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退職所得の源泉徴収税額と確定申告要否:退職所得の受給に関する申告書

税金
税金

会社を辞めて退職金をもらいました。
確定申告は必要ですか?

くま税理士
くま税理士

「退職所得の受給に関する申告書」は提出しましたか?

源泉徴収税額を確認するとわかります。

退職所得の概要と

  • 退職所得の受給に関する申告書
  • 源泉徴収税額
  • 確定申告要否

を解説します。

退職所得の概要

退職所得の範囲

退職所得として課税される退職手当等とは、退職により一時に受ける給与のことです。

会社から支払われる退職金はもちろん

  • 確定給付企業年金の一時金
  • 小規模企業共済の解約金
  • 解雇予告手当

なども含まれます。

  • 退職に基因していること
  • 一時に支払われること

がポイントです。

退職したことで支払われることになった一時金ということですね。

くま税理士
くま税理士

そうですね。

従って、退職していない他の社員の賞与などと同じ性質のものは、退職所得ではなく給与所得になります。

また、退職年金のように、複数回に渡って受け取るものは、一時に支払われるものではありませんので、雑所得になります。

なお、相続人が受け取る死亡退職金は、相続税の課税対象となりますので、所得税では非課税です。

退職所得の計算方法

退職所得の金額は、以下の算式で計算されます。

一般退職手当等
  • (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
※一般退職手当等の計算式です。特定役員退職手当等および短期退職手当等については(参考)をご確認下さい。

退職所得に該当するものは、支払時に源泉徴収がされるため

  • 収入金額 = 手取金額 + 源泉徴収税額

になります。

退職所得控除額は、勤続年数に応じて、以下の金額になります。

  • 20年以下:40万円 × 勤続年数 ※最低80万円
  • 20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

例えば、退職金500万円、勤続年数10年なら

  • (500万円 -( 40万円 × 10年 ))× 1/2 = 50万円

となります。

(参考)

特定役員退職手当等と短期退職手当等の計算式は以下です。

特定役員退職手当等
  • (収入金額 - 退職所得控除額)
※特定役員退職手当等:勤続年数が5年以下である役員等の、その勤続年数に対応する退職手当等
短期退職手当等(収入金額-退職所得控除額≦300万円)
  • (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
短期退職手当等(収入金額-退職所得控除額>300万円)
  • 150万円 + 収入金額 - ( 300万円 + 退職所得控除額)
※短期退職手当等:5年以下の短期勤続年数に対応する退職手当等で、特定役員退職手当等に該当しないもの

退職所得の課税方法

退職所得は、分離課税です。

他の所得と合算せずに、個別に税率を乗じて所得税額を計算します。

源泉徴収税額と申告要否

退職所得の受給に関する申告書

会社が退職金を支払う際には、給与と同じように源泉徴収をして、原則として翌月10日までに納付しなければなりません。

このときの源泉徴収税額は、退職者が

  • 退職所得の受給に関する申告書

を提出しているかどうかで異なります。

これは、退職手当等の支給を受ける人が、支払者に提出する書類です。

退職所得の受給に関する申告書
退職所得の受給に関する申告書

提出している場合

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、上記で算出した退職所得金額に応じて、以下の速算表により算出した金額を源泉徴収します。

課税退職所得(A)所得税率(B)控除額(C)税額=((A)×(B)-(C))× 102.1%
195万円以下5%0円((A)× 5%)× 102.1%
195万円超 330万円以下10%97,500円((A)× 10% - 97,500)× 102.1%
330万円超 695万円以下20%427,500円((A)× 20% - 427,500)× 102.1%
695万円超 900万円以下23%636,000円((A)× 23% - 636,000)× 102.1%
900万円超 1,800万円以下33%1,536,000円((A)× 33% - 1,536,000)× 102.1%
1,800万円超 4,000万円以下40%2,796,000円((A)× 40% - 2,796,000)× 102.1%
4,000万円超45%4,796,000円((A)× 45% - 4,796,000)× 102.1%
退職所得の源泉徴収税額の速算表

例えば、課税退職所得金額が500万円の場合は

  • (500万円 × 20% - 427,500)× 102.1% = 584,522円

となります。

そして、この計算により、適正な税額が徴収されていることになりますので、原則として確定申告は不要です。

ただし

  • 退職所得以外の申告すべき所得がある
  • 各種控除の追加等により還付を受けたい

といった理由で確定申告書を提出する際は、退職所得も含めて申告する必要があります。

提出していない場合

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合の源泉所得税額は

  • 退職手当等の支給額 × 20.42%

になります。

例えば、退職金が800万円の場合は

  • 800万円 × 20.42% = 1,633,600円

となりますので、手取金額は6,366,400円です。

この場合、適正な税額に精算されていませんので、必ず確定申告が必要です。

おわりに

退職所得の概要と

  • 退職所得の受給に関する申告書
  • 源泉徴収税額
  • 確定申告要否

を解説しました。

退職所得の確定申告をする場合は、会社から交付された

  • 退職所得の源泉徴収票

が必要です。

退職所得の源泉徴収票
退職所得の源泉徴収票

受け取ったら忘れずに保管しておきましょう。

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