所得税の確定申告は

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」がおすすめです。
とお伝えしたところ

「コーナー」というので、どこかに行くのかと思いました。
と言われたことがあります。
は、国税庁のウェブサイトです。
ご自宅のパソコンやスマートフォンで使用することができます。
はじめてしまえば、画面の案内に沿って進めていくことができます。
ですが、メイン画面にたどり着くまでに、色々と悩んでしまう箇所があるようです。
確定申告書等作成コーナーは、大きく分けて
の画面があります。
このうち、所得税の確定申告をする場合の
について解説します。
なお、国税庁のYouTubeチャンネルには、申告書等の送信・印刷までを含めた全体の流れを紹介した動画がありました。
こちらもぜひご確認ください。
事前準備
確定申告書等作成コーナーの、2024年1月現在のリンクはこちらです。
こちらをブックマークしておいても構いませんが、今後、URLが変更になったり、サイト名が変わったり、アプリができたりするかもしれません。
ご自身で見つけられるようにしておき、毎年最新のものを使用してください。
探し方などについては、こちらの記事も参考にしてください。
それではトップ画面から始めていきましょう。

はじめての方や、最初からやりたい場合は[作成開始]を押してください。
作成中のデータは保存することができます。
そして[保存データを利用して作成]から、保存したデータを読み込んで、続きから作成を再開したり、翌年の申告書に流用したりすることができます。
WordやExcelなどの、[新規作成]や[開く]と似ていますね。
[作成開始]を押すと「税務署への提出方法の選択」の画面になります。
提出方法は[スマートフォンを使用してe-Tax]がおすすめです。


[スマートフォンを使用してe-Tax]は
のではなく
という意味です。
ですので、ICカードリーダライタをお持ちの方は[ICカードリーダライタを使用してe-Tax]を選択しても、マイナンバーカードの読み取り手順が少し異なるだけで、あとは同じです。
[スマートフォンを使用してe-Tax]を選択した場合は「作成する申告書等の選択」の画面になります。

「令和5年分の申告書等の作成」の右端の三角を押すと、申告書等の種類が表示されますので、赤色の[所得税]を選択します。
続いて「マイナポータルの連携の選択」の画面です。


マイナポータルと連携すると、確定申告に必要な情報を取り込むことができます。
現在は対象となる情報が限られていますが、今後その範囲は広がっていく予定です。
今はまだ


連携しても、そんなに便利になることはなさそうです。
という方も多いかもしれませんが、早めに試しておくのもいいですね。
「連携しないで申告書等を作成する」を選択して[次へ進む]を押すと「e-Taxを行う前の確認」の画面が表示されます。


推奨環境と利用規約を確認し、スマートフォンにマイナポータルアプリをインストールします。
アイコンは、マイナンバーの「マイナちゃん」です。(うさぎ!)


昨年までは黄色のアイコンだったのですが、色が変わりました。
インストールしたあとは、一旦パソコンに戻ります。
[利用規約に同意して次へ]を押すと「QRコード認証」の画面が表示されます。


ここからは、再びスマートフォンを操作します。
まず、マイナポータルアプリを開きます。

いちばん下の真ん中にある[読取り]を押すと、QRコードを読取る画面が表示されます。

このまま、先程パソコン画面に表示されていたQRコードにかざすと、パスワードの入力画面になります。

マイナンバーカードの4桁のパスワードを入力し

マイナンバーカードの上にスマートフォンを置いて[読み取り開始]を押します。

正しく読み取りができたら、パソコン画面に戻ります。


[次へ]を押します。
はじめての方は、ここで利用者登録の手順が入ります。
氏名、生年月日、住所等の基本情報を入力して送信すると
という、e-Tax(電子申告)を利用するための16桁の番号が付与されます。
マイナンバーカードを使用している場合は、あまり意識することのない番号ですが、今後同じ番号を使い続けることになりますので、忘れないようにしましょう。
送信する際に「利用者識別番号の通知を希望する」としておくと「送信結果」の画面で表示されます。
画面をPDF等にして保管しておくとよいですね。
なお、e-Tax(国税電子申告・納税システム)でログインすれば、利用者識別番号はいつでも確認することができます。
利用者登録が完了すると、確定申告書等作成コーナーへ戻りますので、引き続き画面の案内に沿って操作を進めてください。
事前に利用者登録が完了している場合は、検索完了画面が表示されます。


