:見積った残存使用可能期間
中古資産の耐用年数の原則は
です。

正確に見積もるのは難しそうですね。

そうですね。見積もりが困難な場合は、以下の特例を使用します。
特例:簡便法
使用可能期間の見積もりが困難な場合は、一定の場合を除き、簡便法により計算した年数で償却することができます。
資本的支出とは、固定資産の価値や耐久性を高めるために支出した金額のことです。
用途を変更するような改造や改装、高品質や高性能の部品等に取替えた場合の通常の取替費用を超える部分の金額などが該当します。

そのままでは使えない中古資産を購入する場合は、資本的支出をしますね。

そうですね。資本的支出の有無と金額によって、簡便法が使えるかどうかが決まります。
取得価額は、中古資産本体の購入金額のことです。
中古資産の使用を開始するにあたり
は、簡便法により耐用年数を計算することができます。
計算式は、経過年数によって異なります。
法定耐用年数と比較し、全部を経過している場合は
法定耐用年数 × 20%
となります。
経過年数の2割程度は、利用価値があるものとして計算することになります。
また、法定耐用年数の一部を経過している場合は
法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 20%
となります。
元々の残りの耐用年数に加えて、経過年数の2割程度は利用価値があるものとされます。
なお、1年未満の端数は切捨となります。
たとえば
だとすると
となります。
また、算出された年数が2年未満の場合は、2年となります。
たとえば
だとすると
となります。
特例:その他
資本的支出の金額が、取得価額の50%を超える場合は、簡便法により耐用年数を計算することはできません。
再取得価額とは、同じ資産の新品を再び購入するとした場合の金額のことです。
資本的支出の金額が、この再取得価額の50%を超える場合は、法定耐用年数を使用します。

新品と同じということですね。

そうですね。大改造などで新品同様となった場合は、中古資産の取扱ではなくなります。
一方、資本的支出の金額が、取得価額の50%は超えるけれど、再取得価額の50%以下の場合は、簡便法と法定耐用年数(新品扱い)を折衷した、以下の算式により計算した耐用年数を使用することができます。
(取得価額 + 資本的支出 ) ÷ ( 取得価額 / 簡便法による耐用年数 + 資本的支出 / 法定耐用年数)
これは
とした場合の、平均年数を求める算式になっています。
たとえば
だとすると
となります。
おわりに
中古資産の減価償却をする場合の、耐用年数について解説しました。
によって、計算方法が異なります。
要件を確認し正確に算出しましょう。