今年度は
の改正がありました。
細かな見直しも含めて、毎年のように何かしら変更がありますね。

税理士試験の受験中は大変でした…。
今回の改正の主な項目として
の3つをご紹介します。
特定法人(中堅企業)
資本金が1億円以下の中小企業者等については、適用要件や税額控除割合が優遇されています。
改正前は、その
という区分でした。
けれど、今回の改正で区分がひとつ増え
の3区分に変わりました。
特定法人は、給与等の増加割合が4%以上になると、それ以外の大企業よりも控除割合が優遇されます。
特定法人とは
の法人をいいます。
ただし、グループ企業の場合は
と合算して
でなければなりません。
たとえば
の場合

A社は
であるため、特定法人に該当しますし、B社は
であるため、特定法人に該当します。
一方
の場合

C社は
ですが
ですので、特定法人に該当しませんし、D社は
ですので、特定法人に該当しません。
また
の場合

E社は
ですので、特定法人に該当しませんが、F社は
ですので、特定法人に該当します。

親会社は関係ないのですね。

はい。合算対象は、子会社(こちらが支配している法人)のみです。
条文には
と書かれています。
というところがキーワードですね。
したがって、こちらが支配されている法人(≒親会社)の人数は、考慮する必要はありません。
グループ企業の従業員数については、定期的に情報交換をして、最新の人数を確認しておきたいですね。
繰越控除制度
今回の改正で
にはなりますが、ついに
が追加となりました。
かつて
と呼ばれた同制度ですが
という名称で、常設の税制であるかのように定着してきましたね。
昨今は、決算検討事項の主要項目のひとつでもあります。
制度開始以来、単事業年度向けの税制措置でしたが、このたび、控除しきれなかった金額を
繰り越すことができるようになりました。
適用を受けない欠損事業年度であっても、確定申告書に明細書の添付をすることで、引き続き翌事業年度以降に繰り越すことができます。
これにより、賃上げをした事業年度だけでなく、翌事業年度以降の税額にも影響を与えることとなりました。
今後は、より長期的な計画や管理が必要です。
毎月とまでは言いませんが、四半期ごと程度で、判定や試算をしておくといいですね。
子育て・女性活躍支援
税額控除割合の上乗せ措置の要件としては、従来から
がありました。
教育訓練費について一定の要件を満たすと、税額控除割合が
上乗せされるというものです。
これに加えて、今回新たに
に関する要件を満たすと、さらに
上乗せされることになりました。
判定は
で行います。
くるみん認定は
に基づく認定で
があります。
の場合は
ですが
であれば
が、上乗せ措置の対象となります。
えるぼし認定は
に基づく認定で
があります。
の場合は、基準の充足数に応じて
のみが対象となりますが
であれば
が、上乗せ措置の対象となります。
各々認定基準がありますが、賃金以外の面での対応も適用要件となっています。
おわりに
おなじみとなった
の改正ポイントとして
の3つをご紹介しました。
17~18年前のことになりますが、今と同じようなユーロ高の時期がありました。
その頃、ヨーロッパから遊びに来た友人が

ホテルがすごく安かったの♪
と大喜びしていました。
友人としては、リーズナブルに楽しんでもらえて、お土産もたくさん買ってもらえて、とても嬉しかったのですが、日本人としては

ちょっと悲しい…。
と、複雑な心境だったことを思い出します。
近年は、外国で働いたり、外国に投資したりする人が増え

日本で働くのは損ですね。
といった声をよく聞きます。
日本で収入を得て、外国に住んでいる

一番損なパターンです。
という方もいらっしゃいますね。
あっという間に
というイメージがついてしまい、このままだと

出稼ぎでみんな居なくなっちゃうんじゃないの!?
などと思ったりします。
人材は人財です。
人を大切にして

ここで働きたい!
と思われるような企業が、これからもたくさん増えるといいなと思います。