[OK]を押すと、「住所等の情報の確認・訂正」画面が表示されます。

内容を確認し、誤りがなければ[申告書等を作成する]を押します。
すると、以下のような画面が表示されます。


「申告書等の作成」の最初の画面です。
こちらが表示されたら、「事前準備」は完了です。
申告書等の作成(概要)
それでは、いよいよ申告書を作成していきます。


先程の画面で[次へすすむ]を押すと「申告書の作成をはじめる前に」の画面になります。




全然はじまりませんね。


そうですね。でもあともう一息です。
事前準備が完了し、申告書の作成が始まったはずなのですが、もうひとつ「はじめる前に」の画面があります。
そして、この画面でご質問が多いのが「申告内容に関する質問」の箇所です。
特に給与所得者(会社員)の方は、選択項目が次々と表示されますよね。
理由はのちほど明らかになりますが、ひとまず選択例を見てみましょう。
例えば
で、確定申告をすることになった場合なら、特別な事情がない限り、以下のようになります。


最後の予定納税については、表示されている「予定納税についてはこちら」をご確認ください。
前年に確定申告をして、15万円以上納付している場合(一部の一時所得や譲渡所得分は除きます。)は、予定納税をしているはずですので[はい]になります。
こちらの記事も参考にしてください。
選択ができたら[次へ進む]を押します。
すると「給与所得の入力」の画面が表示されます。



やっと作成が始まりましたね。


そうですね。
確定申告に必要な情報の入力方法としては
などがあります。
源泉徴収票を見て直接入力する場合は、[入力する]を押します。
入力画面が開きますので、画面の案内に沿って入力します。


必要事項を入力し[入力内容の確認]を押すと元の画面に戻ります。


内容を確認し[次へ進む]を押すと「収入金額・所得金額の入力」の画面になります。
「給与所得」の欄に、先程入力した内容が表示されていますので、確認してください。


実はこの「収入金額・所得金額の入力」はメイン画面のひとつです。
「申告書等の作成」のメイン画面は
の3画面です。
今回の例では、「申告書の作成をはじめる前に」の画面の「申告内容に関する質問」で選択した内容に応じて、不必要な欄が入力できないようになっていますが、通常は以下のような3画面です。






各画面で[戻る]や「入力終了(次へ)」を押すと、画面を行ったり来たりできます。
また、最初に「給与所得の入力」が自動的に表示されるのは、会社員(給与所得1社)の方だけです。
これは「収入金額・所得金額の入力」の画面で「給与所得」の欄の[入力する]を押すと開く画面と同じものです。
会社員の方が、必要なところだけを迷わず入力できるようにするために、このような仕様になっているようです。
ということで、「申告内容に関する質問」でやたらとしつこく選択させられるのは、このような特別扱いが理由です。
もし選択を間違えて、すべてが入力できる状態になっていても、各画面で同じように入力できます。
逆に、入力したいのに入力できない状態になっている場合は、各画面の下の方に
という案内があり、画面の案内に沿って選択し直すことができます。
それでは残りの2画面も見ておきましょう。
まず「所得控除の入力」の画面です。


年末調整で会社に処理してもらった項目は、すでに合計額に含まれているはずです。
この「所得控除の入力」で絶対に忘れてはならないのが、ふるさと納税です。
この画面でも赤字で注意書きがありますね。
「申告書の作成をはじめる前に」の画面の「申告内容に関する質問」のところにも、書いてありました。
ワンストップ特例は、確定申告をすると無効になります。
必ず「寄附金控除」の欄で、入力してください。
[入力する]のボタンを押すと、「寄附金控除、政党等寄附金等特別控除の入力」の画面が開きます。


続けて「書面で交付された証明書等の入力」のところの[入力する]を押します。
例えば
なら、以下のようになります。


[入力内容の確認]を押すと、元の画面に戻りますので、内容を確認します。

確認をして[次へ進む]を押すと、控除額が自動で計算されて表示されます。


[OK]を押して元の画面に戻ると、控除額が表示されていますので確認してください。


[入力終了(次へ)]を押すと「税額控除・その他の項目の入力」画面になります。


住宅ローン控除は「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」の欄で入力します。
[入力する]のボタンを押して、画面の案内に沿って進めてください。
住宅ローン控除については、国税庁のYouTubeチャンネルに、操作手順を詳しく説明した動画がありました。
こちらを観ながら順に入力していくとよいですね。
入力ができて元の画面に戻ると、控除額が表示されていますので確認してください。


