会社を辞めて退職金をもらいました。
確定申告は必要ですか?
「退職所得の受給に関する申告書」は提出しましたか?
源泉徴収税額を確認するとわかります。
退職所得の概要と
を解説します。
退職所得の概要
退職所得の範囲
退職所得として課税される退職手当等とは、退職により一時に受ける給与のことです。
会社から支払われる退職金はもちろん
なども含まれます。
がポイントです。
退職したことで支払われることになった一時金ということですね。
そうですね。
従って、退職していない他の社員の賞与などと同じ性質のものは、退職所得ではなく給与所得になります。
また、退職年金のように、複数回に渡って受け取るものは、一時に支払われるものではありませんので、雑所得になります。
なお、相続人が受け取る死亡退職金は、相続税の課税対象となりますので、所得税では非課税です。
退職所得の計算方法
退職所得の金額は、以下の算式で計算されます。
退職所得に該当するものは、支払時に源泉徴収がされるため
になります。
退職所得控除額は、勤続年数に応じて、以下の金額になります。
例えば、退職金500万円、勤続年数10年なら
となります。
(参考)
特定役員退職手当等と短期退職手当等の計算式は以下です。
退職所得の課税方法
退職所得は、分離課税です。
他の所得と合算せずに、個別に税率を乗じて所得税額を計算します。
源泉徴収税額と申告要否
退職所得の受給に関する申告書
会社が退職金を支払う際には、給与と同じように源泉徴収をして、原則として翌月10日までに納付しなければなりません。
このときの源泉徴収税額は、退職者が
を提出しているかどうかで異なります。
これは、退職手当等の支給を受ける人が、支払者に提出する書類です。
提出している場合
「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、上記で算出した退職所得金額に応じて、以下の速算表により算出した金額を源泉徴収します。
課税退職所得(A) | 所得税率(B) | 控除額(C) | 税額=((A)×(B)-(C))× 102.1% |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 | ((A)× 5%)× 102.1% |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 | ((A)× 10% - 97,500)× 102.1% |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 | ((A)× 20% - 427,500)× 102.1% |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 | ((A)× 23% - 636,000)× 102.1% |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | ((A)× 33% - 1,536,000)× 102.1% |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 | ((A)× 40% - 2,796,000)× 102.1% |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 | ((A)× 45% - 4,796,000)× 102.1% |
例えば、課税退職所得金額が500万円の場合は
となります。
そして、この計算により、適正な税額が徴収されていることになりますので、原則として確定申告は不要です。
ただし
といった理由で確定申告書を提出する際は、退職所得も含めて申告する必要があります。
提出していない場合
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合の源泉所得税額は
になります。
例えば、退職金が800万円の場合は
となりますので、手取金額は6,366,400円です。
この場合、適正な税額に精算されていませんので、必ず確定申告が必要です。
おわりに
退職所得の概要と
を解説しました。
退職所得の確定申告をする場合は、会社から交付された
が必要です。
受け取ったら忘れずに保管しておきましょう。