このあとは、順に
の画面になります。




続いて
を入力します。




そして[次へ進む]を押すと、「送信前の申告内容確認」の画面になります。


[帳票表示・印刷]を押すと、送信前の確認用の申告書一式(PDFファイル)をダウンロードすることができます。
手元の資料と見比べて、金額の照合などを行い、誤りがないかしっかり確認しましょう。
ここまでで「申告書等の作成」の画面は終了です。
メインの3画面を中心に、それぞれ行ったり来たり、何度でもやり直せますし、作成途中のデータは保存しておくことができます。
1回で済ませようと思わずに、まずは軽い気持ちではじめてみてください。
なお、このあとの送信の手順については、画面の案内に沿って進めていくとあっという間です。
冒頭でご紹介した国税庁の動画にも説明がありますので、ご参照ください。
補足
スマホ申告
スマホ申告は、以下のようなトップ画面からはじめることができます。


数年前は、スマホ申告でできる申告の種類がかなり限られていましたが、ここ数年でどんどん進化し、よほど複雑な申告でない限りできるようになってきました。
今回の例として挙げた
といった方も、スマホ申告で行うことができます。
このように、毎年アップグレードしているスマホ申告は、国税庁の「推し」でもあります。
その証拠に、国税庁のYouTubeチャンネルには、スマホ申告の動画がたくさんあります。
CMもよく観ますよね。
事前準備や全体の流れならこちら。
ふるさと納税の入力方法なら、こちらの動画があります。
お手元のスマートフォンですぐに試してみることができますので、パソコン版よりもはじめやすいですし、数年後には、スマホ申告の方が主流になっているかもしれません。
スマホ申告専用のアプリもできるかもしれませんね。
そして近い将来、マイナポータルと連携し、スマートフォンにマイナンバーカードをかざすだけで、自動で申告書ができあがり、人間は確認をして[OK](もしくは[送信])ボタンを押すだけで、確定申告が完了する日が来るかもしれません。(もちろん年末調整は廃止です。)
機会があれば、今のうちからスマホ申告にも慣れておきたいですね。
提出方法:ID・パスワード方式
マイナンバーカードをお持ちでない方や、申請はしたものの


間に合いませんでした。
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方が、どうしてもe-Tax(電子申告)をしたい場合は[ID・パスワード方式でe-Tax]を選択することになります。


マイナンバーカードによる電子署名(署名用の電子証明書)に代えて、ID・パスワードを使用するという方法です。
ただし、ID・パスワード方式を利用するためには、税務署へ行って本人確認を行うことが必要です。
また、ID・パスワード方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応ですので、近いうちに利用できなくなるかもしれません。
今回だけやむを得ず、といった特別な事情がなければ、あまりおすすめできる方法ではありません。
マイナンバーカードの申請がまだの方は、今年中に受け取れるように、近いうちに申請を行ない、来年はマイナンバーカードでe-Taxをしてくださいね。
なお、マイナンバーカードはお持ちだけれど、そのマイナンバーカードに、署名用の電子証明書がついていない場合が稀にあります。
電子証明書には、署名用と利用者証明用の2種類がありますが、通常は、申請時にご自身で、これらの電子証明書の有無を選択しているはずです。
また、15歳未満の方は、原則として、マイナンバーカードに署名用の電子証明書をつけることができないそうです。
このような場合は、利用者証明用の電子証明書を使用して、オンラインで本人確認をした上で、ID・パスワード方式を利用することができます。
提出方法:印刷して提出
マイナンバーカードをお持ちでない方の最後の砦は、左下の[印刷して提出]です。
確定申告書等作成コーナーで申告書を作成すると、印刷用のPDFファイルをダウンロードすることができますので、それをご自宅のプリンタ等で印刷し、書面(紙)で提出する方法です。


以前はメジャーな提出方法でしたが、e-Taxが普及し、この提出方法を選択する方は大幅に減りました。
e-Taxでは、添付書類のほとんどが省略できることも大きいですね。
書面(紙)で提出する場合は、添付書類もすべて提出しなければなりません。
最近では、プリンタをお持ちでない方もいらっしゃいますよね。


印刷ってよくわからないので、e-Taxがいいです。
なんていう方もいらっしゃるかもしれません。
[印刷して提出]を選択した場合は、ご自宅にプリンタがない方のために、コンビニなどのプリントサービスの案内も表示されますので、そちらもご参照ください。
印刷用のPDFファイルには
に加えて
が含まれています。




マイナンバーや免許証もコピーしないといけないんですね。


そうですね。添付書類の準備が結構面倒です。
書面(紙)で提出する場合は、毎回本人確認が必要です。
また、提出する書類の印刷はもちろん、提出して手元からなくなってしまう添付書類(特に原本)は、コピー(またはスキャンや写真)をとっておきたいですね。
「添付書類台紙」のいちばん下に
と、わざわざ大きく書いてあります。
面倒な書類の準備をしているときに、この一文が目に留まると


来年は絶対にe-Taxにしよう。
と思うのかもしれませんね。
印刷したあとの提出方法は、さらに
の3つに分かれます。
郵送する場合は
も同封してください。
送るときも返信用も、レターパックライトを使うと、追跡ができるので安心です。
特に、添付書類で原本を送る必要がある場合は、送る分だけでも追跡ができる方法で郵送するのがよいですね。


郵送の宛先は?


「提出書類等のご案内」の右下に、宛名ラベルがあります。
宛先は、地域によっては、税務署ではなく、業務を集約しているセンターなどになります。
宛名ラベルは、切り取って、封筒やレターパックライトなどに貼り付けてもいいですね。
そして最後に重大発表です。
この印刷して書面(紙)で提出する方法ですが、ハンコを押した控を返却してもらえるのは、今年がラストチャンスとなりそうです。


なんで!?


来年から税務署ではハンコを押さなくなるそうです。
ですので、マイナンバーカードの申請はしたものの


間に合いませんでした。
という方はもちろん、まだマイナンバーカードをお持ちでない方も、今年中に受け取れるように、近いうちに申請を行い、来年はぜひe-Taxをしてくださいね。
マイナポータル連携
[マイナポータルと連携する]を選択した場合について、簡単にご紹介します。


[次へ進む]を押すと、「マイナポータルへ移動」の画面が表示され、マイナンバーカードで認証を行います。






マイナポータル側で[次へ]を押すと、確定申告書等作成コーナーに戻り、「e-Taxの登録状況の確認」画面が表示されます。
[次へ進む]を押すと「マイナポータル連携」の画面が表示されます。

[取得する]を選択し[マイナポータルに移動して情報を取得]を押すと、「マイナポータルから取得した情報」のところに、取得した証明書等の情報が表示されます。

そのまま[申告書等を作成する]を押すと、取得した情報が入力済の状態で、申告書の作成画面が表示されます。
マイナポータルは、年々利用範囲が拡大しています。
スマホ申告のところでも書きましたが、確認してクリックひとつ(タップ1回)で確定申告ができる日が来るかもしれません。
それにはマイナポータルの機能が欠かせないでしょうし、スマートフォン用のアプリのアイコンの色も変わって、なにやら現在リニューアル中のようです。


アイコンは、マイナンバーの「マイナちゃん」です。(うさぎ!)(2回目)
お使いになったことがない方は、ぜひ一度のぞいてみてください。
申告内容に関する質問
給与所得者(会社員)の方の選択例を、あと2つご紹介しておきます。
ひとつめは
という場合です。
掛け持ちでお勤めをされている方ですね。
この場合は、以下のようになります。


ふたつめは
という場合です。
メインは会社勤めで
などの収入がある方です。
上記は一例で、この中には申告をしなくてもよい場合もあります。
逆に、例に挙げていない収入で申告しなければならない場合もあります。
さらに、申告しなくてもよいけれど「申告した方がいい」というパターンもあります。
ご自身に関係のあるものだけで構いませんので、収入があった時点で、調べて知っておきたいですね。
選択例は、以下のようになります。


なお、会社員の方の副業は、原則として雑所得で申告することになりますので、「作成する申告書等の選択」の画面では、青色の[決算書・収支内訳書(+所得税)]を選択し、先に決算書等を作成してください。

おわりに
国税庁の
のはじめ方として、ご質問や悩まれることが多い箇所を中心に、導入部分を徹底解説しました。
画面の案内に沿って進めていくことができますので、数回使うと慣れるのですが、1回目がなかなかはじめられない方もいらっしゃるようです。
で迷われる方が多いですね。
確定申告書等作成コーナーは、申告だけでなく、試算や必要書類の確認にも使えますので、軽い気持ちでのぞいてみてください。
そして、確定申告をするときは、ぜひご自宅からe-Taxしてみてくださいね。
申告内容の詳細など、個別にサポートが必要な場合は
をご利用下さい。